保健師ジャーナル 72巻4号 (2016年4月発行)

選択した文献の文献概要を表示する書誌情報をダウンロードする

すべて選択

特集　コホート研究と保健師活動

扉 72巻4号 , 2016年4月 , pp.265

PDF(552KB)

フリーアクセス

文献概要を表示

現在，大規模かつ長期にわたるコホート研究が数多く実施されている。これらは健康政策の方向性を決定し，見えない保健ニーズを具現化するために重要な役割を果たしている。

代表的なコホート研究の意義と成果を共有し，そこで保健師が果たす役割を確認したい。

コホート研究はどのような役に立っているのか―わが国のコホート研究の意義岡村　智教 , 桑原　和代 72巻4号 , 2016年4月 , pp.266-271

PDF(663KB)

有料閲覧

文献概要を表示

そもそもコホート研究とは何か，また，生活習慣病対策における役割，健康日本21などへの応用について述べ，地域で保健活動に関わる保健師の方々に，その重要性と意義を知っていただく機会としたい。

多目的コホート研究（JPHCスタディ）の成果と保健所の役割津金　昌一郎 , 澤田　典絵 72巻4号 , 2016年4月 , pp.272-279

PDF(751KB)

有料閲覧

文献概要を表示

多目的コホート研究（JPHCスタディ）は1990年にスタートした14万人規模の調査で，生活習慣と疾病の関係を追跡し，これまで疾病予防に寄与するさまざまなエビデンスを提供してきた。その成果と，保健所保健師が果たしてきた役割について述べる。

コホート研究における保健所の取り組みと役割小林　良清 , 安藤　直子 72巻4号 , 2016年4月 , pp.280-285

PDF(594KB)

有料閲覧

文献概要を表示

佐久保健所は2つのコホート研究に地域事務局として関わってきた。これまでの経緯と保健所としての取り組みをまとめつつ，コホート研究において保健所が果たす役割について述べる。

NIPPON DATA 80/90/2010からの成果と展望―循環器疾患基礎調査の追跡研究三浦　克之 72巻4号 , 2016年4月 , pp.286-290

PDF(593KB)

有料閲覧

文献概要を表示

循環器疾患のコホート研究NIPPON DATAは，全国の保健所の協力を得て，健康日本21などの行政施策や診療ガイドラインのエビデンスとして活用されてきた。その成果と今後の展望について述べる。

エコチル調査の意義と地域での子育て支援―愛知ユニットセンターの取り組みを中心に上島　通浩 , 小栗　朋子 , 加藤　沙耶香 , 榎原　毅 72巻4号 , 2016年4月 , pp.291-295

PDF(766KB)

有料閲覧

文献概要を表示

10万組の親子を13年間追跡する環境省の「エコチル調査」。地域の親子を支援する事業やサポーターの存在，イベントなど，地域にも貢献する調査のあり方を，愛知県の事例を通じて紹介する。

結核のコホート検討会と保健師の服薬支援永田　容子 72巻4号 , 2016年4月 , pp.296-302

PDF(1000KB)

有料閲覧

文献概要を表示

結核対策として，結核の「コホート検討会」を通じて治療成績を評価することは重要である。保健師が患者ごとの地域DOTSの支援計画を作成し，確実な服薬支援を行えるようになるためのコホート検討会の意義について述べる。

「久山町研究」と地域住民の健康づくり―55年にわたる疫学研究から保健活動，そしてまちづくりへ角森　輝美 72巻4号 , 2016年4月 , pp.303-308

PDF(656KB)

有料閲覧

文献概要を表示

福岡県久山町では，九州大学との共同による生活習慣病の疫学・臨床研究「久山町研究」が50年以上前から進められてきた。その活動を通じて，住民と行政と保健師が果たしてきた役割について述べる。

PHOTO／Pick Up

フレイル予防教室「毎日元気にクラス」の取り組み―フレイルを先送りし，健康で安心して暮らせるまちをめざして／フレイルを予防し，いつまでも元気に！―養父市による「毎日元気にクラス」の取り組み吉田　由佳 , 野藤　悠 72巻4号 , 2016年4月 , pp.259-261,310-314

PDF(6372KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　過疎・高齢化が進展する養父市（以下，本市）では，東京都健康長寿医療センター研究所（以下，研究所）と共同で，「高齢期に生じる筋力や活力の低下（フレイル）を先送りし，健康で安心して暮らせる地域づくり」に取り組んでいる。本稿では，その歩みと今後の展望について述べる。

