発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009114889
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小児心臓血管手術後にdexmedetomidine hydrochloride(DEX)を用いた計画的鎮静プロトコールを導入した84例(ダウン症5例を含む)について検討した。プロトコールは、初期負荷投与は行わず、0.7μg/kg/時の維持量で、ICU入室約1時間前の術中から投与開始した。ICU入室後は目標鎮静度に応じて0.2~0.7μg/kg/時の範囲で投与量を調節し、人工呼吸器の離脱に関係なく滞在期間中投与を継続した。初期24例は必要に応じてmidazolam、morphine hydrochlorideのレスキュー投与を追加するDEX単剤によるプロトコールで、以後の60例はmidazolam、morphine hydrochlorid、DEXの3剤を併用するコンビネーション投与とした。術中DEX投与開始時に有意な血行動態の変化は無く、また人工呼吸器離脱前後およびDEX投与終了後においても血圧、心拍数は安定していた。ICU入室より人工呼吸器離脱までの時間は中央値12時間で、DEXによると考えられる過鎮静や呼吸抑制を理由とする再挿管例はなかった。DEX投与中は全例で目標の鎮静度の維持が可能で、人工呼吸器離脱の約6~8時間後に経口摂取開始が可能であった。循環、呼吸状態の悪化を理由としたDEX投与中止はなく、DEX投与に関連した異常血液検査所見および有意な副作用は認めなかった。DEXの副次的効果として、術後重症肺高血圧および異所性接合部頻拍発作の発生予防効果が認められた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009