教育技術ゼミ
教育評価(1)—評価と評定
沼野 一男
1
1東邦大学
pp.42-43
発行日 1969年10月1日
Published Date 1969/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908906
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この号から数回,教育評価の問題を考えてみようと思う。教育の方法や技術の研究は,教育の評価をはなれては考えられないことであるし,この雑誌の読者諸姉から評価についての質問を受けることが多いからである。読者諸姉からの質問は,「評価は何を基準としてどう行なったらよいか」というような一般的なものから,「臨床指導の評価の項目に,明朗性というのがあるが,これをどう評価したらよいのか」という具体的なものまで,さまざまである。しかしこれらの質問の背後には教育評価に対する共通した誤解があるように思われる。それは評価と評定を混同ないし同一視するという誤りである。本号ではこれを問題として取り上げる。
われわれは学生になんらかの物差しを当てて,彼らを分類したり,順位づけたりすることが教育評価であると考えがちである,物差しにはいろいろなタイプがある。ペーパーテストも一つの物差しである,学生はテストという物差しと得点という目盛りによって,何点以上と以下というように分類されたり,順位づけられたりする。技能のテストに用いられるチェックリストも一つの物差しであるし,また「明朗性」というような態度の評価には,教師の主観的な判断が物差しとして用いられることも多い。
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