兵庫県養父市は，東京都健康長寿医療センター研究所と協力し，フレイル（高齢期に生じる筋力や活力の低下）の予防を目的とした「毎日元気クラス」を開催。研修を受けたシルバー人材センターの会員が各地に出張して教室を開催する仕組みをつくりあげ，その輪は地域のソーシャルキャピタルを育んでいる。参加者の身体的機能などにもよい効果をもたらしたその取り組みについて紹介する。

研究

特定保健指導積極的支援利用者の1年後の体重減少に影響を与える個人特性の検討岸　知子 , 鵜川　重和 , 村本　あき子 , 中村　正和 , 津下　一代 , 玉腰　暁子 72巻4号 , 2016年4月 , pp.316-323

PDF(485KB)

有料閲覧

文献概要を表示

■要旨

　特定健診の結果から把握できる情報を用いて，積極的支援利用者の1年後の体重減少に影響を与える個人特性を検討した。

　2008（平成20）〜2011（平成23）年度に多施設共同研究に参加した4施設で特定健診を受け「積極的支援レベル」該当となった者のうち，積極的支援を利用し，かつ翌年の特定健診の結果から評価の可能であった40歳以上65歳未満の職域保険に加入する男性5888人を対象とした。年齢，BMI，収縮期血圧，拡張期血圧，中性脂肪，HDLコレステロール，空腹時血糖，HbA1c，喫煙状況を個人特性とし，これらの個人特性が1年後の体重減少に与える影響について多変量ロジスティック回帰分析を用いて検討した。

　その結果，対象者のうち2122人（36.0％）が3％以上の減量を達成した。1年後の体重減少に影響を与えた個人特性は，喫煙状況，収縮期血圧，中性脂肪であった。非喫煙者と比較し喫煙者で減量達成のオッズ比が0.84（95％信頼区間：0.74，0.95）と有意に低く，減量達成しづらかった。一方，収縮期血圧＜130mmHgと比較して≧130mmHgの者で，また中性脂肪＜150mg/dLと比較して≧150mg/dLの者で，有意ではないものの減量達成しやすい傾向にあった（p＝0.07）。

　以上のことから，職域保険に加入する男性において，積極的支援による減量効果の大きい個人特性は，喫煙状況，収縮期血圧，中性脂肪であることが明らかになった。保健指導担当者は，積極的支援を利用する者の中でも非喫煙者，収縮期血圧高値者，中性脂肪高値者に対して保健指導により効率よく減量を促すことができる可能性が示唆された。

調査報告

私立女子大学生が大学入学までに受けた保健教育の実態と知識，行動との関連濱田　朋美 , 田城　孝雄 72巻4号 , 2016年4月 , pp.324-330

PDF(495KB)

有料閲覧

文献概要を表示

緒言

　近年の疾病構造の変化，とくにライフスタイルに起因する疾病の増加により，学齢期からの健康な生活習慣の確立が重要となってきている。そこで，学習指導要領により，小学校3年生から高校2年生で必修とされる「保健体育」等の教科（保健学習）や，ホームルーム・学校行事等の特別活動（保健指導）を通して，児童生徒が健康な生活に必要な知識や技能を習得するとともに，それらを日常生活に適用する自立的能力を養うことをねらいとし，保健体育・保健教育が行われている。

　わが国の少子化の観点からも，女子学生が自らの人生設計において，結婚，妊娠，出産を選択する際の十分な知識と，自己管理能力を獲得したうえで社会に出ることは重要な課題であると言える。大学生が高校時代までに受けた健康教育の調査^1）や，大学生の疾病予防に関する意識，行動と児童・生徒期の保健学習との関連の研究^2），および若い女性のやせ志向から健康教育の課題を述べたもの^3）はあるが，女子学生に焦点をあてて，保健教育の程度と知識，行動の関連について調査したものは少ない。

　そこで，女子大学の1年生が大学入学までに受けた保健教育の実態と知識，行動との関連を検証し，今後の保健教育の問題とその対策を考える一助とするため，本調査を実施した。

連載　聞き書き　保健師ものがたり（特別区編）・1【新連載】

―佐々木峯子さん（前・足立区保健師）に聞く①―生活を知ることの大切さを知り保健師へ木村　哲也 , 細川　えみ子 , 松原　定雄 72巻4号 , 2016年4月 , pp.332-336

PDF(6715KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　［公衆衛生の第一線機関］と言われた保健所を足場に，地域住民の健康のため，八面六臂の活躍をした保健師たちがいました。その基盤となっていた保健所が，1980年代から「専門・広域化」し，多くの保健事業は都道府県の保健所から区市町村に移されました。その後も，超高齢化の進行，疾病構造の変化，介護保険の実施の中で，地域包括支援センターの設置など，保健所の役割にも大きな変化が見られます。

