呼と循ゼミナール
心筋の保護と冠状動脈血流(1)
平野 禎造
1
1高知市立市民病院麻酔科
pp.590
発行日 1980年6月15日
Published Date 1980/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203576
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開心術中に行なわれる大動脈遮断の際,心臓を低酸素状態から庇護する目的で行なわれる種々の処置を,心臓外科の領域では心筋保護と称し,局所冷却や心停止液などが使用されているが,心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患を持った患者の開腹術や,交通外傷の手術に対する麻酔を行なわなければならない麻酔科では,より広い意味での心筋の保護という概念がとり入れられている。麻酔という一連の操作では,麻酔薬,麻薬,筋弛緩薬,心血管作動薬などからはじまって,その他,諸々の薬剤が必要に応じて用いられるが,それらの薬剤は,決して心筋に対し保護的なものばかりではない。したがって,刻々と変化する手術中の循環動態に対して用いる薬剤の種類はもちろんのこと,量と投与時期の選択が,きわめて重要なポイントとなることは言うまでもない。
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