【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第5話
危機がわからない医者
國松 淳和
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1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.1026-1031
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202772
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前回までのあらすじ 今月のナゾ
救急外来で、発熱と軽い意識障害、皮疹で運び込まれた23歳・女性(バセドウ病の既往あり)が、ショック状態をきたしている。優秀な後期研修医・栗塚は、救急科ローテーション最終日前日、初期研修で叩きこまれた病歴聴取と身体診察を駆使して、この患者に鮮やかに診断をつけ、高揚していた。敗血症性肺塞栓、右心系の感染性心内膜炎、原因菌は黄色ブドウ球菌に違いない。しかしその夜、栗塚は寝つけなかった。彼女は違法静注ドラッグを使っている可能性がある…。それに、「なんとなく」何かが気になって——。
診断も治療も間違ってはいない。それでも、患者の病状が予期せず悪化することがある。いろいろ手を尽くしてみても改善しない。実は「危機」に瀕している。今回の患者もそうだ。なぜ? 前回そして今回の描写のなかに、すべてのヒントはあったのに。
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