総合診療 30巻8号 (2020年8月)

特集 マイナーエマージェンシー門外放出—知っておくと役立つ! テクニック集

安藤 裕貴
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「マイナーエマージェンシー」とは何か?

例えば鼻出血、異物、脱臼、挫傷など、生命には緊急性はないが、医師の対応によっては専門診療科へ紹介する必要がなく自己完結でき、あるいは地域によってはプライマリ・ケア医が全て自分で対応しなければならないような疾患や病態のグループは、マイナーエマージェンシーと呼ばれることがある。

マイナーエマージェンシーに自信を持って対応する近道は、“1つの方法でダメなら次の方法がある“というオプションを複数持つことである。

本特集では、自分の知っている方法で解決できなかった時に複数のテクニックを持てることを目的として、①確認すべき病歴、②準備すること、③代表的な手技のポイント、④それでもダメな時(手技のオプション)、⑤Do not harm!!に分けて記載し、それらを今回、門外放出の25項目に絞ってまとめてみた。基本から応用まで幅広い知識を持っておくことは、無数の手を持つ千手観音のように、多くの患者さんにとって必ず役立つはずである。まずは、本特集の内容を笑覧いただきながら味わっていただきたい。

異物のマイナーエマージェンシー

眼瞼異物 安藤 裕貴
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確認すべき病歴

◦多くの場合は目の痛み、違和感、ごろつき感、結膜充血、涙が止まらない、目に何かが入ったという主訴で受診する。

◦症状が出る直前にどのようなことをしていたか、風の強い日、運動場や粉状のものを扱う工場など、粉塵の多い環境がなかったかを確認する。

外耳道内の虫 安藤 裕貴
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確認すべき病歴

◦何が入ってしまったか、いつから異物感がするかを確認する。

◦外耳道内に生きた昆虫が入っている場合(図1)、患者の訴えは、「耳の中でガサガサ音がする」である。

鼻腔内異物 安藤 裕貴
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確認すべき病歴

◦何が入ってしまったか(図1)、入った異物は空気の通り道があるかないかを確認する。

◦ビーズやリングのような穴のあいていない異物では、気道内に入った場合に、気道閉塞のリスクが0ではない。

ステーキハウス症候群 安藤 裕貴
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確認すべき病歴

◦食塊が食道閉塞を起こしたもの(図1)を、“ステーキハウス症候群”と呼ぶ。

◦「食事中に苦しくなった」「食べ物が詰まった感じがする」「しゃっくりが止まらない」「嘔気が続いてエヅイている」「胸が苦しい」という主訴で来院することがある。

入れ歯誤飲 安藤 裕貴
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確認すべき病歴と所見

◦「口の中にあったはずの入れ歯がない」「入れ歯ごと食事を飲み込んだ」という訴えで来院する。

◦口腔内に入れ歯がある場合には、予備の入れ歯をはめているのかを確認する。

脱臼のマイナーエマージェンシー

顎関節脱臼 安藤 裕貴
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確認すべきこと

◦外傷性の顎関節脱臼は、骨折を必ず除外する。

◦前方脱臼(図1)か後方脱臼か側方脱臼かを判断する。

肘内障 安藤 裕貴
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確認すべき病歴

◦自分で状況を説明できない年齢の小児では、受傷機転がわからないことが多いため、一般的に小児の外傷診断は難しい。

◦付添者からの情報を頼りにするが、外傷による受傷機転や骨折が否定できない限り、安易に肘内障と決めつけないようにする。

肩関節脱臼 安藤 裕貴
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確認すべき病歴

◦肩関節脱臼(図1)は腕を伸展させた状態で、外力を受けた時に発生しやすい。

◦そのためどのような状況で起きたのかを確認する。

膝蓋骨脱臼 安藤 裕貴
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確認すべき病歴

◦膝蓋骨脱臼の病歴には、「ジャンプの着地の後から膝が痛い」「痛みのために足を伸ばせない」「膝が変形している」というパターンがある。

◦初発の場合は、何が起きたのか、本人にはわからないことが多い。

股関節脱臼 安藤 裕貴
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 股関節脱臼は歩行困難であることが多く、整復には専門性の高い知識と技術が必要と思われがちであるが、本稿ではプライマリ・ケアの場でも実践可能なところまで追求する。

