国試にたずねよ・23
木を診ず森から診よ
山中 克郎
1
1諏訪中央病院総合内科
pp.1547-1550
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201782
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
ユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史—文明の構造と人類の幸福』1)を読んだ。衝撃的な内容だった。狩猟生活から農耕生活へと移行した農業革命を「史上最大の詐欺」だったと説く。食物生産力が高まり、上流階級の生活は向上したが、多くの人々の生活は悪化し、持てる者と持たざる者の格差が生まれた。
“貨幣”や“宗教”という神話(空想上の概念)を信ずることで、見知らぬ人同士が力を合わせてきた。物々交換では、経済の発展は限定的だ。ある人が自分のつくった米と別の人が持つチーズを交換したいと思っても、チーズを持つ人は米を必要としないかもしれないからだ。誰もが“貨幣”という共通の価値を認めることにより、多くの人との交易が可能となり経済は発展してきた。
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.