皮膚病診療 35巻8号 (2013年8月)

特集 全身症状を伴う皮膚疾患(1)

臨床例

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<症例のポイント>アナフィラクトイド紫斑は皮膚病変のみでなく、腹部症状、関節症状、腎症状など多彩な臨床像を呈する、IgA免疫複合体の関与する細小血管の壊死性血管炎である。消化管病変に対しては比較的高用量のステロイドが必要となる症例が多く、自験例でもプレドニゾロン30mg/dayの初期投与量では反応不良であり、ステロイドの増量が必要であった。紫斑病性腎炎については遅れて出現することがあり、腎不全に至ってしまう場合もあるため、慎重な経過観察が必要である。

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<症例のポイント>Henoch-Schoenlein紫斑病の経過中、腹痛の増悪、下血が出現し、上部・下部消化管内視鏡で所見を認めず、カプセル内視鏡を施行したところ小腸に多発潰瘍を認めた。Henoch-Schoenlein紫斑病の消化器病変は食道から大腸にわたって生じうるが、小腸病変が主体をなしていることが多く、病状評価のためには、苦痛の少ないカプセル内視鏡は利便性が高い。カプセル内視鏡の実施施設は現状では限られており、CTや超音波検査での代替は可能であるが、重症度を含めた総合評価をするためにはカプセル内視鏡が有用である。

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<症例のポイント>APの経過中に下腿の筋症状が2峰性に出現した。アナフィラクトイド紫斑(anaphylactoid prupura、以下、AP)は、皮膚、関節、消化器および腎などを浸す全身性細小血管炎症疾患である。その他におきうる症状の中に筋症状があるが、その頻度は低く、これまでに詳細な検討がなされていない。今回われわれは、2峰性の筋症状を伴うAPを経験し、おのおのの筋症状とCKの変動に解離を認めたため、若干の文献的考察を加えて報告する。1峰目の筋症状はCKの上昇と、紫斑を伴っていたが、2峰目はCKの上昇は伴わなかった。この2峰性の筋症状は異なった機序により生じた可能性がある。教室例の検討では、溶連菌感染が関与した症例に筋症状を伴う割合が高い傾向にあった。

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<症例のポイント>感染症性心内膜炎に伴ってIgA血管炎(Henoch-Schoenlein紫斑病)が生じた。感染性心内膜炎の皮膚症状として、爪下出血、Oslar結節、Janeway斑、septic vasculitisが知られているが、IgA血管炎の報告は少ない。

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<症例のポイント>Wegener肉芽腫症(以下、WG)は、全身性の壊死性肉芽腫性血管炎、上気道および肺の壊死性肉芽腫、腎の壊死性半月体形成性糸球体腎炎を特徴とし、疾患活動期にはProteinase-3に対する抗体(ELISA法でPR3-ANCA)が高率に陽性となる。皮膚・粘膜症状が出現する頻度は47%で、紫斑、口腔潰瘍が多く、ほかには丘疹、結節、潰瘍、血疱、びらん、皮下結節、水疱、膿疱、紅斑、出血斑、網状皮斑、歯肉過形成等を呈する。肺腫瘤として発見され、血疱を伴う紫斑より診断に至り、消化管出血で不幸な転帰をとったWGの症例を経験した。

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<症例のポイント>入院後早期に肺血栓塞栓症の合併を診断したSweet病の症例を経験した。自験例は造影CTで無症候性のヒラメ筋静脈内の深部静脈血栓を塞栓子とする肺血栓塞栓症と診断した。またDダイマーの上昇を認めた。自験例ではSweet病発症前から肥満があり、Sweet病により発熱、経口摂取の低下、臥床傾向となったことから肺血栓塞栓症をひきおこしたと考えた。

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<症例のポイント>本疾患は、不明熱(体温が38℃以上、発熱の期間が3週間以上、3回の通院または3日以上の入院で診断がつかない)の1つとして扱われることが多いが、自験例は特徴的な三徴に加え著明な血清フェリチン値の上昇により早期に診断することができた。高用量のステロイドを服用したところ一時改善したが、サイトメガロウイルス(CMV)の再活性化を認めた。

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<症例のポイント>全身性エリテマトーデスと皮膚筋炎のoverlap症候群にみられたinterstitial granulomatous dermatitis(IGD)の1例を経験した。IGDでは、病理組織学的に柵状肉芽腫のパターンは示さず、真皮の変性した膠原線維とその間に入りこむように組織球が多数浸潤する所見を呈する。現時点では疾患名とはとらえられず、病理組織学的な診断名と考える。IGDは必ずしも基礎疾患の病勢と並行せず、自然消褪と再燃を繰り返すことも多いが、自験例ではoverlap症候群の病勢と並行してIGDが出現し、ステロイドの全身投与で軽快した。IGDの本邦での報告例は少ないが、自己免疫疾患患者に出現する皮膚症状の1つとして認識すべきと考える。

