教育技術ゼミ
評定について(3)—測定とテスト
沼野 一男
1
1東邦大学
pp.58-59
発行日 1969年12月1日
Published Date 1969/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908938
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これまで2回にわたって,評価と評定とは同じではないこと,我々が現在評価と呼んでいるものの中には実際には評価することができないで評定しているにすぎないものがあるということを指摘してきた。評価は値ぶみ或いは価値づけであって,教育評価という場合,価値づけの基準は教育目標の達成如何にある。これに対して,評定は対象の客観的で公正な姿を明らかにしようとするものである。
評価と評定が別のことであることはすでに述べた通りだが,この両者は全く無関係というわけではない。試験で100点をとった学生は60点の者よりも良い学生であるし,よく他人と協調する者は自己主張の強い人間より人柄がよいといわれる。このように評定にはしばしば評価ないし価値づけが伴ってくる。一般に対人関係においては入は相手を価値づけることなしにただ純粋に評定することは難しい。しかしながら,上の例の場合,評価ないし価値づけの基準になっているのは評定者の価値観であることに注目する必要がある。すでにくり返し述べたように,教育評価という場合,学生は評価する教師の価値観によって評価されるべきではなく,教育目標の達成という基準から評価されなくてはならないのである。そうしてこそ,その評価は同時に教育に対する評価にもなるのである。
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