特別記事
教育の改善につながるリフレクションの方法─ティーチング・ポートフォリオとさまざまな派生法
栗田 佳代子
1
,
吉田 塁
2
1東京大学大学総合教育研究センター
2東京大学教養学部
pp.540-546
発行日 2017年7月25日
Published Date 2017/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200783
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改善におけるリフレクション
教員にとってのリフレクション
リフレクションが教員にとって重要であることはもはや異議を挟む余地はないだろう。ショーンにより提唱された教員像としての「省察的実践家」をはじめとするリフレクションに関する理論的系譜はここでは詳細には取り上げないが,多くの先人によって専門家としての成長におけるリフレクションの重要性が指摘されてきた。また,優れた教員に共通する資質について調べた研究によれば,「ティーチングを自己評価し,適切な改善を加えるためのある種の組織的な方法をもっている」ことが,優れた教員の資質の1つとして見出されている1)。
しかし,リフレクションは簡単なことではない。時間および労力がかかり,また,リフレクションの質も重要であることから,良いリフレクションを行うには,明確な目的の設定と目的に応じた正しい方法が必要である。本稿では,日々逐次的に行うリフレクションではなく,教員としての活動を俯瞰的に振り返り,活動の軸となる理念を明らかにし,今後の目標を定めることに適した方法である,いくつかのポートフォリオを紹介する。
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