社会の動向
勤務評定ということ
長谷川 泉
1
1医学書院編集
pp.30-31
発行日 1958年10月1日
Published Date 1958/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201553
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勤務評定ということについて,物情騒然としているようである.日教組がその反対闘争を行つたために,その犠牲者が出たり,その闘争のまきぞえになつてストライキが行なわれ学童の教育がそっちのけにされたりするような事態も起つた.これは誠に不幸なことがらであつた.迂余曲折はいろいろあろうが,勤務評定は必ず行われるものであるから,いずれ波絞はおさまる.
勤務評定というと,ことは甚だいかめしくもつたいぶつて聞えるが,せんじつめて言えば成績をあげつらつて,よいとか悪いとかいらことである.よいものはよいように遇され、悪いものは悪いものとして遇される.要点はそれだけのことである.それに尾ひれがつけば,いろいろの言いがかりは何とでもつけられる.教育者として落第点をつけられては、生徒から信用を失うから困るとか,あるいはそのことを理由にして管理者の情実人事が行われては困るとか,要するに本質をはずれた意見が反対論の大きな要素を占めている.和歌山県において勤務評定反対の運動が最も大きく,その運動には学童までが参加しているところもあるように伝えられているが,これには特殊部落の別の要素が加わつている.
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