連載 あの人の思い出カバン・11
着実に誠実に,北の大地で“働く人の健康”を守る―カバンの持ち主:中川和子さん(北海道農業団体健康保険組合)
村中 峯子
1,2
1社団法人全国保健センター連合会企画部
2東京大学大学院医学系研究科
pp.152-159
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101149
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本州の人は北海道を「遊びに行くのはいいけど,住むには寒い」という。異論はない。でも,その「寒さ」は,生きる幸せの源でもあると思う。
たとえば,氷点下まで気温が下がった冬の朝,川辺を歩けば,川面からまるで温泉のように湯気が立ち上るのをみることができる。大気の温度が水温よりも下がったために,水が蒸発して起こる「けあらし」。キーンと冷えた空気のなかで,立ち上った水蒸気は結晶となり,木々のこずえに樹氷をつくる。朝日に輝くその姿と静寂は,この世のものとは思えないくらいに美しい。
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