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急性A型大動脈解離に対するリング付き人工血管による上行弓部置換術
福田 幾夫
1
1弘前大学胸部心臓血管外科
pp.1096
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu71_1096
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1989年,卒後10年目にはじめて選択的脳灌流法(SCP)を用いて執刀した急性A型大動脈解離に対する緊急手術例である.患者は46歳女性で,上行大動脈から解離を認め,腕頭動脈起始部にエントリーがあり,腕頭動脈に解離が及んでいたため上行弓部大動脈人工血管置換を行った.SCPは右腋窩動脈と左総頸動脈から,10 Frのトロッカーカテーテルで行った.生体糊は未発売であり,中枢側・末梢側はリング付き人工血管を固定・結紮して吻合時間の短縮と止血を図った.弓部分枝再建には腹部用Y型人工血管をalbumin浸漬後にオートクレーブしたものを使用した(図1).術後覚醒もすみやかで,SCPの有効性を確信した.患者は術後29年を経た現在も健在である.
© Nankodo Co., Ltd., 2018