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<症例のポイント>皮膚筋炎患者の5~10%に脂肪織炎の合併がみられる、脂肪織炎は四肢、臀部に好発し、皮下結節、硬結、潰瘍などの皮疹を呈することが多い。脂肪織炎を合併した皮膚筋炎における悪性腫瘍の合併率は、皮膚筋炎全体での合併率と比較して少ない傾向にある。一方、間質性肺炎の合併率は、皮膚筋炎全体での合併率と比較して必ずしも多くはないが、ステロイド抵抗性での死亡例もみられる。脂肪織炎の病理組織像で膜嚢胞性病変を伴うことがある。膜嚢胞性病変、間質性肺炎の発症には微小血管障害という共通の病態の存在が推測され、両者の病勢が並行する可能性を推察する。自験例はステロイドと免疫抑制薬の全身投与により軽快したが、とくに膜嚢胞性病変を伴う脂肪織炎を合併する皮膚筋炎では、間質性肺炎の進行に十分な注意が必要と考える。

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<症例のポイント>限局性強皮症は斑状強皮症、線状強皮症、汎発性斑状強皮症の3型に分類される。剣創状強皮症は線状強皮症の一亜型で、前頭部から前額・顔面に生じた縦走する刀傷状の病変を特徴とする。本病型の多くは片側性に出現する。石灰化、炎症、浮腫、脱髄などの脳病変を伴う場合がある。本症に伴う脳病変の発症機序はいまだ不明だが、皮疹と脳病変は通常は同側に生じることから、なんらかの共通した病態が存在する可能性が考えられている。

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<症例のポイント>Sjoegren症候群と環状肉芽腫の合併報告は少ない。環状肉芽腫の臨床像は環状に配列する結節が多いが、自験例は丘疹が集簇していた点で特異的である。環状肉芽腫にトラニラストが著効した。

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<症例のポイント>高γ-グロブリン血症性紫斑は、主に下肢に慢性再発性の紫斑、色素沈着を生じる疾患である。・基礎疾患のない原発性、基礎疾患のある続発性に分類されるが、続発性のものではSjoegren症候群に合併するものがもっとも多い。今回3例を経験し、うち2例については皮疹を主訴に受診し、高γ-グロブリン血症の診断後にSjoegren症候群の合併を見出すことができた。紫斑の発生にはリウマトイド因子(RF)の関与が推測されており、自験例でも全例に陽性であった。治療は確立されていないが、自験例ではジアフェニルスルホン(DDS)内服が効果を示した。

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<症例のポイント>黄色爪症候群(yellow nail syndrome)は黄色爪、リンパ浮腫、胸水を代表とする肺病変を3徴とする疾患である。最近では、関節リウマチの治療薬として使用されるブシラミンを原因とする症例が多い。実臨床において、多くの黄色爪患者は爪白癬と誤診されている症例が多く存在する。黄色爪がみられた時点で、原因薬剤を中止すれば、改善する症例も見受けられるが、リンパ浮腫、胸水等は不可逆的なことが多いため注意が必要である。

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川崎病は,1967年に川崎富作博士により報告された小児の急性熱性発疹性疾患である.4歳までの乳幼児に好発し,1)5日以上続く発熱,2)両側眼球結膜の充血,3)口唇の紅潮,いちご舌,口腔咽頭粘膜のびまん性発赤,4)不定形発疹,5)四肢末端の変化,(急性期)手足の硬性浮腫,掌蹠ないしは指趾先端の紅斑,(回復期)指先からの膜様落屑,6)急性期における非化膿性頸部リンパ節腫脹などの症状を認める.診断は,「診断の手引き」に基づいて行われる.6つの主要症状のうち,発熱と頸部リンパ節腫脹を除く4症状が皮膚粘膜症状であり,そのほかにも,参考条項としてBCG接種部位の発赤・痂皮形成,小膿疱,爪の横溝などが認められることから,皮膚科医にとっても関連深い疾患といえる.(「はじめに」より)

展望

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血管炎は,臨床,組織像そして免疫・炎症学的な血液検査所見を総合して診断される.それを基に治療に進むのが一般的である.皮膚血管炎においては,皮膚白血球破砕性血管炎の概念の明確化,抗好中球細胞質抗体関連血管炎の皮膚症状とその病態,続発性血管炎(薬剤性,感染性,そして腫瘍随伴性血管炎など)の病態,そして膠原病に伴う血管炎の病態などの検討すべき課題がある.本稿では,主に全身性エリテマトーデス(SLE)に随伴する血管病変について,いくつかの観点から現状を述べる.(「はじめに」より)

総説

全身症状を伴う皮膚疾患 西岡 清
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皮膚疾患は,程度の差はあれ,全身症状を伴うことが多くみられる.発症時から全身症状をきたす場合と,皮膚疾患の経過中に全身症状を発する場合がみられる.また,他臓器疾患を併発あるいは合併する皮膚疾患では,その臓器疾患による全身症状が加わる.ここで全身症状とはどのようなものを指すのかという疑問が残る.(「はじめに」より)

基本情報

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皮膚病診療
35巻8号 (2013年8月)
電子版ISSN:2434-0340 印刷版ISSN:0387-7531 協和企画

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