胸部外科 71巻13号 (2018年12月)

  • 文献概要を表示

肺癌術後の乳び胸はよく知られる合併症であり,その発生頻度は2.2~2.4%1,2)とされている.乳び胸に対する治療の第一選択は保存的治療であるが,その一つとしての無脂肪食の有用性について自験例をもとに検討したので報告する.

まい・てくにっく

  • 文献概要を表示

再弁置換はもっとも頻度の高い心臓再手術の一つであり,人工弁の摘出は手術成功の重要なポイントである.ほとんどの症例で人工弁は自己弁輪と強固に癒着しており,人工弁を取り外す際に自己弁輪を損傷する危険がある.損傷の程度によっては自己弁輪をパッチで再建することが必要となることもある.

  • 文献概要を表示

胸部大動脈疾患に対するオープンステントグラフト(OSG)法はKatoら1)によって最初に報告され,2014年1月にはJ Graft Openステントグラフト(JOSG)[日本ライフライン社,東京]が国内初のOSGとして承認された.Uchidaら2)によってその有用性が報告されている一方で,今日までにOSG法に特有な合併症の報告が少しずつ蓄積されている.われわれは,右側大動脈弓(RAA)の急性大動脈解離に対してJOSGを使用し,術後JOSGの狭窄をきたした症例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

漏斗胸に大動脈弁閉鎖不全(AR)を合併した高齢者に対して,胸骨形成術と大動脈弁置換術を一期的に行い,良好な結果を得たので報告する.

  • 文献概要を表示

上大静脈(SVC)浸潤を伴う胸部悪性腫瘍において,しばしばSVCの人工血管置換が必要となる.SVCの単純遮断や右腕頭静脈と右房とのグラフトバイパスが行われることが多いが,時間制限や手技の煩雑さが問題となる.SVC浸潤を伴う巨大縦隔腫瘍に対して,簡便な術中一時シャントを作成し,安全に切除することができた1例を経験したため報告する.

  • 文献概要を表示

先天性一尖弁は,成人心エコー検査施行例の0.02%のみにみられるまれな先天性大動脈弁疾患であるが1),手術が施行された大動脈弁狭窄症のうち4~6%が先天性一尖弁であったとの報告もされている2).われわれは,先天性二尖弁の診断で手術を施行し,術中所見より先天性一尖弁の確定診断が得られた2例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

  • 文献概要を表示

人工弁感染(PVE)で手術適応となるのは,弁尖破壊による逆流により肺うっ血を呈する症例が主体である1).われわれは,大きな疣腫が弁尖に付着して重症の僧帽弁狭窄をきたし,肺うっ血および低心拍出量症候群(LOS)のため緊急で僧帽弁置換術(MVR)を施行した症例を経験した.現在までにそのような報告例はなく,文献的考察を加え報告する.

  • 文献概要を表示

特発性肺動脈瘤はまれな疾患であり,Deterlingらは約11万例の病理解剖で8例(約0.007%)に認めたのみであったと報告している.そのため治療法や予後は明らかでない部分が多いが,瘤の大きさ,急速な拡大,周囲臓器の圧迫症状,肺高血圧の合併,瘤内の血栓,解離や破裂が手術適応とされている1).われわれは,拡大傾向を呈する径60 mmの特発性肺動脈瘤の1手術例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

Crow・深瀬症候群はまれな疾患であり,心囊液を伴った症例に対して,胸腔鏡下心膜開窓術を行った報告はさらにまれである.われわれは本例に対して胸腔鏡下心膜開窓術を行い,良好な結果を得たので,文献的考察を加えて報告する.

  • 文献概要を表示

肺・気管支カルチノイドは,全肺腫瘍の1%と比較的まれな低悪性度の腫瘍として扱われている.われわれは,治療に苦慮した若年発生の定型カルチノイド(TC)例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

1989年,卒後10年目にはじめて選択的脳灌流法(SCP)を用いて執刀した急性A型大動脈解離に対する緊急手術例である.患者は46歳女性で,上行大動脈から解離を認め,腕頭動脈起始部にエントリーがあり,腕頭動脈に解離が及んでいたため上行弓部大動脈人工血管置換を行った.SCPは右腋窩動脈と左総頸動脈から,10 Frのトロッカーカテーテルで行った.生体糊は未発売であり,中枢側・末梢側はリング付き人工血管を固定・結紮して吻合時間の短縮と止血を図った.弓部分枝再建には腹部用Y型人工血管をalbumin浸漬後にオートクレーブしたものを使用した(図1).術後覚醒もすみやかで,SCPの有効性を確信した.患者は術後29年を経た現在も健在である.

