Heart View 28巻12号 (2024年11月発行)

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特集　U-40のための循環器診療スキルアップ“総合力”を鍛える！

企画にあたって佐藤　宏行 28巻12号 , 2024年11月 , pp.5-5

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2024年現在，残念ながら内科医は減少傾向にあり，かつて“花形”ともいわれた私たち“循環器医”は，内科系サブスペシャリティのなかでも特に志望者が徐々に少なくなっている。一方，加速化する高齢社会とともに，脳・心血管病といわれる循環器疾患をもつ患者数は年々増加傾向にある。また，わが国の国民医療費の首位を占めていることも向き合うべき一事実であり，循環器診療は今後も絶えることのない，社会的なニーズの高い分野の1つであることは自負すべきである。これらを担う医療全体のレベルアップ・業務効率化はもちろん，若手医師の育成・教育の標準化とその継続性が求められる。

1　ER

1.「ST変化のある胸痛，どうする？」ACSのER初期対応播磨　綾子 28巻12号 , 2024年11月 , pp.6-9

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急性冠症候群（ACS），特にST上昇型心筋梗塞（STEMI）では発症後早期に再灌流療法を行うことにより予後を改善させるため早期診断・早期治療が重要であり，door to balloon time 90分以内が目標とされる。一方で，非ST上昇型急性冠症候群（NSTE-ACS）においてはリスクを層別化し，適切なタイミングで侵襲的治療について考慮する必要がある。またACSの診断に至らない低リスクの胸痛患者の帰宅可否の判断についても解説する。

2.「頻脈，息切れがあります」急性肺血栓塞栓症のER初期対応フリーマン　里奈 , 藤崎　智礼 , 小畑　礼一郎 , 宮下　智 28巻12号 , 2024年11月 , pp.10-14

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ニューヨーク州マンハッタンの病院で勤務していた際，興味深い症例に遭遇した。HIV（ヒト免疫不全ウイルス）の既往がある若年白人女性が，胸膜炎性胸痛を主訴に救急外来を受診した。鎮痛薬を処方して帰宅を指示する予定だったが，経験のある上司がD-dimerの測定を提案した。結果は陽性であり，胸部造影CT検査にて急性肺血栓塞栓症（急性PE）の診断が下された。急性PEの罹患率は地域によって異なり，症状も非特異的であるため診断は困難である。北米のデータによると，救急外来にて急性PE疑いの患者に検査を行った結果，実際に急性PEの診断が下されたのは約5％にすぎないという報告がある1）。急性PEの診療にあたって，疫学・症状・検査データなどを俯瞰的に診る統合的な視点で紐解く必要がある。また，Wellsスコアなどの診断ツールを正しく用いて重症度を正確に評価することで，適切な患者に適切な検査と治療を提供することができる。本稿では，救急外来診療で有用な急性PEの疫学・診断・治療について解説する。

3.「突然発症の背部痛」急性大動脈解離のER初期対応塚越　隼爾 28巻12号 , 2024年11月 , pp.15-23

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本稿では単なる症例把握だけに留まらず，画像所見・治療戦略に重点を置いた救急外来における急性大動脈解離の対応の要点を解説！わが国のガイドラインに加え，最新の欧米ガイドラインもカバーする。

4.「急に動悸がして苦しいです」narrow QRS tachycardiaのER初期対応松井　優子 28巻12号 , 2024年11月 , pp.24-30

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発作性上室頻拍（PSVT）を目の前にすると「PSVTだか房室結節だかリエントリーだか，よくわからないし……抗不整脈薬とか怖そうだし，いやだなぁ……」と苦手意識がまず芽生える方は多いと思う。しかし，救急外来でのファーストタッチでは，注目すべきポイントや踏むべきステップは限られている。本稿が，食わず嫌いの苦手意識を克服するお手伝いになれば幸いである。

5.「怖い波形でも慌てずに対応しよう」wide QRS tachycardiaのER初期対応新井　陸 28巻12号 , 2024年11月 , pp.31-36

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wide QRS頻拍は心停止リスクを有する不整脈であり，迅速な対応が必要である。迅速な対応とは，不安定かどうかを判断し，不安定であれば直ちにカルディオバージョンを，安定であれば落ち着いて12誘導心電図を測定し，続いて適切な治療を行うことである。

6.「初めてのAFが見つかりました」心房細動のER初期対応津島　隆太 28巻12号 , 2024年11月 , pp.37-43

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心房細動（AF）は国家・人種を問わず世界的に最多な不整脈であり，それ自体が多くの心血管系死亡・合併症に寄与している。近年の集学的な研究に基づき，AFは加齢や併存する内科疾患によって心房筋が構造的・電気的にリモデリングされた結果と考えられている。本稿では，AFに対するER初期対応と循環器内科医への橋渡しを，日米最新のガイドラインに則って概説する。