顔のマイナーエマージェンシー

紫外線角膜炎 白神 真乃
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確認すべき病歴

◦紫外線角膜炎(図1)は、多量の紫外線曝露(表1)を受けた後、6〜12時間の潜時をおいて発症する(眼の日焼け)。

◦スキーの後に発症する「雪目」が有名である。

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確認すべき病歴

◦いつ、どのように受傷したか?(ラグビー、ボクシング、レスリングおよび総合格闘技による鈍的外傷に多い)

◦聴力低下はないか?(鼓膜穿孔の合併)

 頭部、顔面、頸部など、耳以外の外傷はないか?

耳垢栓塞 白神 真乃
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確認すべき病歴

◦症状の有無(例:難聴、耳閉感、瘙痒感、疼痛、耳鳴、反射性咳嗽、めまい)を確認する。

◦無症状であれば除去の必要はない。

鼻部・鼻中隔損傷 白神 真乃
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確認すべき病歴

◦いつ、どのように受傷したか?(図1、力の方向を含む)

◦鼻の変形があるか?(鼻骨骨折や軟骨損傷を示唆)

鼻出血 白神 真乃
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確認すべき病歴

◦鼻出血(図1)は二峰性の年齢分布。子どもと高齢者に多い。

◦いつから出血しているかを確認する。

口腔周囲損傷 白神 真乃
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確認すべき病歴

◦いつ、どこで、どのように受傷したか?

◦関連する外傷による症状はないか?

下顎部裂創 白神 真乃
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確認すべき病歴

◦いつ、どこで、どのように受傷したか?(図1)

歯が折れた 白神 真乃
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確認すべき病歴

◦いつ、どこで(破傷風予防の必要性)、どのように受傷したか?(図1、歯以外の損傷部位の推測、また虐待の可能性)

◦知覚過敏があるか?(象牙質や歯髄の露出)

指先のマイナーエマージェンシー

スライサー損傷 丹野 翔五
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確認すべき病歴

◦スライサーや包丁による指先の損傷(図1)は、成傷器が日常的に使用されるものであるため、外来で診療する機会は比較的多い。

◦「指を切った」や「削いだ」などの訴えで患者が来院したら、まず受傷機転を確認する。キッチン用品で受傷する頻度が高いが、屋外や工場内で使用される鋭利な器具で受傷している場合、創内が土埃や潤滑剤などで汚染されている可能性がある。その場合は局所麻酔を施行した後、創部の十分な洗浄を行う。

陥入爪 丹野 翔五
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確認すべき病歴

◦深爪やサイズの合わない靴を履き続けることにより、爪が変形して、側爪郭(爪の脇に接する皮膚の盛り上がり)に食い込んでしまい、痛みや腫れを引き起こすことがある(陥入爪、図1)。症状改善のためには、爪と側爪郭を引き離すことが必要である。

◦どの年齢層でも起こりうるが、足のサイズが急激に変化する青少年期に生じることが多く、ほとんどが母趾である。

爪下血腫・爪床損傷 丹野 翔五
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確認すべき病歴

◦「指を車のドアに挟んだ」「足の指の上に重いものを落とした」などのきっかけで、爪の下に血腫が形成されることがある(爪下血腫)。同様の受傷機転で爪が割れてしまっている場合、爪床にも裂創を伴っていることが多い(爪床損傷)。

◦爪下血腫が生じた場合、血腫により爪床が末節骨に押し付けられ、高度な疼痛を引き起こす。症状改善のためには血腫除去が必要である。爪下血腫が生じていても疼痛を伴わない、もしくは軽微である場合は、治療対象としない。

