連載 技法=以前・11
プライバシーその2
向谷地 生良
1,2
1浦河べてるの家
2北海道医療大学
pp.115-120
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100580
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前回は、統合失調症などをかかえる人たちが個人情報の厳格な管理の風潮にさらされ、「人権を守る」という大義名分のもと、浮世離れした笑い話のような幾多のエピソードが現場で巻き起こっていることをお伝えした。精神保健福祉の現場に蔓延するプライバシーと個人情報の過剰な保護が、精神障害をもつ人たち、特に統合失調症をかかえる当事者の生命線ともいえる「人と人との生命的なつながりをいかに回復するか」という命題に、深刻な危機を招く可能性を孕んでいると私は思う。
そこでこの稿では、浦河で育まれてきたこれらの扱い方を紹介しよう。それを通じて、精神保健福祉の現場で“権威化”しつつあるプライバシーと個人情報保護の現状に一石を投じたい。
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