保健師ジャーナル 67巻1号 (2011年1月)

特集 動き出した保健師の人材育成―専門性を育てる体制づくりの方法論に学ぶ

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地域保健の環境が大きく変化し,「専門性の高い地域保健活動」への期待が高まるなか,法改正により現任教育の重要性が確認された。一方,現場では保健師の分散配置や活動形態の変化で,保健師の地区活動のコアの継承が課題となっている。

本特集では,人材育成の必要性に気づいた保健師のリーダーが組織の変革や整備に動いた実践を報告していただき,その方法や過程に学ぶ。

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保健師の活動領域が拡大するなか,行政現場では分散配置が進行し,保健師の専門性を発揮するための地区活動のコアの継承と人材育成が喫緊の課題となっている。地区に責任がもてる保健師を育てるために,今できることは何か。

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京都府では,保健師技術の伝承システムの構築が喫緊の課題となっていた。そこで保健所と市町村が連携して人材育成に取り組み,体制整備を図るなかで,ガイドラインを試行・検証し,完成をめざしている。

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川崎市では,局・区を越えて配置されている専門職の人材育成を課題として,2007年から検討を開始し,2008年には保健・医療関係職の人材育成に関する検討委員会も立ち上げられた。専任部署・担当者の設置をはじめとするこれまでの取り組みを報告する。

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箕面市では母子保健事業の充実を図るなか,乳幼児健診での問診を廃止し事後指導を充実させた。また,新人保健師への教育プログラムを作成して実施,中堅期保健師の教育にも配慮した。母子保健活動の基盤を大切にしながら人材育成を進めた活動を報告する。

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甲府市では,一般衛生部門の保健師は地区担当制と業務担当制を併用し,住民とのウォーキングマップづくりを題材に地区活動を展開してきた。保健師は,地区住民と協働活動を展開することで,担当地区を理解し,住民に必要とされる保健事業が実施できるよう,成長を続けている。

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保健師の専門性の継承は日々の活動におけるOJTに負うところが多い。行政現場では保健師の分散配置が進行し,活動形態などが変化しているため,意識的な関わりがますます必要となっている。

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福岡市と西区の概況

 福岡市は福岡県の北西部に位置し,7つの行政区を有する人口142万人の政令指定都市である(図1)。九州の行政,経済の中心都市で,2011(平成23)年3月に九州新幹線の全線開通を控え,人口は年々増加している。年齢構成は,年少人口13.4%,生産年齢人口70.2%,老齢人口15.2%の比率構成で,平均年齢40.3歳と政令指定都市のなかでは比較的若い年齢構成である。

福岡市西区では,多様なニーズにもとづいて高齢初産婦,若年妊産婦,多胎児の母親を対象とした母子保健事業を行っている。2007年に「ママの集い」として始まったこの事業は,現在「ヤングゥ~☆ママ集まれっ!」「ふたごちゃんの集い」「アラフォーママのいきいき子育て教室・サロン」として実施され,「日本一子育てしやすいまちづくり」に一役買っている。

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はじめに

 地域における住民の主体的な活動の意義が高まるなか,私たちは先ごろ『地域保健スタッフのための「住民グループ」のつくり方・育て方』を医学書院から出版しました。ここでは,本書を執筆するに至った社会的背景,本書のねらいと内容,および住民グループ活動の可能性を広げる保健師の役割などについて紹介します。本稿がこの本を手にするきっかけとなることを願っています。

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■要旨

 本研究では,商店街従業員を対象として,特定健診の受診の有無とその理由および特定健診プロモーションの認知度と受診行動との関連を検討し,今後の特定健診の受診率向上のための戦略立案の基礎資料を得ることを目的とした。A市の7つの商店街で従業員170名に店頭で調査を依頼したところ,149名から承諾が得られた。そのうち40歳以上の国保加入者で属性に回答不備のなかった104名を分析対象とした。調査項目は対象者の特徴,特定健診の受診の有無とその理由,特定健診プロモーションの認知についてであった。

