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次号予告・編集後記
栗原
,
小池
pp.878
発行日 2017年11月15日
Published Date 2017/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200822
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DVや子ども虐待の被害者・加害者支援を行なっている方に取材したときに、「加害者が怒りにまかせて上司を殴ることはない。社会状況的に『殴っていい』と自分が判断した人だけを殴る。だから暴力とは怒りの問題ではなく、社会的な問題である」という言葉を聞いて、もやもやとくすぶっていた疑問がすっと溶けていくような体験をしました。性別や年齢、職業、身体的・精神的な病気や特徴によって「暴力をふるわれてもいい人」が決まっている社会なんて、ぞっとしますが、それが今私たちが生きている社会なのかもしれません。誰もが心身を侵害されないで働き、生きられる社会になりますように。本特集がその一助となりますように。…栗原
援助職にある人が暴力を語るのは「タブー」である。お話を伺うと、在宅領域にはまだそうした向きがあるようです。●精神科医・中井久夫氏著『こんなとき私はどうしてきたか』(医学書院)において下記のような文章がありました。「患者さんが暴力をふるうということは、患者さんにとって身体的な不利益だけでなく、社会的な不利益を生む。暴力で反応する習慣を患者さんがもたないことは、社会復帰のうえでとても重要なことだ。それは治療の一部なんだ」。都合よく解釈することは慎まねばなりませんが、「暴力」にきちんと向き合うことがケアになる、そう読めるように思うのです。タブーとせず、身近な暴力の問題を顕在化させる。まずはそこからなのかもしれません。…小池
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