BRAIN and NERVE 64巻4号 (2012年4月)

増大特集 パーキンソン病の新しい側面

平田 幸一
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Ⅰ.パーキンソン病の病態生理のとらえ方の最近の変化と非運動症状

 パーキンソン病(Parkinson disease:PD)は,その4大症候,すなわち振戦,固縮,無動,姿勢反射障害が示すとおり,錐体外路系障害による運動疾患として長い間認知されてきた。その病態生理も,黒質緻密相ドパミン含有神経細胞の変性を主病変とする疾患であり,ドパミン補充療法さえうまく行けばその治療は完遂すると考えるのが一般的であった。しかし,近年の研究により,黒質が障害されるはるか以前から,嗅覚,自律神経系などが障害され,徐々に脳幹をさかのぼるように病変が進み,黒質が障害されて初めて運動症状が出現するというBraak仮説が脚光を浴びることになった。この仮説では,病変の進行は黒質にとどまらず,さらに上行してMeynert核,扁桃体,大脳皮質と進み,知的機能低下や幻覚,妄想などをきたすとの推論がある。一方,たとえ孤発性PDであっても,その発症,進展形式は一律ではなく,α-シヌクレオパチーという観点からPDをみた場合,Lewy小体は皮質から下降するため精神症状が先行し,のちに運動症状が発現する場合があるとの考えもある。さらに,ドパミン系以外の神経伝達物質の異常がどのように関与するのかもほとんどわかっていない。

 運動症状以外のこれらの症状は,患者のQOL(quality of life)低下の一因ともなっているばかりか,これらの症状を早期に発見することが早期治療につながるとも考えられつつある。PDの非運動症状はTable1のようにまとめられるが,本特集はテーマを「パーキンソン病の新しい側面」と題し,そのトピックスのみを述べることとする。したがって,非運動症状のすべてを網羅する特集ではないことをはじめにお断りしておく。

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はじめに

 パーキンソン病(Parkinson disease:PD)を最初に報告したイギリスのJames Parkinsonは,“An essay on the shaking palsy”の中で,PDでは知的機能は障害されないと記載している1)。しかしながら,PDの生命予後の改善に伴って認知症の発現が問題として浮かび上がり,神経心理学的研究の発展に伴って病初期から多様な認知機能障害を呈することも広く認知されるようになった。

 これまでの研究では主に,遂行機能,記憶,視空間機能,言語といった認知機能障害の有無が検討されており,特に最近では社会的認知機能についての知見も報告されている。本稿では,PDにおけるこれら各種認知機能に関する先行研究を概説し,その背景にある神経基盤について考察する。PDにおける認知症も重要な問題ではあるが,ここではその基盤となっている認知機能障害を分析することとし,認知症を伴うPDについて直接は触れない。

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はじめに

 パーキンソン病(Parkinson disease:PD)は緩徐に進行する安静時振戦,筋固縮,無動,姿勢反射障害という4大症候を呈する錐体外路系の進行性変性疾患であり,日本の有病率は人口10万人あたり約120~150人である。PDは幅広い世代で発症し得る疾患だが,高齢になるほど発症率および有病率は増加する傾向にあり,本邦では社会の高齢化に伴い患者数が増加している。病理学的には中脳黒質緻密質のドパミン(dopamine)分泌細胞の変性が主体であるが,ノルアドレナリン系(青斑核),セロトニン系(背側縫線核),アセチルコリン系(Meynert基底核)の各ニューロンの変性~消失が組み合わさって生じており,その結果運動系ならびに非運動系のさまざまな障害が生じる。

 近年,PDにおける非運動症状(nonmotor symptoms:NMS)の存在はより重要視されており,気分障害をはじめとして,認知機能障害,精神症状,自律神経障害,感覚障害など多枝にわたる。これらNMSは,PDの進行期の症状のみならず,ごく病初期の段階から認知・情動・行動面を含めた非運動系の機能にも問題がみられることが報告されており,予防医学的な観点からもNMSの早期発見,早期診断は重要であるとされている1)。NMSの気分障害の中でもうつ病(うつ状態)や意欲低下,パニック障害を含む不安障害は,報告ごとの差はあるが高率に合併しやすく,患者のQOL(quality of life)や家族の介護負担に悪影響を与える大きな要因として認識されている。また,これらと運動症状は相乗的に影響しあうと言われており,不適切な対応は治療そのものに悪影響を与えかねない。

