日本糖尿病教育・看護学会誌 16巻2号 (2012年9月)

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 本研究は,2型糖尿病に罹患した女性就労者の食事自己管理行動とその影響要因の関連をストレスへのコーピング,自己効力感,ソーシャルサポートの観点から明らかにすることを目的とした.医療機関に外来通院している20歳以上の2型糖尿病女性就労者に,自記式質問紙調査を実施し,63名の結果を分析した.その結果,食事自己管理行動得点は年齢,罹患期間において有意な相関を認め,月経状況(t=2.124,p=0.038),食事自己管理継続期間の長さ(t=.2.171,p=0.034)や食事自己管理行動中断経験の有無(t=3.620,p=0.001)で有意差を認めた.また,コーピング,自己効力感,ソーシャルサポートと食事自己管理行動では,食事自己効力感の高群は低群に比較して有意に食事自己管理行動得点が高かった(t=.2.904,p=0.005).重回帰分析の結果,食事自己管理行動に有意に影響力があったのは自己効力感で,次いで食事自己管理行動継続期間1年以上であった(調整済み決定係数R2=0.390).食事自己管理行動への自己効力感を高める関わり,食事自己管理行動が定着し,1年以上継続できるような支援の必要性が示唆された.

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 糖尿病腎症初期患者の診断時における身体の捉え方を明らかにすることを目的に,研究参加者17名に半構成的面接を行い,分析を行った.その結果,【診断と実体との間に違和感を覚える】ことで身体に関心が向き,コアカテゴリー《もちこたえている身体を感じる》に始まり,この強弱により2つに分岐するプロセスで説明された.この程度が“強い”場合,【一生透析する身体や生活に不安をもち】,【糖尿病からは逃れられない】ことを再認識し,【今は腎症であることを遠ざけたい】と思い,【身体像に腎症を重ねて実体をあいまいにする】.そして,【これ以上悪くさえならなければそれでいいと思い】,【できそうな療養行動を意識する】に至っていた.

 一方,程度が“弱い”場合は,【知識に裏付けされた合併症のイメージをもつ】.そして,【身体像に腎症初期を加えて実体を理解し】,【今の実体を維持できるのではないかと思い】,【療養行動を構想する】に至っていた.

 以上より,身体の捉え方に合わせた支援を行うことが療養行動の遵守に繋がる可能性があることが示唆された.

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 本研究の目的は,介護施設に勤務する看護師の認識から,介護施設における糖尿病をもつ後期高齢者のセルフケアの問題を明らかにすることである.調査対象は,高齢者介護施設に勤務し,糖尿病をもつ後期高齢者の看護経験がある看護師8名.半構成的面接法によりデータ収集し質的帰納的に分析した.その結果,セルフケアの問題として,【認知症のため糖尿病治療に対して拒否行為がある】等10の糖尿病をもつ後期高齢者の問題,【入所中に糖尿病のセルフケアに関して家族の協力が得られない】等2つの家族の問題,【看護師に求められる知識の範囲が広く,看護師の糖尿病に関する専門知識が不足している】等4つの看護師の問題,【医療依存度の高い入所者が増えているにも関わらず受け入れ体制が整っていない】等10の施設・管理にかかわる問題状況が抽出された.

 以上の結果より,介護施設で生活する糖尿病をもつ後期高齢者のセルフケアにおいては,糖尿病をもつ後期高齢者,家族,看護師,施設・管理の問題が相互に関連して出現していると考えられた.そのため,連携体制の良否が安全にセルフケアを支援する上での鍵となり,医療と福祉の連携を基盤とした支援体制構築の必要性が示唆された.

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 本研究の目的は,ローカス・オブ・コントロール(LOC)尺度を使用して個人の原因帰属を明らかにする.そして,原因帰属別・男女別に食事療法指導調査票から患者が求める指導方法を明らかにすることである.対象者は,2型糖尿病の入院患者172名(男性108名,女性64名)であり,LOC尺度と食事療法指導調査票を用いて聞き取りアンケート調査を行った.LOC尺度の得点は,28.66点の範囲に分布し,中央値は48.9点であった.LOC尺度の得点により対象者を,男女別に内的統制群,中間群,外的統制群に分け患者の求める指導方法を比較した.結果を内容から分類すると,男性の群間比較で「方法」の2項目と「協力」の2項目において,また各群における男女比較で「協力」の2項目と「賞賛」の2項目と「不安」の1項目において内的統制群男性に有意に中央値が高値となった.内的統制群男性は,食事療法の方法を指導いてもらいたいが,一人で行動に移しにいため不安を感じ,周囲の協力と賞賛を求めていると考えられる.一方女性では,各群における男女比較の結果,内的統制群が「協力」の4項目において,また中間群が「協力」の1項目において,更に外的統制群が「協力」の1項目において中央値が低値を示す傾向にあったものの有意な差は認められなかった.女性は,本人への指導を求める傾向があると考えられる.以上から原因帰属別・男女別で求める指導方法に違いがあると考えられるが,更なる実践での検討が必要である.