　この変動の中で，特別区（東京23区）においては，保健所は依然として住民の健康の「第一線機関」であり続けました。地域の健康問題に対して住民とともにどのように活動を展開し成果を上げてきたのか，カリスマ保健師たちの語りはドラマチックであり豊かな気づきや発見に満ちています。その心意気や手法を語り継ぐことは「公衆衛生活動の原点」を考えるうえで貴重だと言えるでしょう。

　そこで2015年，特別区の保健師の先達にインタビューをしてその経験に学ぶという，有志によるプロジェクトが立ち上がりました。今回，その成果として4人の方からの聞き書きを連載という形でお届けします。1つの時代の記録として，また，後輩保健師たちの活動のヒントとして，受け取っていただければ幸いです。

連載　ナカイタ発　保健師へのつぶやき・34

チームで考える住民からの暴言・暴力中板　育美 72巻4号 , 2016年4月 , pp.331

PDF(201KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　米国の公報やILOのガイドラインには，地域保健や医療・福祉関係者の非致命的な職場暴力（WPV＝Workplace Violence）の被害が，他の職種よりも高頻度にあると書かれています。日本では全国的なWPVの実態および発生頻度の調査は行われていませんが，2008（平成20）年の保健所への調査結果^1）では，約50％の保健所が直近1年の間で不当な暴言・暴力に遭遇していました。

　家庭訪問を活動手段とする保健師等は，住民の生活場面に立ち入りますが，その住民が自発的に訪問等を受け入れてくれるとは限りません。さらに病院等の固定した施設内と違って，バックアップしてくれる同僚や上司がその場にいないことなどの特性を考慮すれば，暴力に巻き込まれるリスクを抱えていると言えます。

連載　統括保健師の日々・4

―統括保健師としての5年間③―「横須賀市保健師活動指針」の策定と統括の思い濵野　芳江 72巻4号 , 2016年4月 , pp.337

PDF(179KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　2013（平成25）年4月に厚生労働省健康局長通知として「地域における保健師の保健活動に関する指針」（以下，指針）が出されました。この指針は，今後の保健師活動の羅針盤の役割をもつものであり，横須賀市でも保健師全体で共有することが必要であると考えました。

　まず指針を保健師全員が読み込み，今後の保健師活動について所属ごとに意見をまとめてもらいました。そして，「保健師課長・係長連絡会」（以下，連絡会）でその意見を共有し，10年後の横須賀市の保健師活動について意見交換をしました。そのうえで日本看護協会の中板育美常任理事を講師に迎えて「横須賀市のこれからの保健師活動を考える〜地区診断に基づく保健師活動〜」という研修会を開催し，指針の理解を深めました。

連載　現場の疑問に答える　地域づくり型保健活動 Q＆A・4

「問題を分けて考える」とはどういうことですか？岩永　俊博 72巻4号 , 2016年4月 , pp.338-341

PDF(569KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　前回は問題の類型化の例として，「発生型」「探索型」「設定型」という3つの類型を紹介しました。もちろん，「問題」が，すべて1つの型に類型化されるということではなく，「誰の問題なのか」「問題を何のために認識するか」によっても型は違ってきます。

　ではなぜ「問題の類型」にこだわるのでしょうか。「問題」は解決しなければなりませんが，その解決の手順が，問題の種類によって異なるからです。このことについては，問題の類型についてもう少し提示した後に考えてみることにします。

連載　ニュースウォーク・216

「かかりつけ」という関係白井　正夫 72巻4号 , 2016年4月 , pp.342-343

PDF(350KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　確定申告期に入って医療費集計の電卓をたたいた。わが家の春季恒例行事で，出てくる数字は1年間の健康決算でもある。

　2015年，夫婦が窓口で支払った分の領収書が110枚余。薬局分を除くと何と4，5日に1回，どちらかが医者にかかっていたことになる。無駄な通院をした覚えはないが，国民医療費40兆円超えを加速させたかという自覚はある。

連載　研究室からのメッセージ・134

高知大学医学部看護学科　地域看護学講座地域看護学領域奥谷　文乃 , 齋藤　美和 , 杉本　加代 72巻4号 , 2016年4月 , pp.349

PDF(433KB)

フリーアクセス

文献概要を表示

History and Now

どのような機関なのでしょう？

　本学は1998（平成10）年4月に高知医科大学医学部看護学科として開設され，2003（平成15）年10月に高知大学との統合により現在の高知大学医学部看護学科となりました。基礎看護学講座，臨床看護学講座，地域看護学講座の3講座があり，地域看護学講座は地域看護学，在宅看護学，高齢者看護学の3領域からなっています。2002（平成14）年には，看護学専攻の修士課程が設置され，現在は，総合人間自然科学研究科看護学専攻となり，実践助産学課程も設置されています。

