皮膚病診療 39巻5号 (2017年5月)

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>肺炎球菌ワクチン接種後に生じた蜂窩織炎様反応と考えられる1例を報告した。局所の肉眼的炎症所見は軽度で、蜂窩織炎単独では高度な炎症反応や筋酵素の逸脱を説明しづらく、臨床所見、経過やCTから壊死性筋膜炎も否定的であった。蜂窩織炎様反応は、同種の防腐剤を含む他のワクチンでの報告はほとんどなく、肺炎球菌ワクチンの主成分に特異的な反応と考えられる。また、同様の報告がBehcet病患者数例にみられることから、Behcet病患者に比較的特異的な反応であることが示唆された。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>エドキサバンによるStevens-Johnson症候群の1例を経験した。エドキサバンによる重症薬疹の報告は今までになく、本報告が初となる。ステロイド薬の全身投与、IVIGを含む集学的治療により後遺症を残さず治癒した。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>初診時から重篤な黄疸と肝機能障害を認め、肝障害が遷延したStevens-Johnson症候群を経験したので報告する。PPIを点滴静注し消化器内科で定期的に上部消化管内視鏡を施行するも、胃穿孔を起こした。眼病変に関しては、当初全盲が懸念されるも、早期からステロイドパルス療法、IVIG療法(5g/日)、眼科での連日の処置と点眼を行い、癒着を防ぎ得た。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>ステロイド大量投与では症状の改善がみられず、免疫グロブリン製剤大量静注療法(high-dose intravenous immunoglobulin、以下、IVIG)が奏効した中毒性表皮壊死症(以下、TEN)の症例を報告した。ステロイドパルス療法を終了してから2日後にIVIGを施行したところ、症状の速やかな改善が認められ、その後も再燃なく治癒させることができた。ステロイド抵抗性のTENの治療において、早期にIVIGを行うことが有用であると考えられた。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>肺障害を伴った薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)の1例を経験した。DIHSは多彩な多臓器合併症をおこしうるため注意すべきと考え報告した。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>壊疽性膿皮症に対して投与されたジアフェニルスルホン(DDS)による薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)の症例を経験した。DDS(レクチゾール)投与開始15日後にリンパ節腫脹と発熱で発症し、再投与で再燃、再度の原因薬剤中止1週間後に紅斑の出現をみた。ステロイド内服中であり、紅斑は軽度であったが、好酸球増多や異型リンパ球の出現をみた。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>成人発症Still病は、発熱、関節症状、皮疹を主症状とする原因不明の全身性炎症性疾患である。成人発症Still病の皮疹は、定型疹と種々の非定型疹が報告されている。定型疹は病理組織学的には特異的所見は得られにくいが、非定型疹は不全角化や表皮の個細胞壊死が特徴的である。そう痒のある非定型疹はpersistent pruritic eruptions(PPE)とされ、治療抵抗性のことがある。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>成人Still病でscratch dermatitis様皮疹を生じた2例を報告した。定型疹のみでなく非定型疹の存在を知ることで、早期診断につながる。scratch dermatitis様皮疹を呈しpersistent pruritic eruptions(PPE)の病理組織学的所見を呈した症例で難治となる可能性がある。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>Cogan症候群(Cogan's syndrome:CS)は眼症状と内耳症状をおこし、しばしば発熱・頭痛などの全身症状や、全身性血管炎を伴う、極めてまれな慢性炎症性疾患である。自験例では、血管炎の症状として全身の膿疱を伴う紅斑という、特異的な所見を呈していた。また、通常数ヵ月~数年の経過をとることが多いが、自験例では複数の症状がほぼ同時に出現、急速に進行した点でも特異的であった。皮膚症状を見逃されている症例や、内耳疾患や他の疾患の一症状と診断されている症例が多いと思われ、血管炎を疑う皮膚症状をみたときには当疾患も念頭に置くべきである。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>川崎病の不定形発疹は、現在までに多形紅斑様、乾癬様、風疹・麻疹様などさまざまな皮疹を呈することが報告されている。自験例は、軽度角化を伴う環状の紅斑を呈し多形紅斑様または乾癬様の皮疹であったが、病理組織学的にはウイルス性中毒疹を示し、臨床像と異なっていた。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>小膿疱を伴う皮疹を呈した川崎病の1例を報告した。小膿疱を伴う皮疹とともに、眼球結膜充血・イチゴ舌などの所見があれば、川崎病を鑑別にあげる必要がある。小膿疱を伴う川崎病に対しては、まず免疫グロブリンによる治療を行い、その後、薬剤由来の急性汎発性発疹性膿疱症(acute generalized exanthematous pustulosis:AGEP)合併の可能性も考慮しフォローすべきであると思われた。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>発熱、両側眼球結膜の充血、イチゴ状舌、全身の紅斑、手足の硬性浮腫、頸部のリンパ節腫脹と川崎病の診断基準をすべて満たした。アスピリンの内服単独で症状が改善した。冠動脈疾患の発症は認められなかった。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>両下腿に浸潤を触れる紫斑があり、臨床、病理組織学的にIgA血管炎との鑑別を要した。その後に出現した手指の皮下結節では、膠原線維の好塩基性の変性と好中球の遊走、それらを取り囲むように組織球の浸潤があり、血管外肉芽腫の所見を認めた。上気道症状、腎症状、多発神経炎を認め、PR3-ANCA陽性であることなどから、多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)と診断した1例を報告した。GPAに血管外肉芽腫がみられることは知られているが、本邦での報告はまれである。全身症状を伴う下腿の紫斑をみた際は、GPAや好酸球性多発血管炎などを念頭に置き、精査する必要がある。