マレットフィンガー 丹野 翔五
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確認すべき病歴

◦マレットフィンガー(図1)はいわゆる「突き指」。外傷で、最も頻度が高い。

◦野球やバレーボール、バスケットボールなど、球技で受傷することが多い。

PIP関節脱臼 丹野 翔五
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確認すべき病歴

◦指関節の脱臼のなかで、PIP(近位指節間)関節脱臼(図1)が最も頻度が高い。

◦骨が成熟した青年期以降で生じることが多い。骨が未熟な小児期では同様の受傷機転で、成長板に及ぶ骨折をきたすことが多い。

指輪除去法 丹野 翔五
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確認すべき病歴

◦外傷や浮腫(局所の感染、アレルギー、長時間同じ体勢)などにより指の腫脹をきたし、指輪の除去が困難になる。

◦手術や血管造影検査のため指輪を外そうとした際に、容易に外れず困ることもある。

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確認すべき病歴

◦手指や足趾、外性器(陰茎、クリトリス)などに毛髪や糸くずが絡まり、腫脹や虚血症状をきたしたものを、ヘアーターニケット症候群という。

◦乳児の足趾に生じることが多く(図1)、成人では稀である。

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column 1 指先の包帯法テクニック

 指先に包帯を巻くときは、すぐに外れてしまうため苦労します。

 外れない包帯法のテクニックのコツは「指先だけに包帯を巻かない」ことです。たとえば図のように先に手首から巻いて、そのあと指先に包帯を巻くという方法があります。この方法では、たとえば指先部のスライサー損傷(p.972)のように、圧迫もしながら包帯法をしたい時に良い圧迫が得られます。

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 私がER型救急医として臨床を続けていくなかで、支えになっている言葉があります。

 私の師匠は福井大学名誉教授で、前救急部・総合診療部教授の寺澤秀一先生です。その寺澤先生が、今から40年前に単身北米でER型救急を学んでおられた時に師事した医師が、ある本の序文にこのようなことを書いていました。

What's your diagnosis?[212]

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病歴

患者:70歳、女性

現病歴:4カ月前から発熱が出現。3カ月前から頻度が増えたため前医受診し、好酸球増多を指摘され、被疑薬のアムロジピンを中止したが熱は続いた。2カ月前に前医CTで肝臓に多発低吸収域を認めた。寄生虫抗体検査(表1)からブタ回虫を疑い、アルベンダゾールが投与されたが改善しないため、当院を受診された。

ROS陰性:寒気、盗汗、頭痛、咽頭痛、咳嗽、悪心・嘔吐、腹痛、下痢、光線過敏、口内炎、Raynaud現象、筋肉痛、しびれ、関節痛

既往歴:狭心症

内服歴:カンデサルタン、アスピリン、アトルバスタチン、アムロジピン(3カ月前に中止)、フェキソフェナジン。サプリメント・漢方薬なし

生活歴:喫煙歴なし。機会飲酒

社会歴:日本海側の田園部に住む専業主婦。雑種犬を飼育。海外・沖縄・奄美への渡航なし。家庭菜園でレタスなどを育て、食べている。10年前から夫が獲ってきた野生のイノシシを加熱して食べていたが、1年前から食していない。川魚・カニ・生レバー・生肉の喫食歴なし

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 2020年6月1日、私たちは、総合診療専門研修に関わる若手医師有志で「総合診療専門医検討委員会にChangeを!」と称する取り組みを始めました。その第一歩として、❶専攻医の代表を同委員会に加えること、❷議論の透明性をより確かなものにすることを求める署名活動をオンライン上で開始しました。

【エッセイ】アスクレピオスの杖—想い出の診療録・5

私でなければ 深田 絵美
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本連載は、毎月替わる著者が、これまでの診療で心に残る患者さんとの出会いや、人生を変えた出来事を、エッセイにまとめてお届けします。

Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!医学と日常の狭間で|患者さんからの素朴な質問にどう答える?・5

笑い過ぎて死にそう 上田 剛士
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患者さんからのふとした質問に答えられないことはないでしょうか? 素朴な疑問ほど回答が難しいものはないですが、新たな気づきをもたらす良問も多いのではないでしょうか? 本連載では素朴な疑問に、文献的根拠を提示しながらお答えします!

