精神看護 12巻1号 (2009年1月)

特集1 【CD付録】転倒予防に劇的効果!「ふまねっと運動」実践集

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この運動は、「運動学習」プログラムです

 本誌には、私たちが開発した「ふまねっと運動」という、新しい運動プログラムの転倒予防効果を紹介する映像CDが付録としてついています。このCDには、車椅子生活が長い84歳の女性が、ふまねっと運動を実践している映像が収められています。

 ふまねっと運動の歩行機能改善効果についてはすでに本誌の2008年7月号*1で紹介させていただきましたが、多くの皆さんはふまねっと運動を実際にご覧になるのは初めてだと思いますので、あらためてこの運動の概要について紹介したいと思います。

特集2 ぼくの給与明細、ぜんぶ見せます

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職場を替わることがないかぎり、知りえない他の病院の給与明細……。

入職13年目の看護師の皆さんに集まってもらい、現物の給与明細を前にして、給与にまつわる本音トークを縦横無尽に展開していただきました。

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編集部 みなさん給与明細は持ってきてくださいましたか? 今回、みなさんにそれを開示していただく意図は、「他の病院の給与がどうなっているのか」を知る、ということです。

――これ、画期的な企画だと思う。

――でもやってみたら、案外どこも同じじゃん、みたいな。

――その結果は嫌だな~。せっかくやるからには病院によってこんなに差があるんだっていうのを出したいよ。

編集部 じゃ、さっそくA病院さんから見ていきましょうか。Aさん解説をおねがいします。

特集3 退院は、情熱だ !

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長期入院患者を退院に導くための「ノウハウ」は、だんだんと蓄積されてきました。

あと、必要なものは「情熱」しかない!――

ということで、職員の意識改革に取り組み、退院支援ができる病院に体質改善した2つの病院に、その経緯のすべてを教えてもらいました。

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壊れかけのヒーター

 正月も近いある日、病棟の暖房が停止した。看護職員は患者の布団敷きを手伝い、次々と患者を布団まで誘導する。老朽化した暖房機の故障が原因だった。一見信じられない光景だが、毎年冬に1~2回はこの作業が恒例行事となっていた。

 当時の病院は大半が畳敷きの病室だった。ある朝、入院患者から「寒い」と苦情を受けた。経営者に相談したが「少し様子をみよう」と言われた。しかし「はい、そうですか」と言う気にはなれなかった。病棟師長に依頼し、病棟の中央と末端の部屋の室温を24時間測定してもらった。すると各室温には10℃以上の開きがあり、末端の部屋では最低気温が4℃を下回っていた。暖房器の限界が原因だと思った。しかし、病院に改善要求しても、大金のかかることは簡単に認めてくれない。「まず自分たちでできることをしよう!」と看護副部長と2人で末端の部屋の畳をめくった。畳の下は隙間だらけの板が敷かれてあるだけの簡素な床で、床下の換気口から入った冷気が板の隙間から吹き上げていた。基礎自体の問題だった。「これでは暖房を2倍にしても意味がない。看護の意地を見せよう!」と、全室の床にブルーシートを敷き、更にその上に大量の古新聞を敷いた。そして、冬場限定ですべての換気口を板で塞ぎブロックで固定した。

 翌日から室温が7℃を下回ることがなくなり、患者からの苦情もなくなった。しかし、築40年以上のくたびれた病棟。いつもどこかで修繕工事を行なっていた(写真1)。

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いったいこれは何なのか……

 北見赤十字病院は1935年に62床で開院した総合病院です。市民病院がないこともあり、地域拠点病院の役割が期待されています。

 私が大学病院で一般科の看護を行なったあと、精神科看護がやりたくて北見赤十字病院に異動したのは1998年のことです。当時、北見赤十字病院は総病床775床。そのうち精神科は男女別に閉鎖病棟が67床ずつありました。

