連載 あの人の思い出カバン・12【最終回】
すべては,地域と住民のため“その人らしさ”を掘り起こし続ける人―カバンの持ち主:牧本道子さん(元福岡市)
村中 峯子
1,2
1社団法人全国保健センター連合会企画部
2東京大学大学院医学系研究科
pp.234-241
発行日 2009年3月10日
Published Date 2009/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101163
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この連載も最後の取材となった。降り立った先は福岡空港。今年,何度目の福岡だろう。何度訪れても,何となく好きな場所。福岡空港の年間発着回数は国内線,国際線を併せて約14万回を数え,羽田,成田に次いで国内第3位。乗客数も多く,「福岡-東京線」は「新千歳空港-東京線」に次ぐドル箱路線ともいう。そんな福岡空港から地下鉄に乗ること約20分あまり。「唐人町」で下車し,徒歩6~7分のところに今月のあの人,牧本道子さん(写真,表)が勤める介護総合支援センターがある。
唐人町界隈は,江戸時代,福岡藩と唐津藩が参勤交代に用いた街道沿い。街道を行き交う人々を相手に,商売を行う町屋が自然発生していったといわれている。いまも,新しい建物に,歴史を漂わせる寺が混在する。そうした街並に,福祉や介護の拠点として立てられたのが福岡市市民福祉プラザ(愛称:ふくふくプラザ)。その3階にいる牧本さんを訪ねた。日曜日というのに,ご本人だけでなく,その場に働いているすべて職員の丁寧で穏やかな空気が心地よい。「大都市は対応が素っ気無い」というステレオタイプな思い込みが,私のなかで修正され始めていった。
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