7.「急に目の前が真っ暗になって……」失神のER初期対応笠井　裕平 28巻12号 , 2024年11月 , pp.44-53

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ERの診療現場では，失神を含む一過性意識消失発作は頻繁にみられる症状の1つである。しかし，短時間かつ限られた検査でその多様な原因を特定するのは難しく，多くの患者は診察時に無症状であるため，重症度を過小評価してしまうリスクもある。帰宅可能かどうかに重点を置いた病型診断，そしてその後の失神専門診療に関して概説し，現場で自信をもって失神診療を行う一助となれば幸いである。

2　ICU/CCU

1.「心不全急性期を上手に乗り切るために」うっ血の治療戦略前田　大智 28巻12号 , 2024年11月 , pp.54-58

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利尿薬は急性心不全の初期治療の要であり，いかに利尿薬を有効に，そして安全に使えるかは循環器内科の腕の見せ所である。本稿では，心不全の急性期をうまく乗り切るためのループ利尿薬の使用方法やループ利尿薬抵抗性症例に対する利尿戦略および腎代替療法の適応について，これまでのエビデンスを交えて概説する。

2.「心筋梗塞後の重症例に立ち向かう」心原性ショックの治療戦略柴田　直紀 28巻12号 , 2024年11月 , pp.59-63

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急性心筋梗塞（AMI）に対するプライマリPCIが普及している現代においても，その予後はここ数年で改善していない。その原因の一つとして，心原性ショック（cardiogenic shock）を伴う重症心筋梗塞に対する確立された治療法がまだないことが挙げられる。一方，適切な治療を施して生存退院できた症例は，良好な予後を得ることができることもわかっている。本稿では，AMIによる心原性ショックに対する急性期の治療戦略について考える。

3.「VT/VFが止まらない！」Electrical stormの治療戦略林　高大 28巻12号 , 2024年11月 , pp.64-67

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循環動態が不安定な不整脈を合併し，電気的除細動が要する症例に遭遇した場合，対応に苦慮する場合が多い。しかし，院内急変だけでなく，救急外来でもそのような難治性不整脈の症例を経験する。特に，電気的除細動が無効であった場合や電気的除細動を複数回行った後も不整脈が生じる場合，多方面からの集学的治療を要する。そのような，難治性不整脈の治療方針を決定する一助になるように，本稿では特に急性期の難治性不整脈に対する初期対応から集学的治療までについて述べる。

4.「これってもしかして心筋炎？」心筋炎の治療戦略金岡　幸嗣朗 28巻12号 , 2024年11月 , pp.68-72

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心筋炎は，無症状から血行動態が破綻する症例まで，幅広い症候をきたす疾患である。一方で，大規模な報告は比較的少なく，近年エビデンスがアップデートされつつある領域でもある。本稿では，心筋炎のなかでも，主にICU/CCUのセッティングで遭遇する急性/劇症型心筋炎を主な対象として，現在わかっている範囲での診断から治療までのポイントを，2023年に改訂されたガイドラインやわが国の現状も踏まえて共有したい。

5.「増えてきた心嚢液，どうする？」心膜炎・心タンポナーデの治療戦略那須　崇人 28巻12号 , 2024年11月 , pp.74-77

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心嚢液貯留は，心膜腔に過剰な液体が蓄積する状態であり，経過，液体量，および血行動態への影響によって分類される。蓄積速度が急速な場合は心タンポナーデを引き起こす。診断には心エコーが第一選択である。治療効果が不十分な場合は，心嚢穿刺が考慮される。心嚢液貯留の予後は原因に依存するため，特発性心膜炎による心嚢液貯留は比較的予後良好であるものの，慢性心嚢液貯留は心タンポナーデに進行するリスクがある。本稿では症例ベースで治療戦略を検討していく。

3　病棟

1.「この病変，血行再建しますか？」冠動脈疾患の血行再建適応判定加来　秀隆 28巻12号 , 2024年11月 , pp.78-81

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ISCHEMIA試験によって，虚血が証明された安定冠動脈疾患に対するPCI/CABG群と適切な薬物治療群で死亡率に差がないことが示された。これによって，非侵襲的画像検査・冠動脈造影・機能的虚血評価を総合的に判断し，治療方針を決定していくことが重要になっている。

