連載 つくって発見! 美術解剖学の魅力・1【新連載】
脊柱─ぴんと背筋は伸びません
阿久津 裕彦
1,2
1順天堂大学解剖学生体構造科学講座
2東京芸術大学美術解剖学講座
pp.1
発行日 2018年1月25日
Published Date 2018/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200894
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私たち人間は,魚やトカゲ,鳥などと同じ,背骨(脊柱)をもつ脊椎動物とよばれるグループに属しています。7万種ある脊椎動物のなかで,どういうわけか,人間だけが背骨を地面に対して縦に立てています。ただ,直立した背骨が真っすぐ一直線というわけではありません。ご存知のとおり,前後方向にくねくねと曲線を描いています。この曲線は,進化とともにつくられたと考えられ,また成長の過程でもできる順番が決まっていて,その順序は進化の順を辿ります。そして,いちばん最後にできるのが腰の曲線です。
粘土で造形するときは,上から順に,頸部が前向き,胸部が後ろ向き,腰部が前向き,骨盤部が後ろ向きと,交互に曲線をつくっておきます。背骨だけで見ると曲線が目立ちますが,ここに胸郭と骨盤をつくると見慣れた姿勢が現れてきます。
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