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9月17日は世界患者安全の日(World Patient Safety Day : WPSD)である.「いきなり何?」という書き出しで恐縮である.実はいろいろあって,7月からそういう部署の管理責任者になってしまい,否応なく院内のすべてのインシデントレポートが毎日,滝のように降ってくるようになった.WPSDはWHOが2019年に制定した記念日で,世界中で患者安全に関するさまざまな活動が行われる.こう話を始めると,諸外国は進んでいて日本はこれからという印象を受けるかもしれないが,実はもっと前から厚生労働省は,2001年を「患者安全推進年」と位置づけ,11月25日(いい医療に向かってGO)を含む一週間を「医療安全推進週間」と定め,さまざまな取り組みを行っている.おそらく1999年の横浜市大患者取り違え事件,都立広尾病院薬剤誤注入事件や2001年の東京女子医大心研事件などが契機となったのであろう.同じ2001年に「安全な医療を提供するための10の要点」というのが策定されているが(https://www.mhlw.go.jp/topics/2001/0110/dl/tp1030-1a.pdf)23年前のものとは思えないほど,全く陳腐化していない.逆に言えば10の要点はそれだけクリアするのが難しいということだろう.
令和6年度の医療安全推進週間は,何と『劇場版ドクターX』とタイアップしているようである.『ドクターX』は医療関係者が観ると突っ込みどころ満載だが,エンターテイメントとして割り切ればそれなりに面白いのではないかと思う.今までの医療安全推進週間が国民の間で今一つ盛り上がりに欠けたため,今年は勝負に出てみたというところであろうか.
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