 本稿では,PDに伴うNMSの中からうつと不安障害を中心に,その病態や治療について当施設での検討結果を踏まえながら概説する。

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はじめに

 パーキンソン病(Parkinson disease:PD)では,中脳黒質ドパミン神経変性による運動症状のほかに,非運動症状であるうつ,認知機能障害,睡眠障害,嗅覚障害が高率に合併する。これらの症状は生活の質に与える影響も大きいことから,その重要性が認識されてきている。また,これらの症状は運動症状に先行する場合もあり,非ドパミン系の障害が示唆される。そして,一部の症状ではドパミン作動薬の効果も得られ,運動症状とともに今後の重要な治療ターゲットである1)

 近年のPD約1,000例を対象にした大規模研究では,約99%が非運動症状を合併し,睡眠障害は約64%にみられた2)。一方で,多くの非運動症状は問診調査が施行されるまで認識されず,通常診療では見すごされている可能性が指摘されている3,4)

 PDにおける睡眠状態の悪化,夜間の運動症状,日中の眠気の存在は,既にJames Parkinsonの原著“An essay on the shaking palsy”5)に記載されている。睡眠障害はPDの主要な非運動症状であり,日中の運動機能とともに6),または独立して7),PD患者の生活の質を損なう大きな要因であると報告されている。日中の過度の眠気,突発性睡眠は,1999年のFruchtら8)による非麦角系ドパミンアゴニスト服用中のPD患者の自動車事故の報告から,ドパミン作動薬との関連が見出され,社会的に注目を集めた。その後の研究によりすべてのドパミン作動薬が眠気を起こす可能性があり,疾患自体の影響として眠気を生じることが明らかになっている。

 1996年にはSchenckら9)により,夜間の夢の行動化を起こす,REM睡眠行動異常症(rapid eye movement sleep behavior disorder:RBD)がPDを含む神経変性疾患の前駆病態である可能性が示唆された。レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome:RLS)は,地域差はあるが,一般人口に比してPDに多く合併すると報告され,ドパミン系障害が共通する病態であるのかどうかは興味深い点である。また,ベッドサイドで施行可能である睡眠障害の評価方法として,Chaudhuriら10)が開発したParkinson's disease sleep scale(PDSS)は,PDに関連した夜間症状の評価に適切なツールとして広く用いられており,最近改訂版であるPDSS-2が公表された11)。本稿では,PDの睡眠障害における病態・治療について述べる。

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はじめに

 パーキンソン病(Parkinson disease:PD)の振戦,筋固縮,運動寡少,姿勢反射障害という運動症状(4徴)に対して, 嗅覚機能異常は非運動症状の中の1つである。PD患者の嗅覚異常の頻度はほぼ100%に近く,早期症状あるいは診断のバイオマーカーとして感度が高い。そして, PDにおける嗅覚機能障害の程度は,認知機能障害への進展を予測できたり,各種パーキンソニズムをきたす疾患との鑑別に役立ったりする可能性が最近の知見で注目される。2003年Braakら1)は,Lewy小体の主要構成成分であるαシヌクレインの蓄積部位を, 嗅球,下部脳幹, 辺縁系, 大脳皮質と調べ,PDの病初期で必ず嗅球に病理変化が出現することを見出した。 さらに近年,Doty2)によりPDの病態機序に関する嗅覚路仮説も提唱されている。

 実際の臨床的評価では,1975年Ansariら3)が,PD22例に対し段階希釈した酢酸アミルを用いて嗅覚閾値の異常を指摘した。それ以降,PDと臨床的な嗅覚機能異常の関係については海外からの報告がほとんどである。本邦においては,1991年のMurofushiら4)以降報告はなく,2007年からPDにおける研究報告が散見されるようになった(Table1)5-11)

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はじめに

 パーキンソン病(Parkinson disease:PD)の痛み・感覚異常については,Charcotが“PDは単に運動障害の疾患にとどまらず,感覚の異常も伴う悲惨な疾患である”と記述しているように,日常に診療でもよく経験する症状の1つである。特に,痛みは患者の日常生活動作(activities of daily living:ADL)に支障をきたし,生活の質(quality of life:QOL)を低下させ,時に運動症状にも影響を与える。PDの非運動症状である睡眠障害やうつ,不安,パニックの原因として関わることも多い。PD患者が自殺することは少ないが,痛みが原因で自殺した症例も知られている3)

