社会技術講座
ブレイン・ストーミング/バズ・セッション
田中 恒男
1
1東京大学医学部公衆衛生看護学科
pp.66-68
発行日 1962年4月10日
Published Date 1962/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202558
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集団討議などで対策を考えようとする.肩いからせて話しあうが,いずれも公式論ばかりでどうにもならない.たまたま奇抜な思いつきがでるとよつてたかつてあげつらい,しまいにはつぶしてしまう.言あげする国とはいいながら,よわつた話である.とどのつまりは堂々めぐりで,さしてざん新な対策も決らぬうちに散会となる.こうした困つた経験をおもちの方はいないだろうか.
なるほど,突拍子もないアイデアや,奇抜な思いつきは,大して深い理屈もなしに,ひよいと口から出たのかも知れないが,実はそれなりに効用もある.俗に「ひようたんから駒」というではないか.この思いつきを生かそうというのが,ブレイン・ストーミング(ブレインは脳,ストーミングは嵐のようにかきみだすという意味.某氏はこれを脳乱法と訳したが,何か気になる訳ではある)のねらいであつた.私たちの考えは,ともすれば従来のしきたりによつて動かされてしまう.しかし,地域の保健問題を解決してゆこうとするとき,従来のしきたりや方法では,やらない内から壁がみえていることが多い.こんな時にどうしたらよいかを,真剣に考えている読者も多いと思う.夜ねる前にも考える.しかし,よい思い付きも浮ばない.ほとほと困りぬいている保健婦さんを,私は何人も知つている.
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