助産雑誌 68巻1号 (2014年1月)

特集 HTLV-1と母乳育児

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ヒトT細胞型白血病ウイルス-1型(HTLV-1)のキャリアは日本全国に108万人いるといわれます。

このウイルスは母子感染することから,2010年から,すべての妊婦に対してスクリーニングが行なわれるようになりました。

妊娠をきっかけにHTLV-1キャリアであることが判明した女性は,驚きとともに,子どもに感染することへの恐れや,自分自身の将来に対する不安など,多くの悩みを抱えます。

助産師は,そんなキャリアの女性に対し,さまざまな局面でかかわり,揺れ動くこころに寄り添うことが求められています。

本特集では,とくに栄養方法の選択を中心に,HTLV-1キャリアの女性を支えるために知っておきたい知識を解説していただき,女性が母乳育児を選択した場合は,その利点を活かしつつ母子感染予防を行なう方法について学びます。

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HTLV-1とはどのようなウイルスで,日本の妊婦さんのなかにはどれくらいキャリアがいるのでしょうか。

スクリーニング検査をはじめとする母子感染予防対策の現状はどうなっているのでしょうか。

全体像を解説していただきました。

HTLV-1抗体検査の理解 齋藤 滋
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HTLV-1のキャリアと判定されるまでには,どのような検査が必要なのでしょうか。

陽性や判定保留とはどのような意味なのでしょうか。

検査のタイミングや,妊婦さんへの説明の注意点を含めて解説していただきました。

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HTLV-1母子感染予防のために,栄養方法の選択をどのように行なえばよいのでしょうか。

短期母乳栄養,凍結解凍母乳栄養,人工栄養の3つの選択肢について,それぞれの利点や感染率などを比較し解説していただきました。

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妊娠をきっかけにしてHTLV-1キャリアであることがわかった女性は,どのような気持ちを抱えて生きているのでしょうか。

専門外来のカウンセリングルームから,お母さんの声と想いをお届けします。

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栄養方法を母親自身が選択するためには,助産師がどのような支援を行なえばよいのでしょうか。

意思決定のプロセスを共有する方法を解説していただきました。

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生後3か月での断乳となる短期母乳栄養。

お母さんにとっても,赤ちゃんにとっても,簡単なことではないかもしれません。

支援のコツを解説していただきました。

連載 いのちをつなぐひとたち・25

佐々木かをりさん 畑中 郁名子
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女性が働き続けられる場をつくりたいと翻訳・通訳事業で起業し,第2子出産後,働く女性の声を発信する「イー・ウーマン」を創設。

妊娠出産を経ながら女性が働き続けることのメリットや社会への影響をどう考えているのかを聞いた。

連載 いのちのささやき・37

太陽のように笑う 宮崎 雅子
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3人めのお産 気持ちはゆっくり

陣痛は 痛いけど ポジティブな痛みで 

赤ちゃんと 一体になり

エネルギーを 感じていた

連載 NYのバースセンターから・1【新連載】

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 私の人生において大きな後悔が3つある。もちろんどれも結果的には素晴らしい,宝物のような経験となったが,取り組んでいる途中では「甘く考えすぎていたな,やめておけばよかった」と何度となく後悔した。1つ目は大学時代にやり始めたラグビー,2つ目は2004年に参加した宮古島100kmマラソン,そして3つ目はアメリカ留学だ。私は2013年からアメリカで新人助産師として働き始めたばかりなので,まだこの経験は自分にとって完結したものではないが,ここまで来るのに山あり谷ありだった。

 留学を何となく思い描き始めたのは,おそらく大学卒業間近だったと思う。当時,東京にある日本赤十字看護大学で学んでいた私は,大学や実習先でたくさんの刺激的な人々と出会った。国内外でさまざまな活動をする助産師や,その他の職種の人々。その後就職し,向上心の高い同僚助産師とともに働くうちに,私も自分の得意分野を身につけなければいけないと強く思った。またお産する女性たちから自然分娩の素晴らしさを学び,それを科学的に実証できるエビデンスを見つけたいとも思うようになった。