2.「スタチン入っていますか？」動脈硬化性疾患の二次予防至適管理阿部　拓朗 28巻12号 , 2024年11月 , pp.82-86

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動脈硬化性疾患における薬物治療は治療の土台として非常に重要である。昨今の経皮的冠動脈インターベンションに対する臨床試験データも，厳格な至適薬物治療が行われたうえでの議論であることを認識する必要がある。冠動脈疾患二次予防における薬物治療の多角的なアプローチを解説する。

3.「Fantastic fourを始めよう」心不全の薬物治療 Update 佐伯　翼 , 藤本　恒 28巻12号 , 2024年11月 , pp.88-93

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心不全パンデミックとよばれる心不全患者の増加が著しい近年，心不全治療薬も目覚ましい発展を遂げてきている。特にHFrEFにおける「Fantastic four」の有用性が確立されてきており，これを知らずして現代の心不全治療は始まらないといっても過言ではない。本稿では4剤併用療法に至るHFrEF薬物治療のエビデンスの変遷や各薬剤の特徴について述べつつ，HFpEF/HFmrEFの治療についても併せて解説する。

4.「EFが低いです，肥大しています」low EF/肥大心の鑑別診断とCMR Update 中田　圭 28巻12号 , 2024年11月 , pp.94-97

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心不全診療においてHFrEFとHFpEFに分けて考える時代となってから久しく，一方で治療の進歩によりHFrEFに対するFantastic fourに加えて，ベルイシグアトなども使用可能である。さらには二次性心筋症における治療薬剤の開発は進んでいる。心不全の基礎心疾患の鑑別は治療法の選択に直結するため非常に重要であり，心臓MRI（CMR）を用いた鑑別方法と心筋生検の適応について解説する。

5.「これってHFpEF ？」HFpEFの鑑別診断と治療戦略生駒　剛典 28巻12号 , 2024年11月 , pp.98-103

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左室駆出率の保たれた心不全（HFpEF）は，心不全患者の約半数を占める。日常臨床で頻繁に遭遇する一方で，呼吸困難や浮腫などの症状から「心不全疑い」として診察したものの，「これってHFpEF？」と診断に苦慮した経験もあるのではないか。本稿では，2023 ACC Expert Consensusを中心に，HFpEFの診断と治療戦略，今後の展望について解説する。

6.「ICDは必要？不必要？」突然死リスク評価とICD適応判定石田　祐司 28巻12号 , 2024年11月 , pp.104-108

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植込み型除細動器（ICD）は致死的心室不整脈による心臓突然死を防ぐ確立された治療法である。基礎心疾患がある患者に対する二次予防目的［過去に心停止，持続性心室頻拍（VT），心室細動（VF）が記録されている］のICD植込み適応は推奨クラスⅠとされる。一方で心臓突然死の一次予防目的のICDは初回のVTやVFを防ぐことを目的とするため，突然死リスクの高い患者を見極め，植込み適応を判定することが重要となる。

7.「刺激伝導系ペーシングって何なの？」心不全患者の新たなペーシング治療戦略小野寺　康介 28巻12号 , 2024年11月 , pp.110-117

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近年，生理学的ペーシングとして刺激伝導系ペーシング（CSP）が注目されている。CSPはHis束ペーシング（HBP）と左脚エリアペーシング（LBBAP）に分類されるが，近年特にLBBAPが注目されており，2023年にアメリカ（HRS），2024年に日本（JCS）のガイドラインに記載された。LBBAPは心不全患者における新たなペーシング治療戦略であり，本稿では各ガイドラインの内容を比較し，LBBAPの施行法について解説する。

8.「この弁膜症，カテーテルで治せますか？」SHDインターベンション Update 堀田　怜 28巻12号 , 2024年11月 , pp.118-123

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弁膜症は心不全の原因の1つであり，70歳以上の15〜20％が何かしらの弁膜症を有しているともいわれている。加齢に伴い弁膜症の有病率は上昇するため，弁膜症に対するカテーテル治療は高齢の患者に対して効果的かつ低侵襲な治療を提供するという点では非常に合理的な治療方法であるともいえる。近年その施行件数は増加傾向であり，かつ新規デバイスも続々と導入されてきており注目度は高まっている。本稿では実際の症例を交えながら，最新のエビデンスと適応から今後の展望について解説する。

9.「このAF，アブレーションしますか？」心房細動アブレーション Update 廣上　潤 28巻12号 , 2024年11月 , pp.124-129

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心房細動に対するカテーテルアブレーションは近年目覚ましい発展を遂げている。肺静脈隔離術は治療のゴールデンスタンダードだが，ほんの20年前までは匠しか治療ができない難しい治療であった。しかし，治療デバイスの発展により今では誰でも手技をできるようになった。それに伴いアブレーションの治療成績は向上し，ガイドラインも変化していった。本稿では，昨今の心房細動アブレーションのエビデンスについて解説する。

