訪問看護と介護 5巻1号 (2000年1月)

特集 訪問看護ステーションを核にした在宅ケアサービス総合化の試み

特集1

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サービスの橋渡しができるステーションへの変革

 介護保険施行によって訪問看護ステーションの経営環境は大きく変わる.訪問看護ステーションの歴史は浅く,いまだ関係者の中に経営のノウハウが蓄積されておらず,かつ訪問看護とは何かについての国民の理解が定まっていない.この段階で大きな環境変化にみまわれるということは,関係者にとって極めて厳しいものがあろう.しかし,これを更なる飛躍のチャンスと捉えることもできなくはない.

 ステーションは生き残るためにも,更なる飛躍のためにも,とにかく環境変化に適応し経営の変革を進めることが不可欠である.変革の方向のひとつは,訪問看護を通して様々なサービスへの橋渡しができるステーションとなることではなかろうか.

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 訪問看護ステーションそよかぜは,財団法人筑波麓仁会・筑波学園病院の訪問看護部から平成8年7月に独立してスタートした.母体病院が急性期病院であるため,医療ニーズのある退院患者が半数以上を占め,他は指定地域内の医療機関や在宅介護支援センターからの紹介である.

 医療ニーズの高い利用者が多いため,開設当初より24時間連携体制をとり,地域の医療機関と積極的に連携をとってきた.また,当財団は母体病院のほか,老人保健施設と在宅介護支援センターを併設し,医療・福祉サービスを一体的に提供している.

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 当ステーションは,平成8年12月16日に,県の認可を得て発足した医療法人成春会北習志野花輪病院併設の訪問看護ステーションである.

 現在100名を若干越すケースをお預かりしているが,その90%が母体病院経由のケース,その他は周辺地域の開業医または大学病院等に関連する難病または癌疾患の患者の方々である.医療依存度の高いケースは,3割程度であろうか.ちなみに年齢分布をみると,40歳代2%,50歳代3%,60歳代10%,70歳代12%,80歳代60%,90歳代18%である.

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 当院は社会福祉法人でキリスト教精神を基盤としている総合病院である.同敷地内には,特別養護老人ホーム・老人保健施設・健康管理センター・ホスピス・在宅介護支援センター・デイサービスセンター・訪問看護ステーションが併設されている.

 2000年4月の公的介護保険制度導入を考え,更なる保健・医療・福祉の複合体の充実を目指し,利用者に質の高い「医療・看護・介護」を提供できるよう努力している.特に在宅ケアにおいては,訪問看護の果たす役割は重要で,患者・利用者に利便性と安心感を持っていただけるサービスとシステムをいかに構築するかが大きな課題である.

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はじめに

 いまだに揺れている部分があるにせよ,介護保険の中味が具体化し,検討されていた諸事項も実施に向けて動き始めている.当院が経営母体となる訪問看護ステーションは,新たに経営活動方針の選択を迫まられている.看護界の動向からみれば,訪問看護ステーション独自の思惑もいろいろあり前向きにいきたいところである.しかし,病院経営の実情絡みで意思決定せざるをえないのも現実である.筆者は当病院の看護部長として,病院の経営・管理をする幹部会議の一員という立場にある.そこで本稿では,当病院と訪問看護ステーションや地域ケアプラザ(デイサービス)との連携の現状から,どのように今後の訪問看護ステーションのあり方を模索しているかについて述べる.

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はじめに

 平成4年に開設された老人訪問看護ステーションは,平成6年に健康保険法の改正により全ての年齢が対象になる訪問看護ステーション(以後ステーションと略す)となり,活動の場が広がった.

 平成12年4月よりいよいよ介護保険法が施行されるが,介護保険のサービス提供は今まで医療や福祉を担ってきた医療法人や社会福祉法人のみでなく非営利法人(NPO法人)や営利法人も行なうことができるようになる.このことは多様な事業体による適正な競争によってサービスの質を高めるという介護保険法の理念が反映されている.

連載 訪問看護 時事刻々

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 「介護保険と医療保険の併給はありえない」介護保険はこのような前提で制度づくりの議論がされてきた.ケアマネジャーの中には,実務講習の時に「併給はない」という説明を聞いた方も多いと聞く.しかしふたを開けてみると,ある条件下では介護保険と医療保険の併給は起こりうることになりそうだ.

