特集 依存症の公衆衛生
薬物依存症の当事者活動の実際と課題
近藤 恒夫
1
1日本ダルク本部
pp.93-97
発行日 1999年2月15日
Published Date 1999/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902027
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日本の薬物依存者のセルフヘルプグループNA(ナルコテックス・アノニマス)は19年間の歴史がある.しかし諸外国のNAの発展と成長に比較すると日本は今,スタート地点に立っているといっても過言ではない.なぜなのか.AA(アルコホリクス・アノニマス)は確実に成長し,「日本の都市圏に根づいているではないか」これが私に与えられたテーマである.たしかに制度上の問題として考えていくと限りなく腹が立つほど矛盾だらけである.依存症は病気であり回復するプログラムに出合うことによって良くなる.しかし社会は薬物依存者は回復しない恐ろしい人間と決めつけ,「回復を信じてはダメ絶対」を飽きもしないでやり続けている.依存症を精神障害と同じ枠組で取りくんでいる現在の厚生省もどうかしている.18年間この活動を続けてもはや救いはない.自分自身を変えてゆくしか道はない.他人を変えようとしない.原点が大切なのだ,愚痴はいうまい.NAの話に戻そう.NAは組織ではないとはよく耳にする.組織がなくてどうなっているのか,疑問を抱きませんか.日本NAの場合,同一のグループが沢山のミーティングを持ってしまった.東京グループは10カ所のミーティング場を持つに至った.外国の場合は1カ所のミーティングは一つのグループになっている.この違いはグループが活性化するためには天と地ほどの差ができる.
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