連載 あの人の思い出カバン・8
人が好き ワクワクが好きの“はちきん”保健師―カバンの持ち主:吉永智子さん(元高知市)
村中 峯子
1,2
1社団法人全国保健センター連合会企画部
2東京大学大学院医学系研究科
pp.1038-1045
発行日 2008年11月10日
Published Date 2008/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101099
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平成13年,高知空港につけられた愛称は“高知龍馬空港”。以来,日本で唯一,人名を冠する空港となった。高知では,信念を曲げず,反俗,反骨で権力にも屈しない精神性とユーモアを併せ持つ,龍馬のような土佐男を“いごっそ(う)”と呼ぶ。ところが,“いごっそ(う)”たちさえも,到底,敵わないといわれるのが“土佐のはちきん”。陽気で男勝りで,行動力に富み,さばさばしていて,相手がグサッとくることもいうけれど,本当のやさしさを知っている,そんな女性をさすらしい。いごっそ(う)と,はちきん。勇猛果敢で情けに熱く,純朴なケルト民族のイメージと重っていく。
今回の保健師(あの人),吉永智子さん(写真,表)に取材の申し込みをしたとき,吉永さんは,電話口でこう言い放った。「私は,ただの“はちきん”だから,取材しても何もないよ」。「ただのはちきん」といわれて,取材を諦めるはずがない。食い下がると,こう付け加えた。「キレイな保健師じゃないから,記事にはならないよ」と。取材を進めるなかで,この“キレイ”が,美人という意味ではないことが判明していくものの,そのときは「見た目は関係ないです!」と,押し切った。
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