--------------------
あとがき
玉木 毅
pp.188
発行日 2018年2月1日
Published Date 2018/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205326
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
昨年の「ヒルドイド®騒動」は記憶に新しいところだろう.「究極の美肌クリーム」・「高価な美容クリームより効果的」などと謳われ,それを(真に)受けて健康保険組合連合会(健保連)が保湿剤の単独処方を保険給付から外せという提言を行った.そもそも根拠不明な記事を基に,単独処方はすべて美容目的とする「超」乱暴な仮定で,元々ありもしない「年間93億円」などという仮想の推計を行っており,「\(--;オイオイ」という感じである.一度でもアトピー性皮膚炎ガイドラインを読んだことがあるのか? たとえ単独処方を外したとしても,口コミで「一応ステロイドも下さい」と言えば保険適用になるとすぐに知れわたり,かえって薬剤費増になるのがオチである.こんな提言が相手にされるはずはないと信じたいが,湿布薬のこともあり油断は禁物で,今後も日本皮膚科学会・日本臨床皮膚科医会などを中心として慎重かつ冷静に見守る必要がある.
長く支払基金の審査をやっているが,保険者からの「トンデモ」レセプト再審査請求にはしばしば辟易とさせられる.「粉瘤に皮膚,皮下腫瘍摘出は『過剰』では?(皮膚切開に査定しろ)」,「脂漏性角化症にいぼ冷凍凝固は適応外では?」,「(ステロイド内服中の患者で)HbA1cを何回も測るのは過剰では?」等々,呆れるばかりである.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.