連載 ルポ フランスの家族・【最終回】
高齢者の自立を促進
児玉 しおり
pp.1048-1052
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100428
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別居していても親の面倒をみる
パリ中心部のアパートに住む79歳のルイーズさん(仮名)は,持病の糖尿病のうえに腰痛と背中の痛みがあるので,自分の身の回りのことはかろうじてできるものの,家事や外出を1人でするのは難しい。数年前に腰を手術し,もうすぐ2度目の手術が控えている。週3回3時間ずつ家政婦兼付添婦さんが来て,掃除・洗濯・買物・アイロンかけなどの家事をし,通院に随行してくれる。また,天気のいい日にはカフェに行ったり,散歩にも出かける。幸いにも息子と娘が近所に住んでいるので,娘は1日おき,息子は週2回,義理の息子(娘の夫)が週1回やってきて,話し相手になったり,役所や銀行,健保関係の書類や手紙の処理,受診予約をとったりといった用事をしてくれるので,いまのところは1人住まいでなんとかやっている。
息子のフランソワさん(仮名)は,「フランス人は普通はあまり親の面倒をみない。母は子どもが近くに住んでいるし,恵まれているほう」という。地方に住んでいる病身の親をもつ友人が親を見舞うのはせいぜい年1回か,多くて年に4~5回だという。
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