 PDの痛みに関しては既に2つの総説を書いているので1,2),本稿では少し視点を変え,また痛みに限らずPD患者の訴える感覚異常も含めて述べる。

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はじめに

 ドパミン補充療法(dopamine replacement therapy:DRT)や脳深部刺激(deep brain stimulation:DBS)によって,パーキンソン病(Parkinson disease:PD)の治療はここ10年で大きく進歩した。その結果,運動症状が飛躍的に改善する一方で,脱抑制性の行動異常が注目を集めるようになった。本稿では,その現状について概説する。

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はじめに

 近年,運動症状のみならず,数々の非運動症状がパーキンソン病(Parkinson disease:PD)患者の生活の質(quality of life:QOL)を低下させることが注目されている。その中でもfatigue(疲れやすさ/疲労感)はPD患者の半数近くにみられ,QOLを低下させる症状の1つである1,2)。医師,患者家族,介護者は,PDが疲れやすい病気であることをよく知っていないと,あたかも患者が怠けているように感じてしまう。外国では1993年ごろからfatigueの論文が散見され,わが国ではAbeらが比較的早期からこの問題をとりあげている3)

 一方,体重減少(痩せ)もPDでは頻繁にみられる現象であり,悪性腫瘍の併発を疑って全身検索をしても何もみつからないことをよく経験する。したがって多くの場合,PDそのものによる変化と考えられる。体重減少については,はじめはレボドパ(levodopa)服用の副作用として注目され4,5),その後1990年代に入って研究論文が増えている。本邦では師尾ら6),野崎ら7)の研究,柏原の総説8)がある。Fatigueと体重減少は相互に関係し得るが,本稿では別々に論じることとする。

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はじめに

 パーキンソン病(Parkinson disease:PD)では錐体外路症状だけではなく,精神症状,嗅覚障害,自律神経症状などさまざまな非運動症状を認める。とりわけ自律神経症状については,便秘がPD発症前に出現する可能性1)や心臓交感神経が早期に障害される2)ことが明らかになっている。これらの成績に加えて,Braakら3)のLewy小体の進展仮説によれば,PDの自律神経障害は末梢から中枢側へと病変が進展して行く可能性があり,非常に注目されている領域である。本稿ではPDの自律神経症状の特徴について,最近の知見を踏まえ概説する。

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はじめに

 神経疾患における[123Ⅰ]meta-iodobenzylguanidine心筋シンチグラフィ(MIBG心筋シンチ)の『脳と神経』誌2004年の総説以来7年が経過した1)。この間パーキンソン病(Parkinson disease:PD)および類縁疾患におけるMIBG心筋シンチの研究は格段の進歩を遂げた。すなわち臨床研究では,①MIBG集積とPDの運動症状,非運動症状,ほかの検査法との関連について検討されたこと,②薬物負荷試験により,PD患者において心臓交感神経の脱神経過敏が証明されたこと,③家族性PDにおけるMIBG集積の報告が追加されたこと,④レム睡眠行動障害(RBD:rapid eye movement sleep behavior disorder)ではMIBG集積が低下することが報告がされたこと,⑤認知症における知見が追加されてきていること,である。

 基礎研究では,①PDやLewy小体型認知症(dementia with Lewy body:DLB)などのLewy小体病におけるMIBG集積低下の病理形態学的な根拠が明らかにされたことにより,MIBG集積低下がLewy小体病のバイオマーカーとしての信頼性が高まったこと,②家族性PDにおける心臓交感神経の知見が追加されたこと,③心臓交感神経の変性機序が明らかにされつつあること,④PDにおけるMIBG集積低下の病態機序を明らかにする目的で,動物実験が行われたことなどである。さらに,MIBG心筋シンチの臨床・基礎研究を通じて,PDの病理学的な変化が中枢神経系のみならず末梢諸臓器にも及んでいる,すなわちPDは全身病であることが再認識させられた。

 本稿では,前回の総説1)に倣い臨床と基礎にわけそれぞれについて解説し,最後にMIBG心筋シンチの臨床的意義について触れたい。

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はじめに

 近年,中脳黒質の経頭蓋超音波検査(transcranial sonography:TCS)がパーキンソン病(Parkinson's disease:PD)の診断において注目を集めている。PD患者において特徴的な黒質の高輝度変化が認められることが1995年に初めて『Neurology』誌に発表された1)。当時は,CTやMRIなどのより精密な画像検査で検出できない異常が超音波検査で検出されることに対し,多分に懐疑的な意見が多かった2)。しかし,高性能の超音波診断装置の普及に伴い,多くの施設で追認がなされ,今日TCSはPDの診断において信頼し得る検査と考えられつつある。TCSは,PD発症早期,さらには発症前の診断に役立つ可能性も期待されることから,今後ますます重要性を増すと考えられる。ここではTCSの検査手技,画像所見や,その病態,臨床的意義について最近の報告をもとに述べる。