連載 裁判例から読み解き,臨床に活かす ゆりかご法律相談・1【新連載】

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はじめに

連載開始のご挨拶

 みなさん,はじめまして。私は,看護師出身の弁護士です。「なぜ看護師が弁護士に?」と疑問に思われるかもしれませんが,私はごく単純なきっかけで弁護士を志しました。それは,看護学生のときに,偶然医療訴訟のニュースを見かけ,ふと,「裁判で看護を理解し,看護師の味方になってくれる人はいるのかな?」と疑問に思ったのです。そこで「看護師の力になれる弁護士になりたい」と思い,法律の勉強を始めました。弁護士になってからは,看護師のみなさんから,さまざまな法律問題のご質問をいただきます。それに対し,私は,法律や裁判例などをもとにお答えします。過去の裁判例をみると,「看護師がどのような場合に,どのような責任を負うことになるか」を知ることができるからです。

 そこで,この連載では,毎回のテーマごとにいくつかの裁判例をご紹介し,「そこから何を読みとることができるか」を考えることにします。みなさんのなかには「医療訴訟への漠然とした不安」をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。この連載が少しでもその不安を解消するものになればいいなと思っています。

連載 コクランレビューに学ぶ 助産ケアのエビデンス・1【新連載】

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はじめに

 妊産婦にとっても助産師にとっても産科医にとっても納得できるお産はどうしたら実現できるのか。さまざまな考え方が錯綜するなかで,「どこまでが確かにわかっていることなのか」ということを確認することで,1人ひとりのお産に適切なかたちが見えてくると考えられる。

 エビデンス(科学的根拠)と聞くと,アレルギーのように拒絶する医療従事者も多い。しかしこのような拒絶反応の裏には,エビデンスがどうつくられてきたもので,どう適用するべきか,という点について誤って理解されてきたという側面がある。本稿では,英国の周産期医療分野から始まり,世界の医療全体,そして周辺の社会科学分野のあり方を大きく変え,今年設立20年を迎えるコクラン共同計画によるコクランレビューについて解説し,そのコクランレビューとの付き合い方について考える。

連載 やっぱり知りたい少子化のはなし・1【新連載】

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いつまでも生煮えが続く日本の少子化対策

 少子化対策について1年間書いていこうと思う。

 長い間,日本の空には「産みにくさ」の雲が厚く重たく垂れ込めている──産婦人科の医療現場で,それは,どうしても子どもを授からない夫婦,妊娠のたびに開腹手術を受ける女性の激増につながっていて生々しく,非常に痛ましい。

連載 周産期の生命倫理をめぐる旅 あたたかい心を求めて・13

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出生前診断の対象と検査の時期をめぐる倫理的問題

 出生前診断には,妊娠早期に行なうスクリーニングとその後の確定診断があることはすでに述べた。胎児異常を早期に診断することは横隔膜ヘルニアのようによりよい医学的対応を可能とする意義がある。また致死的異常が診断された場合に,母体保護法で人工妊娠中絶が可能である妊娠満22週以前に診断される必要がある。

 すべての妊娠において早期からスクリーニングとして出生前診断を行なうことは,異常の児を早期診断するメリットがある一方,予期せぬ重篤とはいえない異常が見つかった時の母親への精神的負担というマイナスの面も考慮しなければならない。早期に出生前診断されると,「健康な児を産みたい(裏返せば異常児は産まない)」という優生思想により,十分臨床的に対応可能な事例が選別され中絶される危険を孕んでいる。

連載 災害時の母子保健 妊産婦を守る助産師の役割・12

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 発災後3日以内に起こった病院外分娩は,石巻医療圏で私たちが把握しているだけでも10件ありました。ご自身も被災し,避難所に避難していた保健師Aさん(27歳)が元看護師であったという情報をどこかから聞きつけてこられ,見ず知らずの人から「お産があるから」と呼ばれていったのは,震災2日目の深夜でした。