  • 文献概要を表示

<症例のポイント>2週間以上続く高熱、全身倦怠感などを主訴に来院した69歳男性例。両側の浅側頭動脈に索状硬結を触知し、動脈生検を施行した。病理組織学的所見は内膜の肥厚による動脈狭窄と全層性の動脈壁の炎症細胞、多核巨細胞の浸潤を認め、巨細胞性動脈炎と診断した。ステロイド全身投与により奏効するも減量中に再燃し、メトトレキサートの併用を必要とした。

英文抄録

editorial

最近のSLEに思うこと 山本 俊幸

  • 文献概要を表示

皮膚科医が発熱のみで診療することはまずない.いわゆる不明熱の診療は内科医がほぼ行っており,そこに発疹がみられた際に皮膚科が出番となる.感染症なのか,薬疹や膠原病など感染症以外の病変なのか,どのように考え,どのように答えればよいか,いつも他科の医者から試されていると感じる.感染症だけとってみても原因はさまざまである.(「はじめに」より)

  • 文献概要を表示

川崎病は,1967年川崎富作博士により小児の急性熱性皮膚粘膜淋巴腺症候群として報告された疾患である.本疾患の本態は系統的血管炎であり,中でも冠動脈がもっとも高頻度に侵襲され,血管炎により引きおこされた動脈瘤内血栓による冠動脈閉塞のために乳幼児に虚血性心疾患が惹起され,ときに突然死することで注目された.川崎病研究者の懸命な努力にもかかわらず,報告から半世紀を経た現在もなおその原因は不明なままである.

日本が世界に誇る川崎病研究の一つに,1970年以降現在に至るまで40年以上にわたり継続して実施されている川崎病全国調査がある.本調査は2年に一度,全国1,900を超える小児科標榜施設を対象として行われ,回収率は75%に達する.小児科医の協力のもとに回収された調査票は自治医科大学公衆衛生学部門中村好一教授のもとで解析され,その結果は公表されている.本稿では最新の川崎病全国調査成績を中心に,川崎病の最近の動向を紹介したい.(「はじめに」より)

蝶の博物詩

生態23 西山 茂夫

  • 文献概要を表示

このたびの,第40回皮膚脈管・膠原病研究会におきましては,本当に多くの皆様にご出席いただき,心より御礼申し上げます.最後の単独開催というアナウンスをお聞きになったためか,全国各地から大勢の先生方が来場され,お陰様で両日合わせて203名の参加者となりました.(「はじめに」より)

私の歩んだ道

恩師と友人に恵まれて 伊崎 誠一

皮心伝心

ヒトと汗 室田 浩之

診察室の四季

若葉風 斉藤 隆三

皮膚科のトリビア

第143回 浅井 俊弥

------------

目次

編集後記・次号予告

基本情報

hifuksinryo39-5_cover.jpg
皮膚病診療
39巻5号 (2017年5月)
電子版ISSN:2434-0340 印刷版ISSN:0387-7531 協和企画

文献閲覧数ランキング(
5月18日~5月24日
)