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はじめに

 パーキンソン病(Parkinson disease:PD)は中脳黒質の神経細胞脱落とLewy小体の出現を病理学的特徴とする神経変性疾患である1)。Lewy小体の主要構成成分であるαシヌクレインの蓄積に着目すると,PDでは中脳黒質だけでなく嗅球や大脳皮質・脊髄・末梢神経など広範な神経系に変性が生じることが明らかとなってきた2)

 脳機能画像は,このような病理変化によって生じる脳の構造的・機能的異常をin vivoで評価できる手法の1つであり,近年の解析技術の進歩に伴ってPDの早期診断を目指すうえで重要なツールとなっている。

 われわれは以前から,東北大学病院神経内科外来に通院中のPD患者における脳構造および脳糖代謝の経時的変化についての縦断研究を続けている。本稿では,PDおよび類縁疾患における脳機能画像研究の報告について自検例も含めて概説したい。

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はじめに

 パーキンソン病(Parkinson disease:PD)の原著では,“senses and the intellect remain uninjured”と記載された。しかしその後,認知症(dementia)を含む認知機能障害(cognitive impairment)は,本症の非運動徴候の1つとして知られ,患者の日常生活動作(activities of daily living:ADL)を阻害する大きな要因として注目されている。このようなPDの認知機能を検討する手法として,脳波(electroencephalogram:EEG)を基盤にした脳波周波数解析(quantitative EEG:qEEG)や事象関連電位(event-related potentials:ERP)が挙げられる。本稿では,PDにおけるqEEGとERPについて最近の動向を踏まえ概説する。

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緒言

 1.αシヌクレイン抗体免疫染色

 Lewy小体病は,Lewy小体の出現を体の中のいずれかの部位に認める疾患の総称との立場を本稿ではとる(Fig.1)1,2)。Park1の原因遺伝子として同定されたαシヌクレイン3)に対する抗体を用いた免疫染色により,Lewy小体の主要構成要素がαシヌクレインであることが同定された4)。さらに,単離Lewy小体に対する単クローン抗体LB509が,αシヌクレインのシークエンスを認識することが確認され5),のちに115~122のシークエンスであることが明らかとなった6)。αシヌクレインは,シナプス前終末に存在することが生理学的に知られている。LB509では,ニューロピルが顆粒状に染色される背景の中に,Lewy小体が濃染される染色性を示す(Fig.2)。

 神経細胞障害の立場からは,アミロイドβ蛋白研究からのフィードバックにより,αシヌクレインオリゴマーが重要である7)。そして現在では,Lewy小体自体は無毒化のプロセスとして神経細胞内に隔離されたもの,との考えが主流である。したがって,Lewy小体の存在は,その部位にαシヌクレイン関連神経細胞障害が存在することのマーカーとなる。さらに,αシヌクレインがシナプス前終末に存在し,かつその部位にもαシヌクレインオリゴマーの存在が示唆されている点からは8),神経細胞死より神経伝導障害のほうが病態の主体であることを示唆する。

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はじめに

 パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)は神経変性疾患の中でも頻度が高く,かつ,人口の老齢化に伴い有病率が増加することが知られている。PDの運動症状が発現する以前から神経病理学的変化は生じており,PDの運動症状発現時には中脳黒質緻密層(substantia nigra pars compacta:SNc)の神経細胞数は,諸説あるものの既に40~60%前後まで減少しているとされる。Fig.1には多くの神経科学者が想定している神経細胞数とPD症状発現に関する図のうちDeLongらの例を示す1)。Fig.1に示す経過図は,主としてPDの運動症状についての想定であるが,近年のBraakら2)の仮説とPDの運動症状に先行する非運動症状との関連において,よく合致することが認識されている。すなわち,Braakらによれば,PD発症はアミン系作動神経である末梢自律神経,もしくは嗅神経のαシヌクレイン関連病理の発現を起源としている(Fig.2)。なお,BraakらはこのPD病変の進展様式を検討するうえで,認知症がみられる症例は除外している。そのため,いわゆるDLB(dementia with Lewy bodies)で想定される皮質から脳幹へ下降するような病巣の進展については述べていない。

