特集 U-40のための循環器診療スキルアップ“総合力”を鍛える!
1 ER
2.「頻脈,息切れがあります」急性肺血栓塞栓症のER初期対応
フリーマン 里奈
1
,
藤崎 智礼
2
,
小畑 礼一郎
3
,
宮下 智
4
1日本赤十字社足利赤十字病院
2国立循環器病研究センター心臓血管内科
3Cardiothoracic Critical Care Anesthesiology, Cleveland Clinic Foundation, Ohio, USA
4Department of Cardiovascular Medicine Heart, Vascular, and Thoracic Institute Cleveland Clinic Foundation, Ohio, USA
キーワード:
急性肺血栓塞栓症
,
Wellsスコア
,
PESIスコア
,
簡易版PESIスコア
,
D-dimer
Keyword:
急性肺血栓塞栓症
,
Wellsスコア
,
PESIスコア
,
簡易版PESIスコア
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D-dimer
pp.10-14
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.18885/HV.0000001702
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ニューヨーク州マンハッタンの病院で勤務していた際,興味深い症例に遭遇した。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の既往がある若年白人女性が,胸膜炎性胸痛を主訴に救急外来を受診した。鎮痛薬を処方して帰宅を指示する予定だったが,経験のある上司がD-dimerの測定を提案した。結果は陽性であり,胸部造影CT検査にて急性肺血栓塞栓症(急性PE)の診断が下された。急性PEの罹患率は地域によって異なり,症状も非特異的であるため診断は困難である。北米のデータによると,救急外来にて急性PE疑いの患者に検査を行った結果,実際に急性PEの診断が下されたのは約5%にすぎないという報告がある1)。急性PEの診療にあたって,疫学・症状・検査データなどを俯瞰的に診る統合的な視点で紐解く必要がある。また,Wellsスコアなどの診断ツールを正しく用いて重症度を正確に評価することで,適切な患者に適切な検査と治療を提供することができる。本稿では,救急外来診療で有用な急性PEの疫学・診断・治療について解説する。
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