皮膚病診療 40巻7号 (2018年7月)

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 手掌・足底に急激に水疱,膿疱が出現し,手足部水疱性膿皮症と診断した2例を経験した.・ 重複するとされているblistering distaldactylitis(以下,BDD)との疾患概念についても整理を行った.・ 手足部水疱性膿皮症/BDDの病理組織像について検討した.・抗菌薬治療により症状は速やかに軽快した.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ ネコ咬傷後に生じたパスツレラ皮膚感染症の1例を経験した.・ 広範囲の皮膚潰瘍を形成し,瘢痕治癒に3週間以上要した.・ 創部の細菌培養でPasteurella multocidaが検出された.・ 経過中,急性脳梗塞を発症し,脳外科的な治療も並行して行われた.・ 高齢患者では感染症惹起のリスクも高く,今後われわれ皮膚科医も同様の症例を経験する可能性があり,注意を要すると考えた.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 腎移植後で免疫抑制状態の患者に生じた皮膚ノカルジア症を経験した.・ CTで指摘された膿瘍を切開排膿し,膿汁の塗抹検鏡からノカルジア症が疑われた.・ 局所の洗浄処置およびイミペネム水和物・シラスタチンナトリウム点滴静注,スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合錠内服の併用で治療を開始し,症状は速やかに改善した.その後は薬剤感受性のあったミノサイクリン塩酸塩カプセル内服に変更し,合計12カ月間抗菌薬の投与を行った.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 項部に発生した糖尿病に合併する巨大癰の2例を経験し,皮膚生検しえた1例では項部に糖尿病性浮腫性硬化症の病理組織学的所見が認められた.・ 糖尿病に合併する巨大癰と糖尿病性浮腫性硬化症は,両者ともに好発部位が共通していた.・ 直接デルマドロームである糖尿病性浮腫性硬化症は,糖尿病に合併する巨大癰の発症リスクとなる可能性が示唆された.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 循環式風呂の半身浴により発症した緑膿菌性毛包炎の1例を経験した.浸水部位に毛囊炎を繰り返し,同居する家族にも同様の皮疹を生じていた.浴槽からも緑膿菌が検出された.・ 自験例は原因が特定されず長期にわたり抗菌薬投与などの治療が行われ,症状が遷延していた.本疾患の存在と病態を認識し,原因除去と適切な治療をすることが重要である.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 右頬部と左手背に複数生じたブルーリ潰瘍を経験した.・ polymerase chain reaction(PCR)法を用いた精査の結果によって,“Mycobacteriumulcerans subsp. shinshuense”が同定された.・ リファンピシン,クラリスロマイシン,レボフロキサシン3剤による治療が有用であった.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 右下腿の発赤,腫脹と発熱で受診し,CRPとクレアチンキナーゼ(creatine kinase,以下,CK)が顕著に高値であり,当初は壊死性筋膜炎を疑った.・ 問診,画像,採血結果から蜂窩織炎に横紋筋融解症の合併と考えた.・ 著明なCK高値は横紋筋融解症が鑑別の1つである.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 繰り返す丹毒から診断に至った感染性心内膜炎を経験した.・ G群β溶血性レンサ球菌を起因菌とする感染性心内膜炎は非常にまれである.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 脊髄損傷による坐骨部褥瘡から生じたフルニエ壊疽の1例を経験した.・ 感覚麻痺のため,局所の症状自覚がなく,持続勃起症(以下,CP)を契機に発見された.・ デブリードマン,広域抗菌薬の全身投与,免疫グロブリン製剤,血液浄化療法の集学的な治療が奏効し,急性期の救命を得られた.・ デブリードマン時に増設した人工肛門が,創部管理に有用であった.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 壊死性筋膜炎の病型は劇症型と亜急性型に分かれ,臨床経過や生命予後が大きく異なる.・ 壊死性筋膜炎の初期治療は広範囲デブリードマンが一般的だが,亜急性型では小範囲デブリードマンでも治療可能な症例が存在する.・ 広範囲デブリードマンは手術侵襲も大きいため,全例に適応するのではなく,患者の全身状態,重症度を評価しデブリードマンの範囲を決定することが望まれる.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 軽症の熱傷から生じたtoxic shock syndrome(以下,TSS)の1例を経験した.・ 熱傷部位からmethicillin-susceptibleStaphylococcus aureus(以下,MSSA)を検出し,TSST-1産生株であった.・ 本症は患者年齢や基礎疾患,熱傷の重症度によらず発症する可能性があることを念頭に置くべきである.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 上皮成長因子受容体(epidermal growthfactor receptor,以下,EGFR)阻害薬投与中の成人に発症したブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(staphylococcal scaled skin syndrome,以下,SSSS)を経験した.・ 発症に糖尿病,進行期肺癌に加え,EGFR阻害薬が関与した可能性が考えられた.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 致死率の高い本疾患を救命しえた.・無脾症がリスク因子となった.・ 下肢切断後長期的なリハビリテーションにより義足歩行が可能となった.・ トロンボモジュリン製剤(recombinanthuman soluble thrombomodulin,以下,rTM)が奏効した可能性がある.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ A群レンサ球菌(group A streptococcus,以下,GAS)による軟部組織感染症を発症し,軀幹の紅斑,低アルブミン血症に伴う全身浮腫を合併した.・ 軀幹に拡大した紅斑は,軟部組織感染症が体表リンパ流に沿って,腋窩リンパ節に進展し,腋窩リンパ節からは体表リンパ流に逆行する形で波及したと推測した.・ 敗血症に合併した低アルブミン血症による全身の浮腫に対して,利尿薬が著効した.

