連載 助産よもやも話・10
待つということ
進 純郎
pp.79-81
発行日 2014年1月25日
Published Date 2014/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102696
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今から20年ほど前は,昔の7年が1年で過ぎ去る「ドッグイヤー」といわれ,最近では昔の30年が1年で過ぎ去る「マウスイヤー」と考えられています。時の流れは過去と現在では比較にならないほど早くなりました。パソコンの出現が時間の概念を変えてしまったのでしょうか。
現代とは,待たなくてよい時代,待つことができない時代といえます。例えば,恋人同士の一方が待ち合わせ場所に予定した時間に着けない時には,昔の待ち人はひたすら待ったものでした。待つことが当然であり,待ち時間の長さが心の広さや愛情の深さの尺度に使われたものです。今では遅れた人は携帯電話で遅れることを告げ,待つ人はウインドウショッピングをしながらのんびりと待つ。そこには待たせることへの罪悪感,待つことの焦燥感や不安感などは微塵もないのです。
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