総合診療 28巻11号 (2018年11月)

特集 日本一マジメな「おしっこドリル」—今これだけは押さえておきたい腎・泌尿器のモンダイ

柴﨑 俊一 , 山中 克郎
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プライマリ・ケアの現場において、腎・泌尿器関連のモンダイを抱えた患者さんは少なくありません。電解質異常や感染症、がん、糸球体腎炎、高齢者の尿失禁など、その病態はさまざま、時に複雑で、適切な診断・治療を行うには幅広い知識が問われます。そこで本特集では、プライマリ・ケア医が身につけておくべき「腎・泌尿器科領域の必須知識」の習得を目指し、ドリルを作成しました。

各問の主題は、腎・泌尿器科領域で“今これだけは押さえておきたい”ポイントを網羅的にカバーできるよう構成しました。平均正解率は50%を想定しています。力試しをするうちに、自分のウィークポイントに気がつき、必須知識を習得できるはずです。“とっつきづらい腎臓病”“苦手な泌尿器疾患”を、楽しく学んでいただければ嬉しく思います。読者のみなさんにとって、日本一役立つ「おしっこドリル」になれば幸いです。

それでは、テストを始めましょう!

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Q01 30歳、女性。2日前からの排尿困難・尿意切迫・頻尿・肉眼的血尿のため受診。発熱・悪寒・背部痛・帯下増加はない。

尿所見:白血球エラスターゼ 陽性、亜硝酸塩 陽性。グラム染色;グラム陰性桿菌と白血球を認める。

 「単純性膀胱炎」として、ニューキノロン系抗菌薬を処方した。症状は速やかに改善したが、抗菌薬3日間内服後に、特に誘因なくアキレス腱痛が出現したため、再受診した。

身体所見:アキレス腱の腫脹・圧痛を認める。

尿培養:大腸菌で、すべての抗菌薬に感受性良好であった。

 

本症例について正しい記述は?

ⓐ 尿試験紙検査が陰性であれば、尿路感染は否定できる

ⓑ 排尿時痛や頻尿などの症状があれば、膀胱炎と確定診断できる

ⓒ 膀胱炎に対する第一選択薬として、ニューキノロン系抗菌薬を使用する

ⓓ アキレス腱の痛みは、ニューキノロン系抗菌薬による副作用の可能性が高い

解答はp.1492☞

(出題:山口 真)

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問題「Q1〜Q60解答」

復習用INDEX

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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

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「覚えにくい腎臓病、わかりにくい腎臓病をとっつきやすくする」。本家“〇〇〇ドリル”にも負けない、そんな熱い願いを込めて、今回の企画はスタートしました。

 ご存知のとおり、慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は罹患者数が1,000万人以上を超える、いわば“国民病”です。病棟管理をしていたら「低ナトリウム血症」などの電解質異常は頻発で、外来をしていれば健診異常で「血尿」や「蛋白尿」で多くの方が受診されます。そんなコモンディジーズが多い腎臓領域ですが、非専門の先生方が手軽に学べる入門書はきわめて限られているのが現状です。

Update'18

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 WONCAとは「World Organization of National Colleges、Academies and Academic Associations of General Practitioners/Family Physicians」の頭文字をとったもので、名称が長いので「World Organization of Family Doctors(世界家庭医機構)」と略称されます1)。フルネームからもわかるように、世界各国の「家庭医」や「総合診療医」の学会が加盟している組織で、日本からは日本プライマリ・ケア連合学会が加盟しています。

What's your diagnosis?[191]

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病歴

患者:91歳、女性。

主訴:意識レベル低下。

現病歴:認知症あり、ADL(activities of daily living)は全介助で施設入所中。以前から原因不明の全身疼痛の訴えがあり、アセトアミノフェン900mg/日が処方されていた。疼痛の改善が乏しいため、受診15日前にトラマドール70mg/日が追加され、受診8日前に140mg/日に増量された。受診3日前から傾眠傾向が出現し、食事量が普段の2割程度に減少した。受診前日にトラマドールを70mg/日に減量されたが、意識レベルの改善がなく、当院を受診した。

ROS:陰性症状;発熱、頭痛、嘔吐、下痢、麻痺、痙攣。

既往歴:左頭頂葉皮質下出血、症候性てんかん、高血圧症、発作性心房細動、発作性上室性頻拍、慢性C型肝炎。

内服歴:トラマドール70mg、アセトアミノフェン650mg、バルプロ酸600mg、ジルチアゼム100mg、シベンゾリン100mg、アピキサバン50mg、ドネペジル10mg、酸化マグネシウム990mg、フロセミド40mg。

アレルギー歴:なし。

喫煙歴・飲酒歴:なし。

I LOVE Urinalysis|シンプルだけどディープな尿検査の世界・20

喀痰に尿試験紙?! 上田 剛士
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Case

患者:51歳、男性。

現病歴:3日前からの発熱、咳嗽。図1のような色調の痰が採取された。

国試にたずねよ・23

木を診ず森から診よ 山中 克郎
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 ユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史—文明の構造と人類の幸福』1)を読んだ。衝撃的な内容だった。狩猟生活から農耕生活へと移行した農業革命を「史上最大の詐欺」だったと説く。食物生産力が高まり、上流階級の生活は向上したが、多くの人々の生活は悪化し、持てる者と持たざる者の格差が生まれた。

 “貨幣”や“宗教”という神話(空想上の概念)を信ずることで、見知らぬ人同士が力を合わせてきた。物々交換では、経済の発展は限定的だ。ある人が自分のつくった米と別の人が持つチーズを交換したいと思っても、チーズを持つ人は米を必要としないかもしれないからだ。誰もが“貨幣”という共通の価値を認めることにより、多くの人との交易が可能となり経済は発展してきた。