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>・ 免疫抑制状態で骨髄炎を伴ったMycobacteriumchelonae皮膚軟部組織感染症を経験した.・ 自験例は手指関節破壊を伴う骨髄炎を呈していたが,初期より抗菌薬併用療法と温熱療法を行ったことで外科的治療を行わずに完治しえた.

英文抄録

editorial

topics

  • 文献概要を表示

レンサ球菌は,その溶血性によりα,β,γ溶血性の3群に,さらにβ溶血性レンサ球菌はLancefield抗原分類でA,B,C,G群に分けられている.以前は常在菌のように考えられていた非A群レンサ球菌も,近年の高齢化とともにクローズアップされてきた.レンサ球菌による皮膚感染症は黄色ブドウ球菌より頻度は低いが,症状が激しく,全身症状を伴うことが多い.膿痂疹,丹毒,蜂窩織炎,壊死性筋膜炎が代表的で,毒素性疾患は猩紅熱,リウマチ熱,トキシックショック様症候群(toxic shock-like syndrome:以下,TSLS)がある.本稿では,レンサ球菌の分類,皮膚感染症からの分離頻度,臨床病型,壊死性筋膜炎やTSLSの最近の動向および治療戦略について概説する.(「はじめに」より)

  • 文献概要を表示

近年,市中病院の皮膚科勤務医が,外傷や腹部救急疾患等の初期対応を含めた一般救急外来で診療する機会が増えている.救急外来での皮膚科関連疾患は中~大規模病院では救急外来患者の10~15%を占めていて,皮膚外科を含めた皮膚科的知識,技術が必要となることが多いと報告されている.(「はじめに」より)

蝶の博物詩

生態37 西山 茂夫

  • 文献概要を表示

平成29年12月8日(金)から10日(日)にかけて第47回日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会 第41回皮膚脈管・膠原病研究会を「かごしま県民交流センター」で開催いたしました(図1).「日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会」は「日本皮膚アレルギー学会」と「日本接触皮膚炎学会」を母体とし2007年から合同化されました.一方「皮膚脈管・膠原病研究会」は「皮膚脈管懇話会」と「膠原病研究会」が2001年に合同化された研究会で,2017年1月に単独開催としては最後の第40回研究会が福島県立医科大学の山本俊幸先生(会長)のもと福島市で開催されています.この学会と研究会は2016年に発展的に合同化し「日本皮膚免疫アレルギー学会」と衣替えすること,2017年度は両者を合同で開催することが決まりました.この変遷はアトピー性皮膚炎,接触皮膚炎,蕁麻疹,薬疹などのアレルギー性疾患と血管炎や膠原病等を個別に捉えるのでなく,「免疫アレルギー学」の視点から包括する学問の流れに沿うものと思われます.(「はじめに」より)

私の歩んだ道

よき出会いに恵まれた半生 富田 靖
  • 文献概要を表示

大学を63歳で定年退職してから,仙台市の北隣にある富谷市の自宅近くの複数科診療所に勤務して早8年経つ.そこの院長が大学のテニス部の先輩であったので,院長に頼み込んで皮膚科を新設してもらい勤めることができた.診療時間は月~土曜日の8:30~12:00,14:00~18:00(水・土曜は午前のみ).毎週木曜日14:00~15:00は予約手術を2件ほど入れて,粉瘤・ほくろ・小腫瘍などの治療を行っている.勤務中に業務用の大型缶切で腕を切ったとか,学校の工作の時間に指を切ったとか,転倒による膝の剝離創とか,熱傷の患者など頻繁に飛び込んで来る.小外傷も対応することが知られてきたせいか,年々外傷の飛び込み患者が増えてきている.診療所は仙台市のベッドタウンである新興団地に囲まれているせいか,若い夫婦が多く,患者も半数は中学生以下の子ども,1/4は定年退職後の高齢者で占められている.新生児や高齢者へのスキンケアや,日常生活での注意など皮膚科のホームドクターの役割もしており,また富谷市での常勤皮膚科専門医は私だけということもあり,かなり地域医療に貢献していると自負している.長年苦しんできた皮膚病を短期間で治したときの患者の驚きと喜びに接すると,内心「どうだ」とばかりにほくそ笑んでいる.大学以外勤務したことがなかったが,退職後このような臨床の最前線で充実した毎日が送れるのも,皮膚科という診療科ならではのことと思う.(「はじめに」より)

皮心伝心

診察室の四季

夕立 斉藤 隆

皮膚科のトリビア

第157回 浅井 俊弥

------------

目次

編集後記・次号予告

基本情報

pd_40-7_cover.jpg
皮膚病診療
40巻7号 (2018年7月)
電子版ISSN:2434-0340 印刷版ISSN:0387-7531 協和企画

文献閲覧数ランキング(
5月25日~5月31日
)