研究
特定保健指導積極的支援利用者の1年後の体重減少に影響を与える個人特性の検討
岸 知子
1
,
鵜川 重和
1
,
村本 あき子
2
,
中村 正和
3
,
津下 一代
2
,
玉腰 暁子
1
1北海道大学大学院医学研究科
2あいち健康の森健康科学総合センター
3地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター
pp.316-323
発行日 2016年4月10日
Published Date 2016/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200418
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■要旨
特定健診の結果から把握できる情報を用いて,積極的支援利用者の1年後の体重減少に影響を与える個人特性を検討した。
2008(平成20)〜2011(平成23)年度に多施設共同研究に参加した4施設で特定健診を受け「積極的支援レベル」該当となった者のうち,積極的支援を利用し,かつ翌年の特定健診の結果から評価の可能であった40歳以上65歳未満の職域保険に加入する男性5888人を対象とした。年齢,BMI,収縮期血圧,拡張期血圧,中性脂肪,HDLコレステロール,空腹時血糖,HbA1c,喫煙状況を個人特性とし,これらの個人特性が1年後の体重減少に与える影響について多変量ロジスティック回帰分析を用いて検討した。
その結果,対象者のうち2122人(36.0%)が3%以上の減量を達成した。1年後の体重減少に影響を与えた個人特性は,喫煙状況,収縮期血圧,中性脂肪であった。非喫煙者と比較し喫煙者で減量達成のオッズ比が0.84(95%信頼区間:0.74,0.95)と有意に低く,減量達成しづらかった。一方,収縮期血圧<130mmHgと比較して≧130mmHgの者で,また中性脂肪<150mg/dLと比較して≧150mg/dLの者で,有意ではないものの減量達成しやすい傾向にあった(p=0.07)。
以上のことから,職域保険に加入する男性において,積極的支援による減量効果の大きい個人特性は,喫煙状況,収縮期血圧,中性脂肪であることが明らかになった。保健指導担当者は,積極的支援を利用する者の中でも非喫煙者,収縮期血圧高値者,中性脂肪高値者に対して保健指導により効率よく減量を促すことができる可能性が示唆された。
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