  • 文献概要を表示

筆者は2013年10月~2018年7月の約5年間,米国ボストンにあるマサチューセッツ総合病院,ハーバード大学公衆衛生大学院,ニューヨークにあるコロンビア大学医療センターに留学する機会を得た.留学の目的/動機,留学により得られるもの,失われるもの,またその受け止め方は人それぞれであると思われるが,筆者のこの留学経験記が読者の方々の一助となれば幸いである.

  • 文献概要を表示

はじめに 術前に心膜腫瘍と診断し,術中所見で心膜血腫と収縮性心膜炎が判明し,心膜血腫切除および心膜剝離術を行い,良好な結果を得た1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

  • 文献概要を表示

はじめに 弁瘤は比較的まれな疾患であり,さまざまな原因で発生することが知られているが,心臓腫瘍や感染性心内膜炎(infective endocarditis:IE)に伴う疣贅との鑑別が困難となることがある.われわれは,術前に右房内可動性腫瘍と診断されたが,手術所見および病理組織所見より三尖弁瘤の診断となった1例を経験したため報告する.

  • 文献概要を表示

はじめに 右上大静脈欠損兼左上大静脈遺残はまれな体静脈還流異常であり,開心術や経静脈ペースメーカ電極挿入時などには工夫を要する.われわれは上記異常に加えて心不全症状を伴う僧帽弁閉鎖不全(MR)を合併した症例を経験したので,術前造影所見および術中所見を呈示し,文献的考察も加えて報告する.

  • 文献概要を表示

はじめに Wada-Cutter弁は中心流の確保をめざした革新的な傾斜ディスク弁であったが,その優れた血行動態特性の一方,テフロンディスクが早期に破壊されて脱落し,致命的な塞栓症や弁機能不全が続発したため,使用中止となった.われわれは,47年前に三尖弁位にWada-Cutter弁が移植された症例の人工弁機能不全に対して,再弁置換を施行した.移植状態で現存した最長の症例と思われたが,本例に関しては人工弁の構造的な破壊は認められなかったため報告する.

  • 文献概要を表示

はじめに 冠状動脈瘻に伴う冠状動脈瘤破裂に対して緊急手術を行い,救命した症例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

はじめに 下行大動脈の浮遊血栓という非常にまれな疾患を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

  • 文献概要を表示

はじめに 気胸に原発性肺癌が合併する可能性は0.7~4.4%程度と比較的まれである1~3).われわれは,左下葉ブラ破裂による気胸を契機に発見された,左上葉気管支狭窄を伴う中枢型肺癌の1例を報告する.

  • 文献概要を表示

はじめに 胎児型腺癌は,胎児期の気道上皮に類似した腺管構造を特徴とするまれな腫瘍で,全肺癌の約0.1%と報告されている1).われわれは転移性肺腫瘍と鑑別を要した肺原発胎児型腺癌の1例を経験したので報告する.

化生性胸腺腫の1例 三浦 賢仁 , 阪本 俊彦
  • 文献概要を表示

はじめに 化生性胸腺腫(metaplastic thymoma)は多角細胞成分と紡錘形細胞成分の二相性を示すまれな胸腺上皮性腫瘍である.われわれはmetaplastic thymomaの1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

  • 文献概要を表示

心臓デバイスの進歩は著しい.かつては右室刺激のペースメーカだけであった徐脈治療デバイスは,両心房,心室ペーシング,運動応答機能などを付加した生理的ペーシングが可能なデバイスになった.植込み型除細動器も小型化され,バックアップペーシング機能,両心室ペーシング機能が付加され,心室頻拍,心室細動を治療するのみならず,低心機能例では左室ペーシング補助による両心室ペーシングが可能となった.デバイス本体は年々小型化され,植込み術が容易になった.しかし,不適切なデバイス植込み手技によるデバイス感染は増加する一方である.

胸部外科医の散歩道

超老人 長田 信洋
  • 文献概要を表示

今年,私は65歳になり,長年勤めた県立医療センターを定年退職した.自分の中では,“老人”という意識はないが,65歳になると介護保険制度で高齢者(老人)の枠の中に組み入れられる.先日,介護保険の被保険者証(介護を受ける保険証)が配布されてきた.「人は年を重ねるから老いるのではなく,人から老人扱いされるから老けるのだ」という.変な気持ちだ.周りの者からは,「長い間お疲れ様でした」,「退職後は,ゆっくりできますね」など,ねぎらいの言葉が寄せられる.正直いって「おいおい,まだそんな隠居気分にはなっていないぞ」と宣言したくなる.

基本情報

24329436.71.13.jpg
胸部外科
71巻13号 (2018年12月)
電子版ISSN:2432-9436 印刷版ISSN:0021-5252 南江堂

文献閲覧数ランキング(
12月3日~12月9日
)