みるトレ Special・23

グラム陰性双球菌の菌血症? 笠原 敬
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患者:70歳台、男性。がん治療にて入院中。

主訴:発熱。

現病歴:201X年6月3日に下咽頭がんの切除術を行い、その後はシスプラチンによる術後化学療法を行っていた。7月12日から発熱が出現し、「誤嚥性肺炎」の診断でスルバクタム/アンピシリンが投与されたが改善せず、7月16日からタゾバクタム/ピペラシリンが投与されたが発熱が持続し、同日採取された血液培養が陽性になった(図1)。

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・23

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CASE

患者:68歳、女性。

主訴:痙攣、意識障害、いびき様呼吸。

現病歴:もともと頭痛持ちで、2カ月前に頭痛精査のため頭部MRIが撮影されたが異常所見は認めず、頭痛時にアセトアミノフェンを頓服していた。入院前日の昼、ベランダへ出た時のピリピリするような頭痛を主訴に、急病センターを受診した。意識清明で血圧144/92mmHgと軽度高値以外には、発熱等のバイタルサインの異常や神経学的異常所見を認めず、jolt accentuation陰性、帯状疱疹を疑う皮疹も認めず、帰宅となった。同居の兄によると、帰宅後は普段と変わりなく過ごしていたとのこと。同日の24時頃、トイレの電気点灯中誰もいないため、兄が本人の部屋に行くと、テーブルの上で仰臥位で倒れているのを見つけ、救急要請した。意識はなくいびき様呼吸で、舌が切れて出血していた。病院到着までに1回2分程度の全身性痙攣を5回繰り返していた。

既往歴:関節リウマチ、Sjögren症候群、逆流性食道炎。

常用薬:プレドニゾロン7.5mg、タクロリムス2mg、メトトレキサート6mg(週1回)、サラゾスルファピリジン1,000mg、イソニアジド250mg、エメプラゾール20mg、ゴリムマブ50mg(4週に1回、皮下注射)。

家族歴:痙攣なし。

アレルギー歴:なし。

生活歴:飲酒歴・喫煙歴なし。

こんなときオスラー|超訳『平静の心』・23

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CASE1

◦困難な時代の生き方

A医師は、ある漫画を読んだことがきっかけで、日本の国益を守ることが日本国民にとって最も重要であると考えるようになった。そんな折、日本人を拉致していたアジアのあるN国が、ミサイルを日本海に打ち込むという行為を行うようになった。A医師は、日本と安全保障条約を結んでいるU国の軍隊が、N国に対して先制攻撃を行うべきだと考えるようになった。たとえそれによって、N国の民間人を大量に死滅させることになったとしても、である。これは「報復」なのであり、拉致やミサイル発射を行ったN国に責任があるのだから仕方がない、と考えた。

ジェネラリスト漢方Basics|東西2つの視点でアプローチ・11

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 季節は秋。インフルエンザの予防接種で多忙な時期を過ぎると、いよいよ風邪の季節に突入です。今回から2回に分けて、風邪の漢方治療を紹介します。風邪は、「ウイルスによって起こり、良性で自然軽快する上気道症状主体の症候群」と定義されるが、後から振り返って初めて確定できる。また、たいてい典型的な風邪症候群の患者は、わざわざ医療機関を受診せず、自分で治し、診療所へは、本当に風邪かどうか悩ましい患者や、自己治療を試みたが重症化して、抗菌薬の投与を行うかどうか悩ましい患者が訪れる。地域の一般外来は、「風邪に始まり、風邪に終わる」と言っても過言ではない。

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今月の処方箋

A内科医院より

•バイアスピリン®(アスピリン)100mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•ミカルディス®(テルミサルタン)40mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•ラシックス®(フロセミド)20mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•リピトール®(アトルバスタチン)5mg

 1回1錠 1日1回 夕食後

•ハルナール®(タムスロシン)0.2mg

 1回1錠 1日1回 夕食後

•センノサイド®(センノシド)12mg

 1回2錠 1日1回 就寝前

総合診療専門医セルフトレーニング問題・18

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セッティング

郡部の無床診療所。あなたを含む総合診療医3人、総合診療専攻医1人、看護師3人体制で診療をしている。診療所では尿検査(定性のみ)、X線、心電図などはすぐに結果がわかるが、血液検査はすべて外注。CT、MRI、上部消化管内視鏡などの検査および入院は、車で30分の総合病院に依頼している。

#総合診療

#今月の特集関連本

#今月の特集関連本

#今月の連載関連本

#医学書院の新刊

#編集室に届いた執筆者関連本

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 大都市の総合病院の救急外来はもちろんのこと、中小病院の外来さらには病棟での急変対応、また、郡部やへき地の診療所において遭遇する準救急的な健康問題など、われわれプライマリ・ケアに携わる医師は多様な健康問題に対し、病歴・身体診察・簡単な検査で対応する“基礎体力”を身につける必要がある。評者も、患者でごった返す総合病院の救急外来を1人でさばく経験、北海道の郡部で1人救急搬送される患者に対応する経験、訪問診療を行う在宅患者に想定外の急変があり慌てて往診する経験などをもち、これまで数多くの救急に対応してきた。大事なのは、救急対応において一定のパターンを体得しつつ、例外的状況に対する鋭敏な感覚を養うことだと思う。そのために、経験ある指導医から学ぶことの価値は計り知れないが、そうした指導医が在籍する医療機関はそう多くないのが現実である。

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『総合診療』編集方針
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 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

2018年1月  『総合診療』編集委員会

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基本情報

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総合診療
28巻11号 (2018年11月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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