呼と循ゼミナール
心筋の保護と冠状動脈血流(2)
平野 禎造
1
1高知市立市民病院麻酔科
pp.712
発行日 1980年7月15日
Published Date 1980/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203592
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冠状動脈が,その部位によって,これらの薬剤に対する感受性を異にするのではないだろうかと言う意見は,多くの研究者によって述べられているが,Fam & Mc—Gregor1)は,左冠状動脈の前下降枝の血流と血圧から,細い動脈の抵抗を示す全血管抵抗と太い動脈の血管抵抗を別々に算出し,nitroglycerinならびにdipyridamoleの,冠血管に対する作用をみているが,それによると,dipyridamoleは主に細い動脈を拡張させ,nitroglycerinは太い動脈に対して持続的に作用すると言う。したがって虚血性心疾患にdipyridamoleを用いた場合,狭窄部以下の領域は,低酸素によってすでに細い動脈は充分に拡張しているため,これ以上その効果は期待できず,症状は改善されないが,nitroglycerinでは,太い側副動脈が拡張して狭窄部領域の血流が得られると言う。
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