“コミュ力”増強!「医療文書」書きカタログ・3

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今月の文書

診療情報提供書

セッティング:急性期病院→地域包括ケア病棟をもつ他院への引き継ぎ依頼。

患者:96歳、男性。誤嚥性肺炎の急性期を脱し「施設退院」を目指すも、まだしばらく喀痰吸引とリハビリが必要な状態。

【登場人物】

桜井:臨床研修医2年目。入院担当医。

飛鳥:総合診療科医師。桜井の指導医。

八木:地域医療連携室(地連)のメディカルソーシャルワーカー(MSW)。

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・44

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CASE

患者:43歳、男性。

主訴:意識消失、前胸部痛。

既往歴:高血圧、良性発作性頭位めまい症、胃潰瘍、両側股関節症。

内服薬:なし。

家族歴:祖母;大動脈解離の手術歴あり、母;糖尿病、父;白内障、兄;高血圧。

嗜好歴:喫煙歴(40本/日×20年間)、飲酒歴(週2回 泡盛1合)。

現病歴:受診4日前、買い物中に突然前胸部の疼痛を認め、その後意識消失したため、当院へ救急搬送された。搬送後には意識状態は改善しており、胸部の違和感は残存するも、迷走神経反射疑いで帰宅となった。その後、胸部症状は消失していた。受診日午前8時半、農作業中に突然背部痛が出現し持続するため、救急外来を再受診した。

素人漢方のススメ|感染症編・8

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 今月は、急性化膿性疾患についてです。抗菌薬のなかった時代には、当然漢方薬がこれらの疾患に頻用されていましたが、現代では抗菌薬を使わないという選択肢はほぼ不可能です。したがって漢方薬は補助的な役割とならざるをえません。

 まず、急性化膿性疾患の漢方医学的解釈について概説します。

“JOY”of the World!|ロールモデル百花繚乱・8

初心を忘れず、信念を貫く 津田 喬子
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 臨床医として40年超、私は「麻酔科医」の道を歩んできた(図1)。そのなかで女性医師が男性医師と平等な立場でキャリア継続と向上を遂行するには何が必要かを考えて、さまざまな取り組みを行ってきた。特にこの10年は、日本女医会の会長としての4年間の活動も含めて力を入れている(表1)。それでも、昨今の医療界の状況に期待したような進展はなく、道半ばと痛感している。今一度初心に返り、これからの後進の道を拓いていくために、これまでを振り返ってみたい。

【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第5話

危機がわからない医者 國松 淳和
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前回までのあらすじ 今月のナゾ

 救急外来で、発熱と軽い意識障害、皮疹で運び込まれた23歳・女性(バセドウ病の既往あり)が、ショック状態をきたしている。優秀な後期研修医・栗塚は、救急科ローテーション最終日前日、初期研修で叩きこまれた病歴聴取と身体診察を駆使して、この患者に鮮やかに診断をつけ、高揚していた。敗血症性肺塞栓、右心系の感染性心内膜炎、原因菌は黄色ブドウ球菌に違いない。しかしその夜、栗塚は寝つけなかった。彼女は違法静注ドラッグを使っている可能性がある…。それに、「なんとなく」何かが気になって——。

 診断も治療も間違ってはいない。それでも、患者の病状が予期せず悪化することがある。いろいろ手を尽くしてみても改善しない。実は「危機」に瀕している。今回の患者もそうだ。なぜ? 前回そして今回の描写のなかに、すべてのヒントはあったのに。

