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あとがき
玉木 毅
pp.94
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205626
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今年度の診療報酬改定で「妊婦加算」というのが加わった.何やらモメそうと思っていたが,改定直後は特に何もなかったので,3割負担で初診時225円・再診時114円と,まあ大したことない金額だからかな?と思っていた.だが最近になってSNSなどで広まり「炎上」し,マスコミが急に大騒ぎし出したこともあって,ついに1月から算定「凍結」となるらしい.当初は単に負担増に気づいた妊婦が少なかっただけで,時とともに気づいた妊婦の人数が増え,「臨界」に達して一気に広まったというところだろう.小泉進次郎議員が自民党厚生労働部会長になり,「このままではいけないだろう」とコメントしたことも,騒ぎに拍車をかけた.個人的に別途気になったのは,「妊娠が終了したことをどうやって判断するか?」ということである.外見だけで判断するのは無理? 再来のたびに「まだ妊娠されてますか?」と聞くのもウザがられそう.さらにもし流産などで終了した場合にそんな質問した日には…
投与禁忌薬やX線など,妊婦の診療に一定の「手間」がかかり,それを「加算」という形で評価するということ自体は,それなりの意義があり不合理な仕組みというわけでもない.ただ,「患者の自己負担額がそれだけ増えてしまう」という想像が足りなかったのではないだろうか? その分妊婦の自己負担比率を下げるとか出産一時金を増額するなどの対応も考えられたのではないだろうか?
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