連載 教育評価のはなし
評定尺度の使い方
岸 学
1
1東京学芸大学
pp.445
発行日 1986年5月25日
Published Date 1986/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206884
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前回は,評定尺度の性質についてお話ししました。尺度にはいろいろなレベルがあり,統計上の取扱いで注意しなければならない点があることを述べました。今回は,実際に尺度を用いて評定するときによくみられる問題点をとりあげてみましょう。
実習などの評価では,評価の領域ごとに評価項目を作成し,複数の評価者によって多くの学生の実習の様子をチェックしていくであろうと思われます。そのときに問題になるのは,それぞれの評価者の評価基準がはたして同じであろうかという点です。これは難しい問題で,実習に対する個人の考え方,先行経験量,評価内容に対する知識,学生の指導方針など,さまざまな要因によって基準が変わってきます。特に,各病棟や各評価領域での評価者が一人の場合は,代表値を求めるわけにもいかず,他の部分での評価結果と直接比較するのが難しくなります。
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