--------------------

バックナンバー一覧 72巻4号 , 2016年4月 , pp.309

PDF(335KB)

フリーアクセス

NEWS DIGEST 72巻4号 , 2016年4月 , pp.344-345

PDF(489KB)

フリーアクセス

文献概要を表示

保健・医療・福祉のこのひとつきの動き

がん10年生存率初集計

肝臓は5年から大きく低下

　国立がん研究センターの研究班は，がんの部位別10年生存率を初めて集計し，全国がん（成人病）センター協議会のホームページで20日公開する。5年生存率は以前からあったが，10年生存率の大規模な集計は初の取り組みで，肝臓，乳がんなど部位により5年生存率と大きな差があることが新たに判明した。

　10年生存率の集計は，がん診療を専門的に手がける県立がんセンターなど16病院を対象に，1999年から2002年に診療した約3万5000人のデータを部位別に分析した。

INFORMATION　学会・研究会・講演会などのお知らせ 72巻4号 , 2016年4月 , pp.346-347

PDF(598KB)

フリーアクセス

今月の3冊プラス1 72巻4号 , 2016年4月 , pp.348

PDF(294KB)

フリーアクセス

次号予告・編集後記 72巻4号 , 2016年4月 , pp.350

PDF(340KB)

フリーアクセス

基本情報

保健師ジャーナル
72巻4号
(2016年4月発行)

電子版ISSN：1882-1413 印刷版ISSN：1348-8333 医学書院

お気に入り登録(雑誌)
お気に入り登録(号)
最新号をみる

前身誌

保健婦雑誌

バックナンバー ( 閲覧可 )

文献閲覧数ランキング(
12月1日～12月7日
)

第1位現場で活用できるコーチング入門柳澤厚生保健師ジャーナル 61巻 7号 pp. 578-589 (2005年7月1日) 医学書院
第2位日本で必要なプレコンセプションケアと自治体の役割荒田尚子保健師ジャーナル 81巻 5号 pp. 358-364 (2025年10月10日) 医学書院
第3位「事業化」「施策化」の過程と実践におけるポイント吉岡京子保健師ジャーナル 79巻 3号 pp. 178-182 (2023年6月10日) 医学書院
第4位保健師に求められる「事業化」「施策化」の能力村嶋幸代,加藤典子保健師ジャーナル 79巻 3号 pp. 172-177 (2023年6月10日) 医学書院
第5位岩沼プロジェクトで明らかになった被災高齢者の中長期的な社会生活と健康—地域の保健師に求められるもの小坂健,坪谷透保健師ジャーナル 74巻 3号 pp. 183-188 (2018年3月10日) 医学書院
第6位 4ステップモデルを用いた倫理教育プログラムの展開方法長江弘子,百瀬由美子,尾﨑章子保健師ジャーナル 64巻 2号 pp. 149-153 (2008年2月10日) 医学書院
第7位法的な立場から見たLGBTと向き合うために必要なこと藤田直介,菅野百合,細谷夏生保健師ジャーナル 76巻 7号 pp. 522-527 (2020年7月10日) 医学書院
第8位市民とともに地域で進めるアドバンス・ケア・プランニング—浦安市在宅医療・介護連携推進事業の取り組み岡本美代子,鈴木比紗子,飯沼晶久,森林友佳子,園田美穂,並木美砂子,小川弘和,千明ひろみ,齋藤尚子,島田広美保健師ジャーナル 76巻 12号 pp. 1028-1034 (2020年12月10日) 医学書院
第9位保健師に期待される既存事業を生かしたプレコンセプションケアの展開渡會睦子保健師ジャーナル 81巻 5号 pp. 365-373 (2025年10月10日) 医学書院
第10位地域共生社会の実現に向けた介護予防・日常生活支援総合事業の充実岸英二保健師ジャーナル 81巻 3号 pp. 188-192 (2025年6月10日) 医学書院

投稿規定

保健師ジャーナル 72巻4号 (2016年4月発行)

特集 コホート研究と保健師活動

PHOTO／Pick Up

研究

調査報告

連載 聞き書き 保健師ものがたり（特別区編）・1【新連載】

連載 ナカイタ発 保健師へのつぶやき・34

連載 統括保健師の日々・4

連載 現場の疑問に答える 地域づくり型保健活動 Q＆A・4

連載 ニュースウォーク・216

連載 研究室からのメッセージ・134