社会の窓
選挙の反省/道徳教育と勤務評定
阿部 幸男
1
1読売新聞社婦人部
pp.55-56
発行日 1958年6月10日
Published Date 1958/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201670
- 有料閲覧
- 文献概要
何度か解散を伝えられながら延び延びになつていた国会の解散がついに与・野党の話しいという形で行われた.どちらを向いても選挙の話しで持ち切りである.というのはこの稿を起しているいまの話.この雑誌が出るころはすでに選挙も終つて1カ月ぐらい経つているはずである,そこで題して選挙の反省と名附けた次第.
とはいうものの,現実には選挙が終つていないのだから,ここに反省の材料を具体的に並べるわけにはゆかない.しかし,反省の材料は有権者一人一人が持つていなければならないのだ.候補者というものは,選挙の際は大いに国民大象のために尽すような立派な公約をかかげているが,ひとたび当選して代議士となると,公約はおろか,自分の懐中をこやすために汚職に浮身をやつす者まで現われる.選挙した有権者の側でも「お願いします」と頭をさげられて,いい気持になつて一票投じてしまえば,自分の選んだ代議士が何をしようと知らぬ願の半兵衛をきめこんでいる場合が少くない.選挙する方でも,される方でも,責任感の欠如していたことが,これまでの大きな欠陥の一つであつた.そこに,選挙の反省が望まれる必要が生れてくるのである.
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.