投稿 Correspondence
本誌1月号「新春座談会」に寄せて
若林 崇雄
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1JCHO札幌北辰病院総合診療科
pp.1018-1019
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202770
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今年1月号巻頭(本誌30巻1号、p.2〜13)の新春座談会「もう語らずにはいられない!『この国の総合診療の問題』を斬ってみた。」(青木眞氏×藤沼康樹氏×徳田安春氏)を興味深く拝読した。総合診療医の志と改善点をお話しいただいていた。内容は刺激的であり共感できる部分が多かった。一方で、総合診療医は長年同じことで悩み、お三方をもってしても脱却できていないのかと暗澹たる思いもした。
私は今、総合診療医が社会でなぜ求められるようになっているかを考察する時期に来ているのではないかと思う。日本はかつてほど輝きを持った国ではなくなっている。日本の名目GDPは今なお世界3位だが、1人当たりGDPは30位前後にまで落ち込んでいる。中進国の発展もあるが、ここ30年、実質的に成長できなかったというのが日本の現状だ。地方に行けばシャッター通りが続き、企業の倒産や不祥事が毎日のように報道される。子どもは増えず、高齢者の割合は30%を超えそうな勢いだ。国そのものが老いて活気がない。格差も広がってしまった。
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