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あとがき
玉木 毅
pp.550
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206417
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約1年前の昨年4月号のあとがきで,診療報酬改定と絡めて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について触れた.あの頃は日本での流行拡大が先行し,イタリアや米国は「日本はオリンピックもあるのに大変だね」と対岸の火事だったところが,あっという間に形勢が逆転し,イタリアは阿鼻叫喚の世界となり,米国も世界一の新型コロナ蔓延国となった.米国で経済的に医療機関を受診できない層から感染拡大する懸念も,そのとおりになった.最後は「入院診療の劣化を進めれば,COVID-19は何とか乗り切れても,次のCOVID-2xではそうは行かないかも…」と結んだが,1年後の今COVID-19すらいまだ乗り切れていない現状であり,見通しの甘さに反省しきりである.
COVID-19は本当に「狡猾」なウイルスで,勢いが鈍った後もちょっとした隙を突いてぶり返してくる.ロックダウンなどの「原始的」方法では,解除すればすぐぶり返す.天才IT担当大臣オードリー・タン氏の下,「成功例」として賞賛を浴びた台湾でも,国際線パイロットというわずかな盲点から感染が再拡大した.米・英・イスラエルはスピーディーなワクチン接種により新規感染を抑え込めたかに見えるが,変異ウイルスの動向次第である.わが国でも遅ればせながらワクチン接種が進んでいるが,はたしてどうなるか? 結局コロナ対応に「絶対解」は存在しないということではないだろうか.
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