10.「VAD ってどういう治療？」補助人工心臓の適応判定と管理石井　奈津子 , 福嶌　教偉 28巻12号 , 2024年11月 , pp.130-136

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植込み型左室補助人工心臓は，重症心不全患者の在宅生活を支える大切な選択肢であり，適切な時期での導入と全人的な長期管理が望まれる。地域格差のない医療提供のためにも補助人工心臓がより身近な選択肢として定着するために国内の現状を踏まえた知識整理を行いたい。

11.「心臓移植ってどうやって行われるの？」適応判定と管理新井　真理奈 , 後岡　広太郎 28巻12号 , 2024年11月 , pp.137-143

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心臓移植は，エビデンスが確立している内科的・外科的治療を行ってもなお治療抵抗性・難治性の重症心不全に対する最終的な治療手段である。脳死ドナーの善意に基づく臓器提供が前提である点で，通常の治療と大きく異なり，移植医療に対する患者の十分な理解やアドヒアランスが求められる。COVID-19流行期を除けば，わが国の心臓移植件数は増加傾向であるが，待機期間は年々長期化しており，患者の大半が補助人工心臓装着下の待機である。わが国の移植後成績は，国際レジストリと比しきわめて良好である。

12.「肺高血圧ってどうやって診断・治療する？」PAHからCTEPHまで戸田　皓二郎 , 西川　諒 28巻12号 , 2024年11月 , pp.144-149

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肺高血圧症（PH）は予後不良の難治性疾患であったが，1990年以降に診断および治療法が劇的に変化した。薬物治療に関しては，プロスタグランジンI2（PGI2）製剤の開発に伴い予後が大きく改善され，その後にエンドセリン受容体拮抗薬（ERA）やホスホジエステラーゼ5（PDE5）阻害薬などの登場により，著しい進歩を遂げた。現在も新規薬剤や多様な投薬方法が開発されており，今後も大きな発展が見込まれる分野である。本稿では，PHの基本的な診療プロセスについて解説する。

13.「循環器緩和ケアってどう実践するの？」循環器緩和ケア Update 西崎　公貴 28巻12号 , 2024年11月 , pp.150-155

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心不全の緩和ケアというと，終末期の心不全患者にモルヒネを開始することをイメージされる方も多いかもしれない。「緩和ケア導入＝積極的治療からの撤退」と考えられがちではあるが，緩和ケアの定義や意識する“きっかけ”，苦痛評価の実際，意思決定支援について解説する。本稿が循環器診療に必要な基本的緩和ケアを学ぶきっかけとなれば幸いである。

4　外来

1.「少しずつ逆流が進行しています」弁膜症の至適フォローアップ菅原　政貴 28巻12号 , 2024年11月 , pp.156-160

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わが国における社会の高齢化で心不全の原因として最も多い弁膜症は増加傾向である。そのため，弁膜症診療は早期に診断して，適切にフォローアップを行い，心不全悪化を未然に回避することや適切に侵襲的介入を行うことが重要になる。他方，胸部聴診で心雑音を偶発的に指摘されて，無症状ながら弁膜症を診断される状況もよく経験する。本稿では弁膜症の外来診療について，至適なフォローアップ間隔や注意点，侵襲的治療介入を検討したときに起こすアクション，ハートチームのかかわりについて概説したい。

2.「たまに脈が飛んでいます」心室期外収縮の評価と治療介入森　仁 28巻12号 , 2024年11月 , pp.161-165

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心室期外収縮（PVC）は日常診療で遭遇する頻度が高い心電図所見の1つである。症状を伴い来院する症例や健康診断で偶発的に発見された無症状の症例など来院理由は多岐にわたる。治療方針も，治療介入が必要な症例から経過観察が可能な症例までさまざまであり，本稿ではPVCに遭遇した際の評価方法と治療介入に関して解説する。

3.「大動脈瘤が大きくなっています」大動脈瘤の至適フォローアップ三浦　修平 28巻12号 , 2024年11月 , pp.166-171

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大動脈瘤は，日常臨床でしばしば遭遇する疾患である。多くの場合無症状であり，検診やほかの検査で偶然に発見される。大動脈瘤が破裂すると手術を施行しても致死率が高く，予後不良である。そのため破裂前に正確な診断を行い，破裂予防を目的とした待機手術に持ち込むことが生命予後の改善には重要である。本稿では，大動脈瘤の手術適応およびCTやMRI画像を用いた外来でのフォローアップについて解説する。