 震災当日,夜11:30頃に近くの半壊住宅でお産があるという情報が入り,付近の避難所いくつかで助産師さんを探したが1人もいなかったため,唯一の医療専門職であるAさんがその家に向かったとのこと。半壊&床上浸水住宅で陣痛が起こり,自宅分娩を余儀なくされた経産婦さん。前回妊娠時に分娩後出血多量(輸血なし)というリスクがある40週2日の方でした。母子手帳を持参されていたので妊娠経過がわかりました。

連載 助産よもやも話・10

待つということ 進 純郎
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 今から20年ほど前は,昔の7年が1年で過ぎ去る「ドッグイヤー」といわれ,最近では昔の30年が1年で過ぎ去る「マウスイヤー」と考えられています。時の流れは過去と現在では比較にならないほど早くなりました。パソコンの出現が時間の概念を変えてしまったのでしょうか。

 現代とは,待たなくてよい時代,待つことができない時代といえます。例えば,恋人同士の一方が待ち合わせ場所に予定した時間に着けない時には,昔の待ち人はひたすら待ったものでした。待つことが当然であり,待ち時間の長さが心の広さや愛情の深さの尺度に使われたものです。今では遅れた人は携帯電話で遅れることを告げ,待つ人はウインドウショッピングをしながらのんびりと待つ。そこには待たせることへの罪悪感,待つことの焦燥感や不安感などは微塵もないのです。

連載 りれー随筆・349

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 出張開業を始めて6年。ペーパードライバーだった私が,今では街中をスイスイと運転するようになった。自他とも認めるペーパードライバーだった私が運転能力に磨きをかけた一番の理由は,自宅出産のサポート呼び出しだった。急な呼び出し,昼か夜かもわからない。しかも,安全に出産していただくためにも,ちゃんと到着しなければならない。万全を期して,妊婦健診の同行訪問以外でも,時間のあるときに,昼間・夜の場合の両方を想定して,また渋滞する時間までも想定して,何度も妊婦さんの自宅までの道のりを往復し,確認した。「必ず到着しなければならない。しかも安全になるべく早く」,これこそが,私の運転能力を向上させたのだと,今改めて思う。

連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・116

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 今回は,行政が行なう無料卵管結紮術を受ける知人に同行した様子を書くことにする。

 ジェンはすでに孫が14人いる。4人目の娘が6回目のお産をした直後,ジェンは怖い顔で「もう手術よ! 収入もない状況でこのまま育てられない子どもをつくり続けることは許しません!」と言い放った。家族計画の完結編である卵管結紮にはさまざまな迷信があり,手術を受けることを人々は怖がっている。

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 日本の少子化対策は,目下のところ,出生率の目立った回復がみられない足踏み状態にあります。産婦人科医師の立場から第2次安倍内閣で少子化対策・子育て支援担当の内閣官房参与を務める吉村𣳾典医師に,ご自身や「少子化危機突破タスクフォース」についてお話をうかがいました。

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News File
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医療・周産期に関するニュースをピックアップ

高血圧学会:授乳も認める治療ガイドライン改定案

 日本高血圧学会は,高血圧患者の標準的な治療方法を示す「高血圧治療ガイドライン(指針)」の改定案を発表した。現行の2009年版指針は,出産後の女性が血圧を下げる降圧剤を服用する場合に授乳を原則として禁止していたが,改定案は授乳を認め,使用可能な薬を列挙した。2014年4月に14年版として発刊する。

 妊娠高血圧症候群を発症し,出産後も高血圧が続く女性は多い。同学会ガイドライン作成委員長の島本和明・札幌医大学長によると,母乳を通じて薬の成分が新生児に悪影響を与える恐れがあるため,服用時の授乳禁止を示していた。

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助産雑誌
68巻1号 (2014年1月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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