 分析対象者のうち特定健診を受診していた者は26.9%であった。また特定健診プロモーションについて市からのDMを覚えていた者は33.7%であった。DMを覚えていた者のうち封筒を開けて中の資料を読んだ者が51.4%,開けたがよく読んでいない者が34.3%で,封筒を開けていない者は11.4%にとどまった。市の特定健診キャラクターを見たことがある者は5.6%で,キャラクターを見たことがある者とない者で受診率に有意な差がみられた。特定健診を受診していない理由としては「時間がない」「自覚症状がない」「既に病院に通っている」「何か見つかったら怖い」などが挙げられた。本研究の結果を現行の特定健診プロモーションに活かし,必要な内容についてはフォーマティブリサーチを行って,プロモーションをより効果的なものにしていくことが重要であると考えられる。

連載 見えてきた!効果的な特定保健指導・1【新連載】

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 特定健診・保健指導制度が開始されて3年近くが過ぎた。鳴り物入りで導入された新しい予防政策の初年度の結果が揃いつつある。これまでに,都道府県や市町村から健診や保健指導の先駆的な事例などがいくつも報告されている。

 しかしながら,いま最も知りたいのは「どのくらい改善するのか」や「どんな方法が効果的か」という課題であろう。平たく言えば,「自分の町は平均2kgの体重減少であったが,これはうまくいったと言えるのであろうか」「全国や他市町村と比較してどうなのか」など,比較できる具体的な値を知り,自らの位置を評価したいのではないだろうか。また「食事アセスメントには何を使えば効果的か」「最も効率的なポイント数はどのくらいか」など,データで裏づけされた保健指導方法を知りたい人も多いだろう。全国の平均値や保健指導の分析結果がわかれば,自分の市町村の保健指導が成功しているのか否か,また保健指導の方法が効果的であるのか否かなどが検討できる。

連載 知っておきたい,これからのメンタルヘルス・1【新連載】

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はじめに

社会の変化と精神保健

 筆者はこれまで,病院内ではリエゾン精神医学として各臨床領域のはざまにある問題に焦点を当てて活動してきました。また,日本総合病院精神医学会としては20年前から,救命救急センターにリエゾン精神科医が常駐する必要性を主張してきました。これらはようやく診療報酬にも反映されるようになり,採算性を重要視している病院もやっと重い腰を上げてきました。

 一方,日本サイコオンコロジー学会は,リエゾン精神医学の1つの理想型としてサイコオンコロジーの普遍化を訴えてきました。これもチーム医療加算が診療報酬化され,がん対策基本法の施行が後押しになり,やっと「がん患者の心のケア」の重要性が認知されるようになりました。医療が入院から外来へ,病院から地域へとその場が移りつつあるのと呼応して,筆者自身の臨床や研究も移行してきていました。

 自殺の話題に戻れば,筆者は厚生労働省の自殺研究班長(2003年~)として活動するなかで,自殺企図者の約9割は1回目の企図で死亡してしまうので,第一次予防が大切であることを主張するようになりました1)。その具体的な対策として,交通安全週間と同じ規模で国民に浸透するような「心の安全週間」の制定であることを提言してきました。さらに,自殺研究班としては,在宅介護者の4人に1人はうつ状態であり,65歳以上の介護者の3割には希死念慮がみられることを示し,老老介護の末の無理心中の背景を明らかにしてきました2)

 これらの研究とその普及活動のなかでストレスやうつ・自殺に関して一般の方にわかりにくい部分があることに気づきました。

 図1には,ストレス状況から抑うつを経て,自殺に至るプロセスと用語を示しました。まず,このストレス社会でほとんどの人は自らのストレス処理能力(これをコーピング/スタイルと言う)によって日常的なストレスを処理します。しかし,残念ながら処理できなかった場合に陥るのが「抑うつ状態」です。この「抑うつ状態」のほとんどは,(1)休養,(2)環境や状況の調整などによって解決されるものです。

 しかしこれらによっても解決できずに,専門医による薬物療法などが必要になる場合を専門家は「うつ病」と呼びます。そして,うつ病者らのごく一部はその症状として「希死念慮」が生じます。希死念慮の発生する割合はうつ病者の約1割と言われます。

 では,希死念慮を有したすべての人が自殺企図をしてしまうかと言えば,それは違います。ほとんどの人は「家族のことが頭に浮かんで」とか「子どものことを考えると…」と思い,自殺はしないのです。しかし,その一部が残念ながら「自殺企図」に至ってしまうのです。

