- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
臨床写真の管理はどうされているだろうか? 昔はフィルムをマウントしたスライドを箱に入れ,本棚などに保管していた.場所を取るからスペース確保が悩みであったし,古いスライドにはカビが…….またスライドは当然1撮影1枚だから,学会や論文で持ち出した後に戻さないと,ずっと欠番になってしまう(しかも大事な写真に限って).15〜20年くらい前から臨床写真も徐々にデジタル化し,スペースやカビの問題は解決したし,持ち出しによる欠失もなくなった.解像度もフィルムと互角以上になり,残る問題がデータの保管とバックアップである.デジカメデータはCFやSDに記録されるが,容量と長期安定性の面からは,別媒体にコピーして保存する必要がある.大容量HDDに保存する施設が多いと思うが,HDDは衝撃に弱く経時的にも劣化するため,さらに別の媒体でバックアップする必要がある.実際東日本大震災で,バックアップを取っていなかったHDDに保存された貴重な臨床写真が失われてしまった話が多々ある.バックアップとして考えるのがディスクタイプの媒体だが,種類や規格の栄枯盛衰でドライブや媒体がいつまで売ってるかという問題がある.古くはフロッピー,次いでCDやMO.いつの間にか消えたPD・ZIP・JAZというのもあった.DVDで一段落したが,DVD-R・DVD-RW・DVD-RAMの互換性や〇倍速という落とし穴もある.あとはBD(BD-RE)だろうか.しかしこれもいつまで持つか…….BDの競合とされたHD-DVDも消えた.一方世の中ではデジカメ自体がなくなりつつあり,スマホで撮りクラウドに飛ばすので,microSDもないスマホが増えている.転送速度や個人情報の面からは臨床写真は簡単にクラウドとはいかないが,速度やセキュリティの担保された自動管理システムができれば,バックアップの苦労から解放されるだろうか? さらに「Chat臨皮」に情報と写真をアップロードすれば,AIが査読して自動的に論文にしてくれるかも.まあそうしたら編集委員も要らないが.
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.