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 本研究は,2型糖尿病患者がもつ糖尿病イメージを明らかにすることを目的として,探索的質的研究を行った.外来通院中の2型糖尿病患者19名に個別面接を行い,質的に分析した.その結果,2型糖尿病患者の糖尿病イメージは28個抽出された.28個の糖尿病イメージは,原因に関するもの4個,予後・経過に関するもの6個,感覚に関するもの3個,規制に関するもの7個,人間性の価値に関するもの4個,対象化するもの4個であった.

 これらの糖尿病イメージは,自分の過去に対する思案や予後等に対する不安や恐ろしさ,自分と糖尿病との感覚的な関係,社会と病気と自分との葛藤など,2型糖尿病患者の糖尿病にまつわる体験が,患者の思考を通して表われてきた心像であるといえる.医療者は,患者がどのような糖尿病イメージをもって日常の療養生活を営んでいるのかを知ることにより,患者が糖尿病をどのように感じて病気と対峙しているかがわかり,療養指導に活用する示唆が得られると考える.

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 本研究の目的は,2型糖尿病患者を対象に食事療法への努力の実態と,関連要因を明らかにすることである.30~65歳にある205名に自記式質問紙調査を行った.食事療法への努力に関連する要因を食事療法の実行度,食事療法へのできる自信,食事療法に伴う重圧感,患者属性とした.分析方法は,ケンドールの順位相関係数を使用した.

 平均年齢52.5歳(SD±8.2),平均罹病期間7.6年(SD±6.4),平均HbA1c7.2%(SD±1.3)であった.約80%が食事療法を頑張ると思いながらも,約70~80%が食事療法に伴う重圧感があった.食事療法に対する相反する気持ちが混在していることが示唆された.

 食事療法への努力と正の関係があった要因は,食事療法の実行度(τ=.215~.430)と食事療法へのできる自信(τ=.257~.500)であった.一方,負の関係があった要因は,食べたい物が食べられない辛さ(τ=-.227~-.251)であった.血糖値改善のための行動,できると思う気持ちは,努力する気持ちを高め,辛さは努力する気持ちを阻害していた.生活が変化する過程において,無理なく継続した努力への支援方法を探求することが課題である.

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 糖尿病専門外来における看護師の診療前面接の評価を目的に,糖尿病患者に対し961部の調査票を配布し,723部を回収・有効回答とした(75.2%).診療前面接で話している内容では,「血糖値・体重・血圧などの値」が94.2%と最も多く,次いで「食事・運動に関する疑問」,「現在感じている症状について」,「療養生活で気をつけたこと・うまくいったこと・いかなかったこと」の順であり,話したい内容も同様の順で,上位4つが一致していた.対象者の背景と話したい内容との関係では,血糖値・体重・血圧などの値については,インスリン療法より経口剤治療者が,食事・運動に関する疑問については,食事療法のみとインスリン治療より経口剤治療者が有意に高かった(p<0.05).また薬に関する疑問,合併症に関することについては,食事療法のみ,インスリン療法,経口剤治療者のそれぞれで有意差が認められ,インスリン療法者で有意に高かった(p<0.05).面接の必要性については,93.6%(677名)が今後もあった方が良いと答え,その理由として,【看護師の関わりによる安心感】【自己管理上の様々な相談】【看護師との信頼関係の中で生まれる自己管理への意欲】等が明らかになった.

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 本研究の目的は,1型糖尿病患者のインスリン自己調節の教育の現状と糖尿病看護認定看護師および糖尿病専門医のインスリン自己調節に対する見解を明らかにし,インスリン自己調節に対する看護援助の標準化の必要性を検討することである.糖尿病看護認定看護師108名を対象に自記式質問紙調査を実施した.また,糖尿病専門医2名を対象にインタビュー調査を行い,データ収集し質的に分析した.その結果,糖尿病看護認定看護師の80.6%がインスリン自己調節の教育に携わっており,87.9%がインスリン自己調節の教育プログラムの必要性を感じていた.必要とする理由は,患者の利益になる,看護の質を一定に保てるなどであった.糖尿病専門医は【医師個人の裁量による指導】を【多様な自己調節の指導内容】で行っていた.【1型糖尿病患者には自己調節が必要】であると考え,【系統だった教育の必要性】を感じていた.1型糖尿病患者のインスリン自己調節を支援するために,看護援助の標準化の必要性が示唆された.