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介護に人手がとられて

◎大変な業務はみんなで分担、がアダに

 私が勤務しているのは社会復帰病棟です。3年前までは計60名の患者を約15名ずつに分け、4チームに分かれて固定チームナーシングを展開していました。

 その頃の社会復帰病棟は頭の痛い問題をかかえていました。入院患者の高齢化に伴い、退院の見込みがたたない車椅子や寝たきりの高齢者、要介護者を受け入れざるを得なくなり、社会復帰病棟としての機能を果たせなくなっていたのです。そうした患者の数は60名の約3分の1に上っていました。高齢者や要介護者は4チームに混在していました。「大変な業務はみんなで助けあいましょう」という暗黙の約束事があったからです。

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 小社刊『発達障害当事者研究――ゆっくりていねいにつながりたい』(綾屋紗月+熊谷晋一郎著)が、発達障害者の体験している世界を精細なことばで表現していると話題を呼んでいる。「認知科学にとっても現象学にとっても、多くの謎と課題を提供している」(河本英夫氏『図書新聞』)、「読みながら私の身体感覚も、既製のことばを離れて揺らぎはじめるような思いがした」(信田さよ子氏『週刊文春』)など、医療看護以外からの反響も大きい。

 そこで今回、同じくマイノリティの立場から積極的な発言を続けている伏見憲明をお招きし、同書について語り合っていただいた。ゲイバーのママもこなすなど「コミュニケーションの達人」である伏見氏と、「コミュニケーション障害」を指摘されるアスペルガー症候群をもつ綾屋氏のコミュニケーションやいかに。そこへ共著者でもあり生活上のパートナーでもある熊谷氏はどう絡むのか――。

トピックス

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 2008年9月。このたび『発達障害当事者研究~ゆっくりていねいにつながりたい』を上梓した私たち(綾屋・熊谷)は、当事者研究の先駆けである「べてるの家」を訪れた。

 すでに私たちは東京にいながら、べてるの当事者研究を拝読し、メンバーの講演、べてるの様子を映像化したものも何度か拝見していた。そして「当事者研究」という、これまでの専門家言説にはない切り口の研究に魅力を感じていた。しかし一方で、私たち自身のもつ「障害当事者」という立場から、いくつかの怯えと警戒を抱いている部分もあった。

 私たちはいくつかのクエスチョンを生じさせたまま、しかし先入観はもたずに、ニュートラルな心構えでべてるを体感するつもりでおじゃました。

連載

べてる新聞『ぱぴぷぺぽ』・65

連載 看護のための認知行動療法・4

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 認知行動療法は、【認知】と【行動】の2つの面へはたらきかけることにより、患者のセルフコントロール力を高め、社会生活上のさまざまな問題の改善や課題の解決を図ろうとする心理療法です。今回は、その具体的な方法として、【認知】へアプローチする方法について解説します

連載 あるある小事典

連載 「身体と薬」をめぐる見逃せない情報・7

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悪性症候群には常に注意しよう

 精神科に勤務している人ならば、悪性症候群を知らない人はいないでしょう。

 通常、悪性症候群は抗精神病薬の投与量が多いときに起こりやすいのですが、実は至適用量であっても、「薬の組み合わせ」によって発症することがあります。今回はそれについて解説し、皆さんの注意を喚起したいと思います。

連載 “今さら聞けない”レベルで解説する 精神科で必要な身体ケア技術・2

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よーし、今日は呼吸をみていくぞーー。

はふはふ(犬)。

なんでいきなり犬になってるんですか……。

 

(1)「呼吸」をみる

呼吸の役割は酸素の取り込み。それはわかるよね? でも呼吸に異常があるときって、単に呼吸器系の異常だけじゃなく、神経系とか、全身状態に関する異常を示すことがあるから注意なんだ。

ふーん。

呼吸って、いつみればいいんでしたっけ?