 本稿は,Delongの図とBraakの仮説から想定される,PD発症前診断とPDの発症前もしくは早期治療の可否を命題とされている。他稿に述べられているように,それぞれの症候や検査所見からPDの早期診断はある程度可能と考えられるが,PDの確定診断については現時点では困難であると言わざるを得ない。臨床的にPDの4主症状を認め,PDと臨床診断し,L-dopaへの反応が当初よくても,経過を追ううちにほかのパーキンソニズムをきたす疾患であると臨床診断を訂正することも時に経験する。しかし,PDの発症を抑制,あるいは病状の進行を緩徐にする方策を講じるにあたっては,運動症状発現以前になんらかの介入をすることが必要である。では,実際の臨床ではどの時点でいかに介入すべきであろうか? 介入時期を考えるためには何を知っておく必要があるだろうか? 1つにはPDの自然史を理解しておくことが必須であるように思う。そして,介入を行った際の効果判定にも,PDの自然史を理解しておくことが必要である。PDの自然史は,薬物療法や生活環境などが時代によって変化している。そのため,どの時代におけるどのようなPDの自然史であるかが問題となる可能性がある。ここではまず,PDの自然史について利用可能な最近のデータを示し,バイオマーカーとしての非運動症状(non-motor symptom)について考案する。

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はじめに

 大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration:CBD)は1968年にReveizら1)により臨床病理学的に独立した疾患として報告された。その後,剖検例の蓄積によりCBDの臨床像は極めて多彩であることが明らかとなり(Fig.1)2-10),一方CBDの典型的臨床像(=corticobasal syndrome:CBS3))を呈する背景疾患もさまざまである(Fig.2)ことがわかってきた2,3,6,11-20)。そのため臨床診断名と病理診断名を区別し,CBSは臨床診断名,CBDは病理診断名として使われるようになっている3)。本総説はCBSについて,現在までにわかっていることと今後の課題を概説したい。

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2012年はレヴィ(Fritz Heinrich Lewy;1885-1950)がのちにレヴィ小体と呼ばれる封入体を発見してから100年目の記念すべき年にあたる。そこで,レヴィ小体研究をテーマに鼎談を開き,原著を紐解くところから,最新の治療までお話しいただいた。

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〈患 者〉63歳,男性

 2カ月前に脳梗塞(右後大脳動脈閉塞→再開通)で入院歴がある。ふらつき,左半身の痺れが出現したため,翌日,当院を受診した。左顔面・上下肢の感覚障害と構音障害を認めた。MRI拡散強調画像で右橋背側に高信号域を認め(Fig.1),脳梗塞と診断した。短期間の再発であったため,血管造影検査を施行した。

連載 神経学を作った100冊(64)

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 ガワーズが1881年に出版したこの書物には,彼の経験した,1,450例のてんかん患者の経験がぎっしりと詰まっている1)。この一部はGulstonian lectureとして1880年にロンドンのRoyal College of Physiciansで報告されたものであるが,それを全面的に書き換え,xiv+309頁の書籍として刊行した。このときガワーズが36歳の若さであったことを考えると,彼の臨床努力がいかに完璧を期するものであったかが偲ばれる。

 この書物に欠けているものがあるとすれば,それは脳波であろうが,これは1929年のハンス・ベルガー(Hans Berger;1873-1941)による脳波の発見を待たねばならない。

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次号予告

投稿規定

「読者からの手紙」募集

あとがき 河村 満
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 今月号は,年に3回ある増大特集号です。本号のテーマ「パーキンソン病の新しい側面」は,平田幸一先生にゲスト・エディターとしてご企画いただきました。

 パーキンソン病には,認知機能障害,うつ,パニックなど運動障害以外のさまざまな症候がみられることが,最近注目されています。それらを鳥瞰することが,「新しい側面」からパーキンソン病をとらえることだという平田先生の主張がよく表現されている特集になっています。その背景を考えるうえで,Braak仮説の重要性が指摘され,これら非運動症状の早期発見が早期治療につながるか否かも議論されています。

著作財産権譲渡承諾書

読者アンケート用紙

基本情報

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BRAIN and NERVE
64巻4号 (2012年4月)
電子版ISSN:1344-8129 印刷版ISSN:1881-6096 医学書院

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