連載 あの人の思い出カバン・6
心に寄り添い続ける保健師―1人ひとりの元気と,この地域が愛おしい―カバンの持ち主:玉城利江さん(元北中城村)
村中 峯子
1,2
1社団法人全国保健センター連合会企画部
2東京大学大学院医学系研究科
pp.832-839
発行日 2008年9月10日
Published Date 2008/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101063
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久しぶりの沖縄は,相変わらず“暑い”。それでも,以前はなかった「ゆいレール」も開通し,都会化した副都心界隈が変化する新しい沖縄を主張している。いつも,どこでも,新しいものが我が物顔になる現実を素直に喜べないのは,根っからのアマノジャクだからだろうか。新しさのなかで,置き去りにされてしまったものはないのか。古きものの良さを,新しさで補えているのか。そして,人々の心は,満たされているのか…。コンクリートと鉄筋の塊の向こう側のぬくもりが,やっぱり気になってしまう。
気になるといえば,今回の取材も気になることだらけ。すべてがいままでとは違う気がする。役場を50歳で退職し,カウンセラーになった方だという。なぜ,カウンセラーなんだろう。保健師がイヤになったんだろうか。おまけに,カウンセラーになるために1年間で50回以上,沖縄と東京を日帰り往復したと聞けば,尊敬の念を通り越して「引いて」しまう自分がいる。それでも,「ぜひ,お会いしたい」。背中を誰かに押されるように,無理にお願いしてここまで取材に来てしまった。
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