4.「ABIが落ちています」下肢動脈疾患（LEAD）の治療戦略花房　克行 , 小島　俊輔 28巻12号 , 2024年11月 , pp.172-178

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2017年にESC/ESVSガイドラインでlower extremity artery disease（LEAD）という下肢閉塞性動脈疾患を表す疾患概念が登場し，わが国でも2022年の末梢動脈疾患ガイドラインから採用されている。LEADはその症状の重症度によりステージ分類されるが，実は無症状の群がほとんどである。一方で，症状の有無にかかわらず心血管イベントのリスクは高いとされ，患者の拾い上げが重要である。本稿では，特に症候性LEAD症例における，足関節上腕血圧比（ABI）をはじめとしたスクリーニング手法，LEAD患者の至適薬物療法，運動療法，侵襲的治療の選択について概説する。また実際の症例を介して，スクリーニングから治療方針の立て方についても紹介する。

5.「さあ，心リハを導入しよう」心臓リハビリテーション Update 永田　春乃 28巻12号 , 2024年11月 , pp.180-183

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近年，さまざまな治療法や新規デバイス，薬剤が出現し，循環器疾患に対する治療の選択肢が広がっているが，心臓リハビリテーション（心リハ）も重要な治療の1つである。適切な運動処方や指導の下で，基礎疾患の進展抑制，循環器疾患の再発予防，社会復帰などを目的に多職種で介入を行い，健康を意識した社会生活が送れるよう重要な役割を心リハが担っている。

5　他科コンサルテーション

1.「今後は小児科から循環器内科でお願いします」成人先天性心疾患の至適フォローアップ齋藤　秀輝 28巻12号 , 2024年11月 , pp.184-187

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成人に至る先天性心疾患（ACHD）患者の数はどんどん増えており，綿密な経過フォローが必要な複雑型の頻度も増加している。これまでは先天性心疾患の疾患特性に慣れた小児循環器科に診療を依存してきたが，今後は循環器内科で診療する機会も増えるであろう。今回は，小児科からの移行を引き継ぐ側としてのポイントを整理して執筆した。本稿を読んで，気軽にACHD診療に参画していただければありがたい。

2.「化学療法患者の併診をお願いします」腫瘍循環器の至適フォローアップ照井　洋輔 28巻12号 , 2024年11月 , pp.188-191

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悪性腫瘍と心疾患がわが国の主要死因となり，国民病といわれるようになって久しい。抗がん剤に加え，分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬といった化学療法の進歩により悪性腫瘍の予後は劇的に改善している一方で，悪性腫瘍やその治療に関連した心臓合併症が大きな問題となっている。本稿では化学療法に関連した心臓合併症，がん関連血栓症の要点に触れつつ，腫瘍循環器医としての役割や考え方を解説する。

3.「脳梗塞の原因がわかりません」ESUS・奇異性脳塞栓症の治療戦略塩澤　真之 28巻12号 , 2024年11月 , pp.192-198

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脳梗塞の原因の約30％は心房細動を主とする心原性脳塞栓症であり，かねてより脳梗塞二次予防において循環器疾患のマネジメントが重要となる場面は少なくない。また，脳梗塞の10％は潜因性脳梗塞（原因不明の脳梗塞）で，そのなかには塞栓源不明脳塞栓症があり，近年ESUSとよばれ注目されている。ESUSの潜在的な原因には潜在性心房細動や卵円孔開存（PFO）が含まれ，植込み型心電図記録計やPFO閉鎖術が有用な場合がある。脳卒中診療において，脳卒中医と循環器医はブレインハートチームとして密な診療連携を図ることが重要視されている。

4.「手術可能ですか？」心疾患合併の非心臓手術の術前評価官澤　洋平 28巻12号 , 2024年11月 , pp.199-204

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「念のために心エコー」，「念のために循環器内科医へ評価を依頼する」というようなフレーズを耳にすることがある。なんとなくコンサルテーションになり，コンサルタントである専門医の先生の負担を不必要に増やしている状況になっていないだろうか。「2022年改訂版非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン」に準拠しながら，わが国ではどのようなマネジメントが提唱されているか解説する。

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目次 28巻12号 , 2024年11月 , pp.3-4

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次号予告・バックナンバー 28巻12号 , 2024年11月 , pp.207-207

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奥付 28巻12号 , 2024年11月 , pp.208-208

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基本情報

Heart View
28巻12号
(2024年11月発行)

電子版ISSN：2423-964X 印刷版ISSN：1342-6591 メジカルビュー社

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4 外来

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