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 認知症症状を呈する2型糖尿病高齢者の家族に対し,家族生活力量アセスメントスケールを用いて家族生活力量を査定した.また,長谷川式スケールにて認知力の評価を行い,本人と家族それぞれに目標を設定し療養指導を行なったところ,特に「健康問題対処力」,「介護力・養育力」,「家事運営力」,「役割再配分・補完力」の向上を認め,本人も家族にも良好な行動変容を認めた.行動変容が認められたのはアセスメントから導かれた内容を参考に,本人と家族の能力に合わせて継続可能な目標を設定できたためと考える.

 家族生活力量アセスメントスケールを活用することは,複雑な家族の機能を査定することに役立ち,家族生活力量をもとに家族間の生活の折り合いがつけられるような支援を行うことによって,家族の潜在能力を向上させていくことが可能であることが示唆された.

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Ⅰ.はじめに

 糖尿病は発症予防から合併症管理までの生涯に亘る自己管理を中心とした管理が求められ,実践の場での支援提供にはそれに対して診療報酬が評価されていることが極めて重要である.日本糖尿病教育・看護学会(以下,本学会という)では,これまでに,糖尿病看護提供に関わる診療報酬として「糖尿病合併症管理料」の評価獲得に至る働きかけを行い,その後も算定要件充足のための活動を行ってきた(特別委員会2010).

 平成24年度診療報酬改定では,「糖尿病透析予防指導管理料」がチーム医療として新規に評価された.本報告は,「糖尿病透析予防指導管理料」について,その趣旨,算定対象,施設基準等について紹介したうえで,本学会がその評価に至る過程で果たした役割および透析予防診療チームにおける看護の役割についての本学会の表明を述べ,今後の診療報酬行為提供にあたっての質向上に資することを目的とした.

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Ⅰ.はじめに

 日本糖尿病教育・看護学会広報委員会は,医療者はもとより糖尿病患者,ひいては国民の皆様に糖尿病教育・看護の広報活動を行うため,ホームページ委員会から発展し,2008年度より発足した委員会である.発足当初より,ホームページ(http://jaden1996.com/)のリニューアルに加え,各種要望書の作成や糖尿病重症化予防に関わる研修等について,本学会の見解についてホームページを通じて公式発表するという活動に着手した.またフットケア啓発のためのポスター作成や,糖尿病看護フットケア看護技術および糖尿病に強い看護師育成支援テキスト等,本学会著書の普及活動や会員活動を取材し,ホームページに記事を掲載してきた.

 何より大きなイベントとして,本委員会任期中の2011年に,各関係者の皆様ならびに会員皆様の厚いご尽力とご支援により,本学会は設立15周年を迎えることができた.広報委員会は,記念行事を1年以上前から発案してきたが,3月11日に東日本大震災が起こり,一時は取りやめることを考えた.しかしながら一般社団法人として新たな一歩を踏み出し,今後の学会の発展,ひいては国民の皆様への貢献につなげるためにも,この15年間を振り返る意義に立ち返り,ささやかながら,「15周年記念行事」を企画・運営し,作成した記念グッズのクリアファイル(写真1)を会員の皆様にお届けした.本稿では,その一般社団法人日本糖尿病教育・看護学会15周年記念行事を中心に,広報委員会活動を報告したい.

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 近年,糖尿病治療は多様化し,医療ならびに在宅現場は刻々と変化・刷新され複雑化してきた.さらに,景気低迷や大災害など,社会的・経済的な変化からも影響され,糖尿病教育・看護領域に生じる,解決すべき課題も時々刻々と変化していることが考えられる.このような現在の日本の糖尿病医療・看護の状況を鑑みると,必要とされる糖尿病看護領域の研究課題を明らかにし,さらに緊急性・優先性の高い研究課題を特定することが急務である.

 そこで日本糖尿病教育・看護学会研究推進委員会は,日本糖尿病教育・看護学会の会員を対象にフォーカスグループインタビューおよびデルファイ法による質問紙調査を実施し「糖尿病教育・看護領域に求められている研究課題」の抽出およびその優先順位を決定した.本稿では調査の概要と結果を報告する.

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日本糖尿病教育・看護学会定款
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日本糖尿病教育・看護学会誌投稿規定
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《資料1》投稿論文チェックリスト
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《資料2》論文執筆のための参考資料(A)
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編集委員(Editorial Board)
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編集後記
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基本情報

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日本糖尿病教育・看護学会誌
16巻2号 (2012年9月)
電子版ISSN:2432-3713 印刷版ISSN:1342-8497 日本糖尿病教育・看護学会

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