投稿 GM Clinical Pictures

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CASE

患者:58歳、男性。主訴:呼吸困難、喘鳴。

現病歴:呼吸困難を主訴に、近医より喘息発作として紹介受診される。1週間前に体幹部に皮疹が出現したため皮膚科を受診し、非特異的な中毒疹の診断でミノサイクリンが処方されたとのこと。皮疹は痂皮化したが、1週間の経過で喘鳴と呼吸困難を自覚したという。

既往歴:なし。喫煙歴:20本/日×38年。現症:体温36.7℃、血圧124/81mmHg、脈拍数115回/分、呼吸数18回/分、SpO2 94%(室内気)。

身体所見:胸部聴診で両側全肺野に呼気時wheeze。

検査所見:WBC 12,910/μL、Eos 23.4%、CRP 0.867mg/dL、IgE 1,860U/mL。

画像所見:胸部CT(図1, 2)には両側びまん性に気管支血管束の肥厚が見られ、肺野にすりガラス影や浸潤影は指摘されない。

投稿 Correspondence

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 今年1月号巻頭(本誌30巻1号、p.2〜13)の新春座談会「もう語らずにはいられない!『この国の総合診療の問題』を斬ってみた。」(青木眞氏×藤沼康樹氏×徳田安春氏)を興味深く拝読した。総合診療医の志と改善点をお話しいただいていた。内容は刺激的であり共感できる部分が多かった。一方で、総合診療医は長年同じことで悩み、お三方をもってしても脱却できていないのかと暗澹たる思いもした。

 私は今、総合診療医が社会でなぜ求められるようになっているかを考察する時期に来ているのではないかと思う。日本はかつてほど輝きを持った国ではなくなっている。日本の名目GDPは今なお世界3位だが、1人当たりGDPは30位前後にまで落ち込んでいる。中進国の発展もあるが、ここ30年、実質的に成長できなかったというのが日本の現状だ。地方に行けばシャッター通りが続き、企業の倒産や不祥事が毎日のように報道される。子どもは増えず、高齢者の割合は30%を超えそうな勢いだ。国そのものが老いて活気がない。格差も広がってしまった。

#総合診療

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「高齢患者は難しいから嫌いです……」

「この高齢患者さん、なんで来た(受診した)のかわからないんですけど…」

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 私は、現在は一介の開業医ですが、2003〜2005年にWHO(世界保健機関)南太平洋事務所にて、結核対策専門官として南太平洋15カ国における結核感染症対策に携わる機会がありました。赴任前の2002年10月、当時WHO西太平洋地域事務局(WPRO)の事務局長だった尾身茂先生の面接を受けました。ちなみに、私をWHOに誘ったのは、現WPROの葛西健先生です。葛西先生は私を事務局長室に連れて行き、尾身先生を紹介してくださいました。当時の私は30歳台前半で、WHO内の右も左もわからず、国際保健業界ですでにレジェンドであった尾身先生を前に、カチコチに緊張しました。尾身先生は、テレビでの印象とは異なり、どちらかというと親分肌の方でした。緊張でろくに返事もできない私を、葛西先生が助けてくれたのを覚えています。

 COVID-19(新型コロナウイルス感染症)流行による混乱のさなかにある2020年5月11日、参議院予算委員会にて国会議員の質問に対する尾身茂先生の答弁があり、優しい口調で語りかけるように丁寧にお答えになる姿を動画で見ました。国内外の会議において雄弁で大胆にご発言をされる尾身先生を私は知っているので、「ちょっと意外……」と思いつつ見ていたところ、答弁を妨げるようなやじや、期待した内容の答弁が得られなかったことに対するいら立ちの声があがり驚きました。

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目次

『総合診療』編集方針
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 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

2018年1月  『総合診療』編集委員会

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総合診療
30巻8号 (2020年8月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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