呼と循ゼミナール
虚血心における局所心筋動態—実験的研究(その5)
久萬田 俊明
1
,
松崎 益徳
1
,
楠川 禮造
1
1山口大学第2内科
pp.614
発行日 1980年6月15日
Published Date 1980/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203580
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運動負荷によって起る心拍数の増加やinotropismの亢進は心筋の酸素消費量を増す。正常心においては心筋代謝の亢進とともに冠動脈血流量が増加し,心筋内血流量もほぼ均等に増加するので心内膜下層(endo)と心外膜下層(epi)との血流比(endo/epi)は運動中でも正常に保たれる。かくて心筋は運動中に収縮力を増強することができる。しかし一方,冠動脈に狭窄がある時には,たとえ安静時に酸素需要と供給のbalanceが維持されていても,心負荷によって送血量と心筋需要との間に不均衡が生じ,その結果虚血が起ってくる場合がある。Ballらは意識犬を使用して安静時の冠動脈血流量が減少しない程度に左冠動脈回旋枝を軽度狭窄しておき,treadmill exer—ciseを負荷した1)。その結果,冠狭窄のない正常心の運動時血流量増加に比べて,狭窄側への血流量の増加は有意に低下し,endo/epi比は著明に減少した。
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