 自殺企図者のほとんどは救急施設に搬送されて命は助かるのですが,その場合は「自殺未遂」ということになります。一方,残念ながら亡くなってしまう方もいて,それを「自殺死」と言ったり,「自殺既遂」と言ったりするのです。

 さて国民的に言えば,この「自殺死」あるいは「自殺既遂」が12年連続で年間3万人を超えている点が問題で,これはもっともっと強調されなければなりません。年間3万人を超えた「自殺死」から川上(上流)を眺めてみると,膨大な数の自殺予備軍がいることになるのです。わかっているだけでも「うつ病」は全国で400~800万人と言われていますし,その手前の「抑うつ状態」は,不眠症の頻度や,前述した私たちの研究によれば,国民の4人に1人,すなわち3000万人くらいはいると想定されます。この図の「うつ病」や「抑うつ状態」を,国民すべてが自分自身あるいは周囲を見渡してスクリーニングし,早期に気づいて医療機関につながなければならないのです。

 このような経緯を通じて,筆者のなかでも「これからのキーパーソンは保健師である」という結論に到達しました。そこで今回は,私自身の整理を兼ね,保健師という職種のそれぞれの領域でのトピックスについて述べ,今後の展開の概要をお話したいと思います。

連載 失敗事例に学ぶ 行動変容に必要なアプローチ・8

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 先月号では栄養指導についての事例を扱い,ライフイベントの観点から生活習慣をみることを提案しました。今回は,飲酒問題に焦点を当ててみたいと思います。

 栄養指導と飲酒は非常に関連が深く,同時に指導を行う必要がある場合も多いものです。なぜなら,アルコールにはかなりのカロリーがありますし,飲酒時の食事の偏りが原因になって脂質や塩分の過剰摂取も起こりやすいため,高血圧や糖尿病,高尿酸血症に輪をかけて悪い影響を与えていることがしばしばみられるからです。

連載 町で暮らし人と出会う・1【新連載】

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 なんせ産院に入るまでは,10歳の頃に盲腸の手術で入院したぐらいで,いたって元気だったから,保健師さんに出会ったのは長女サトコが生まれた1981年のことだった。

 いや,そのころはまだ保健婦さんといった。看護婦さんが看護師さんになったのも2002年以降のことだ。

連載 ニュースウォーク・154

QOLならぬ「QOD」評価 白井 正夫
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 暦のめぐりが早くなって,もう年賀状を考える時期である。秋口,妻の弟が60代半ばで余命3か月の告知どおり,がんで亡くなった。さて,今年の賀状をどうしようか。

 年間30万人を超すがん死者の1人にすぎない。ただ5月に告知を受けた彼は残された期間を自宅で送った。いろいろなことがあった。

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■History & Now

どのような機関なのでしょう?

 秋田大学医療技術短期大学部(3年課程)を改組して2002(平成14)年に秋田県内初の看護系4年制大学として設置されました。医学部キャンパス内には医学科と附属病院と保健学科があり,保健学科は看護学専攻,理学療法学専攻,作業療法学専攻からなります。地域・老年看護学講座は地域看護学分野と老年看護学分野の2分野で構成されています。

 2006(平成18)年に大学院修士課程(保健学修士),2008(平成20)年に博士課程(保健学博士)が開設され,昼夜開講の社会人大学院として保健・医療活動の現場の皆様の学位取得,研究活動支援を行っています。

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NEWS DIGEST
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保健・医療・福祉のこのひとつきの動き

メタボ健診,改善求め意見書

日本公衆衛生学会

 メタボリックシンドロームに注目した特定健診・保健指導について,日本公衆衛生学会(実成文彦理事長)は28日,地域で受けやすい制度に改善することや腹囲基準の取り扱いの再検討などを求める意見書を,藤村修・副厚生労働相に提出した。

 特定健診・保健指導は2008年度に始まったが受診率などが低迷している。意見書は,サラリーマンの配偶者らが居住地域の健診を受けられないほか,がん検診と同時に受けられないなど不便になった受診形態の改善,肥満でなくても循環器疾患の危険性は高いとの研究成果などから,腹囲を必須項目としている現在の診断基準の再検討などを求めた。

今月の3冊プラス1

次号予告・編集後記

基本情報

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保健師ジャーナル
67巻1号 (2011年1月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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