 要介護状態の利用者が訪問看護サービスを受ける場合,介護保険からの給付が行なわれることになるが,病状が急変した場合,介護保険から医療保険に切り替わって訪問看護が行なわれることになる.また,利用者が癌末期や神経難病など特別の疾患に罹患している場合は,介護保険の給付を受けていても,訪問看護の部分については医療保険からの給付になる.この場合でも介護保険からの支給限度額は変わらないから,利用者から見れば,その分訪問看護以外の介護サービスを多く受けることができる(これらは現時点での公表文書に基づいて示したものであり,最終的な結論ではないことに注意).

連載 「生活を見る」って何だ!?―誰も教えてくれないケアマネのツボ・2

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 前号では「生活障害の促え方」について述べました.本号からはそれを踏まえて,どのようにアセスメントし,ケアプランを作成するか,私自身がかかわった事例を通して述べてみます.

 アセスメントとケアプラン作成様式は,ケアマネジャー認定講習会でも5つの方式が紹介されました.この講習会を聞きながら,“みる”“聴く”ことの大切さを,それを行なう時どんな能力が求められるかを改めて考えさせられました.

介護保険 今月の動き

保険財政のしくみ
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 10月から要介護認定がほとんどの市町村で始まり,いよいよ介護保険制度開始までラストスパート!…と思っていたら,11月からの臨時国会を前に政治力学の揺れのあおりを受けて,介護保険の見直し論が急浮上した.結局は保険料の軽減など運用上の修正で終わりそうだが,このような無節操の議論に対し,介護保険に関係する600以上の団体が反対声明を出すなど,政策方針の一貫性の無さに多くの人が不安・不満を感じることになった.

  今回は,サービス提供者の立場としてあまり関心を持ちにくいかもしれないが,介護制度運営の根幹である保険財政について最新情報をまとめてみた.

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はじめに

 訪問看護ステーションの活動において,解決しなければならない問題点には種々のものがあるが,かかりつけ医との円滑な連携体制の確立は最重要課題のひとつである.しかし,実際には意思の疎通が図られずにうまく連携できていないのが現況で,その解決のための対策が必要である.また,この問題の検討の過程で,求められるべき訪問看護ステーションの将来像の想定もできると思われる.

 このため,連携の問題点の把握のために現況を分析し,相互協力体制の確立のため解決すべき問題点について検討した.また,連携の円滑化のための方策として,訪問看護ステーション理解のための医師教育用の利用マニュアルを作成,配付,その効果についてアンケート調査を行なったので報告する.

在宅医療にふさわしい物と技術・3

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現状の問題点と必要なマネジメント

事例1

夜間間欠投与のスケジュールと留意事項

 Eさんは62歳の男性です.胃癌の手術後で,腸閉塞を繰り返していることから,経口摂取が不可能になり,退院後は在宅中心静脈栄養法(Home Parenteral Nutrition:HPN)を行なっています.痛みはアンペック座薬にてコントロールされています.

 Eさんは社会福祉法人の理事長をしており,病名は告知されています.本人の希望は昼間仕事に専念しながらHPNを継続することです.そのため,皮下埋め込み式ポートを挿入しており,1日の輸液量は1,600~2,000 ml (約1,800kcal)です.在宅で無理なく夜間間欠投与を実施するための具体的なスケジュールと留意事項を教えてください.

―カゾクヲコエテ―超・家族・1

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 介護保険法に逆風が吹いている.

 自民党の亀井静香政調会長が,介護保険法施行まで半年になって突然,「子が親を看るのは家族の美風」と言い出した.その「美風」のもとで親子共倒れになるのを防ぐためにこの法律ができたのに,今頃議論をむしかえすなんてばかげている.亀井さんはよっぽど介護の現実を知らないのだろう.

町の保健婦ってこんなことをしています・1

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 人口6,543人の小さな町,長野県上水内郡信州新町で保健婦となって14年.

 町を縦横無尽に動きまわりながら,生活援助に奮闘するなかでの試行錯誤を日記形式で紹介します.

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調査実施の背景と目的

 我が国では,およそ半世紀後には約3人に1人が65歳以上という,超高齢社会が到来すると予想される.これを見据えて,いよいよ2000年4月より介護保険制度が導入される.介護保険が導入されると,利用者側は,サービス受給を保険料負担の見返りととらえ,質の高いサービス提供を望む傾向になることが予想される.また,民間事業者などの多様な事業主体の参入によりサービス提供者側の競争の激化も予想される.

 介護をする側は,高齢者に対し,不快な症状を取り除き,よりよい生活環境を提供し,日常生活への自立を支援していく必要がある.また,介護を提供する施設や事業者間の競争も激しくなる中,介護サービス提供にあたって,それぞれの特徴付けをしていく必要もあるのではないかと考える.

基本情報

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訪問看護と介護
5巻1号 (2000年1月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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