脈拍の測定を行なうときに同時にみていくよ。呼吸による脈の変動を診察するためには、同時に患者の呼吸の様子を観察しなくちゃならないからね。

連載 精神看護キーワード事典・28

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 この連載は30回をもって終了することになった。30回といえば5年間続けてきたことになる。この連載をはじめたとき、私はまだ30代だったということか。今ではもう思い出せない30代。この頃では子どもたちから「アラフォーを通り過ぎた」と言われている。アラフォーというのは、アラウンド40の略で、40代前後の、人生の岐路に立たされた女性たちのことであるという。私にはもうすでに人生の岐路さえもないと思われているようだ。

 人生の岐路なんて、年齢に規定されるものでは全然ない。子どもの立場からみれば、親が人生に迷っていたら不安なのだろう。だが、迷ってないと思ったら大間違いで、そのうちママにだってどんでん返しがあるんだぞ、と脅かしてやりたいと思っている。

連載 技法=以前・11

プライバシーその2 向谷地 生良
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 前回は、統合失調症などをかかえる人たちが個人情報の厳格な管理の風潮にさらされ、「人権を守る」という大義名分のもと、浮世離れした笑い話のような幾多のエピソードが現場で巻き起こっていることをお伝えした。精神保健福祉の現場に蔓延するプライバシーと個人情報の過剰な保護が、精神障害をもつ人たち、特に統合失調症をかかえる当事者の生命線ともいえる「人と人との生命的なつながりをいかに回復するか」という命題に、深刻な危機を招く可能性を孕んでいると私は思う。

 そこでこの稿では、浦河で育まれてきたこれらの扱い方を紹介しよう。それを通じて、精神保健福祉の現場で“権威化”しつつあるプライバシーと個人情報保護の現状に一石を投じたい。

連載 宮子あずさのサイキア=トリップ・67

給与明細の思い出 宮子 あずさ
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ドクターKY喫煙場に出現!

 一昨年病院機能評価バージョン5を取るまで、当院の院内某所には職員向けの喫煙場がありました。実は喫煙者の宮子は、そこの常連。他職種が混じり合って紫煙をくゆらせる喫煙場は、それぞれの仕事を知り合う、ある意味でとってもチーム医療な雰囲気だったのです。

 それが失われるのは時代の趨勢ですから、今さら復活をと叫ぶつもりもありません。一定時間禁煙しろと言われれば、できるのが女性喫煙者のしぶといところ。しぶとい、というのは、限られた時間であれば吸わないで平気なだけに、意地でも完全禁煙に至らないからです。

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 もしあなたが、身体の具合が悪くて医者の診察を受けたとしよう。すると最高血圧が180mmHgと高値であったことから高血圧症と診断されて投薬を受けた。ところが、血圧が高かったのには別の理由があったのだ。あなたは何か悪い病気があるのではと怯えていたし、白衣を着た医者を前にして緊張していた。そうしたことから血圧がたまたま上がっていたのだ……。

 実際にこのような「高血圧」はしばしば認められ、診察室で高血圧を示したからといってすぐに高血圧症と診断すべきではないことは知られている。では精神科の医療現場ではどうだろう。

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本当に「わかる」向精神薬の本は少ない

 このたび医学書院から姫井昭男先生が書かれた『精神科の薬がわかる本』が出版された。これは精神科で使われている全領域の薬の使い方、作用、副作用、禁忌、患者さんへの説明の仕方がざっと理解できるお薦めの本である。解説されているのは「抗うつ薬」「睡眠薬」「抗精神病薬」「抗てんかん薬」「老年期に使う薬」「気分安定薬」「抗躁薬」「抗不安薬」「抗酒薬」「悪性疾候群の治療薬」「発達障害をもつ人への薬物療法」と、ざっと11領域にわたる。コンパクトながら、精神科の薬が“ざっと”理解できる。このような本を望んでいた人は多いのではないだろうか。

 向精神薬に関する本は、一般的に言って非常に難解である。脳のさまざまな受容体や神経回路がひと通り頭に入っていることを前提に書かれているからである。

 もっと簡便で、それでいて臨床の場で使える向精神薬の薬理の本はないものかと思っていたところ、姫井先生のこの本を見つけた。タイトル通り、向精神薬が「わかる」本である。

基本情報

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精神看護
12巻1号 (2009年1月)
電子版ISSN:1347-8370 印刷版ISSN:1343-2761 医学書院

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