グラフ
「自立」の原点に出会って―スウェーデン,ノルウェーで考えたこと
森 絹江
pp.1-3
発行日 1998年1月25日
Published Date 1998/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901755
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昨年9月,「男も女も育児時間を!連絡会」のメンバーとともに,スウェーデン・ノルウェーの子育てや男女平等政策の実情を視察する旅に出た.両国とも,確かに日本より進んでいるけれど,決してすべてが理想通りにうまくいっているわけではない.ただ,少なくとも私の目には,今を生きる人々を相互に尊重しあう空気が,ごく自然に出来上がっているように見えた.
たとえば,スウェーデンの保育園で,みんなが外遊びに興じるなか,ひとり物陰に立っている女の子を見た.本人も,決して寂しそうではなく,保母たちも「みんなと一緒に遊びなさい」などとは言わない.そう.ひとりでいたい時も,ひとりでいるのが好きな子もいる.私の思い入れかもしれないけれど,「みんなと一緒に」という価値を押しつけるのではなく,それぞれの時を大切にする発想が,ごく自然に根づいているように見えたのだ.私も,幼い時からひとりでいるのが好きだった.私にとって重荷だったのは,ひとりでいることではなく,そのことを周囲が「かわいそう」と評することだった.
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