連載 キネステティク・クラシック・ネオ 動きの言語化のツールが可能にすること・1【新連載】
キネステティクの「原点」─安全安楽と自立促進を提供できるツール
中本 里美
1,2
,
澤口 裕二
3
1(一社)日本キネステティク普及協会
2㈱CARE PROGRESS JAPAN
3北海道士別市立病院 療養診療科
pp.54-61
発行日 2018年1月25日
Published Date 2018/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200906
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本連載がめざすこと
筆者は,外科病棟で看護師としてのキャリアをスタートさせました。そこで失禁ケアや褥瘡ケアなどの当時の自分で解決できない問題にぶちあたり,皮膚・排泄ケア認定看護師の前身であるET/WOCナースの研修を受けるために渡米しました。しかし,帰国後も筆者の抱える問題は解決できませんでした。なぜなら,失禁や褥瘡などの根本的な原因は「動きのセルフケアの欠乏」であるということに気づいていなかったからです。日常生活は数えきれないほど多くの「動き」で構成されています。看護の役割の1つである療養上の世話は,動きのセルフケアが不足している患者への「動きの支援」です。そして療養生活は回復過程が終了するまでの期間,継続し複数の看護師がそこにはかかわります。そのため,効果的に動きのケアが継続されなければなりません。そしてその継続には,看護師自身の健康の維持が必要です。この点を看護師は見逃しがちで,かくいう筆者も自分の健康を後回しにしてしまい,頚や腰の痛みのために寝たきりに近い状態になる文字通り痛い経験をしました。
そんなとき,「動きの言語化」を行うキネステティクを日本に紹介した医師,澤口裕二氏からお話を伺う機会を得て,氏から得た情報にもとづき自分の動きと痛みの関連を分析した結果,筆者は快方に向かいました。これにより,キネステティクが,身体の故障の予防に役立ち,セルフケアを向上させ,より快適な日常生活を生涯をとおして送るために有用な考え方であると気づきました。そして,これから看護師となる人を守り育てていくために,多くの教育者にそれを伝えたいと思うようになりました。
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