訪問看護と介護 19巻1号 (2014年1月)

特集 「新生在宅医療・介護元年」の成果と展望―“つなぐ機能”を育んだ「在宅医療連携拠点事業」

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厚生労働省は、2012年度を「新生在宅医療・介護元年」と位置づけ、「在宅医療連携拠点事業」を行なった。

そこでは、受託先が取り組むべき、次の“5つのタスク”が挙げられている。

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 わが国は、2004(平成16)年に高齢化率が世界第1位となり、それ以降、2020年には29.2%、2030年には31.8%、2040年には36.5%、2050年には39.6%と上昇の一途をたどると、経済協力開発機構(OECD)は推計している*1・2。40%という高齢化率はこれまでに人類が経験したことのない数値であり、ここに「約1人の生産年齢人口が1人の高齢者を支えるという“肩車型”の時代が近く到来する」という数値的根拠がある。

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 2025年に向けて、医療・介護が連携した包括的・継続的な在宅医療・介護の地域における供給をめざすことを目的とした「在宅医療連携拠点事業」(以下、拠点事業)に、2012年度に取り組んだ全国9か所の訪問看護ステーションのひとつとして、こぶし訪問看護ステーションは貴重な機会をいただくことになった。

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 株式会社フジケア訪問看護ステーション(常勤換算8名)では、2012年(平成24)度の在宅医療連携拠点事業(以下、拠点事業)を受託し、なかでも「認知症ケア」に特化した地域における多職種連携体制の構築に取り組みました。

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 小笠原訪問看護ステーション(常勤換算12名)を併設する小笠原内科では、2012(平成24)年度の在宅医療連携拠点事業(以下、拠点事業)に採択され、「在宅緩和ケア」に軸足を置いた取り組みを行ないました。当ステーションは従来、小笠原内科と二人三脚で、在宅緩和ケアをはじめとする訪問看護を行なっており、拠点事業にも連携して取り組みました。なかでも「教育的在宅緩和ケア」や「岐阜在宅ホスピス安心ネット」などの取り組みにおいては訪問看護が重要な役割を果たしました。とくに筆者は、ステーション管理者として、またトータルヘルスプランナー(以下、THP)として事業運営の中核を担いましたので報告します。

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 医療法人葵会もりおか往診クリニック(木村幸博院長)では、2011年度から2年間にわたり在宅医療連携拠点事業(以下、拠点事業)を受託し、在宅医療連携拠点事業所「チームもりおか」として取り組んできました。地域住民もアクセスしやすい市内中心部に、もりおか往診クリニックとは別に事務所を構え、3名の専従職員が表1のような取り組みを行なっています。

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 株式会社ケアーズ 白十字訪問看護ステーション(常勤換算13名)では、2011(平成23)年度と2012(平成24)年度の2年間にわたり、在宅医療連携拠点事業(以下、拠点事業)を受託した。拠点事業の5つのタスク(p.15)のうち、当ステーションでは主に「在宅医療従事者の負担軽減の支援」をめざし、勉強会や講演会、ワークショップを展開してきた。また、新宿区(人口32万4279人、高齢化率19.7%、2013年11月1日現在)の牛込地区にある都営戸山ハイツ(人口6020人、高齢化率48.3%、2013年2月1日現在)の一角に医療相談の場として「暮らしの保健室」を開設した。そこでは、保健師や看護師が地域住民1人ひとりにとっての望ましい在宅医療連携のあり方を住民と共に考え、支援する活動を行なってきた。

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2012年度の「在宅医療連携拠点事業」に取り組んだのは105拠点。

そのなかから、大都市において区医師会として、また、地方都市において、訪問看護ステーションとして、急性期病院として、市行政として取り組んだ4拠点の代表が集まった。

それぞれの地域性を背景とした、取り組みと成果はさまざま。

その内容は、多職種連携を促進し、在宅医療を地域に拡げていくヒントに溢れている。共通の鍵は、今ある医療・介護の資源を有機的に「つなぐ機能」を、地域にいかに構築し、いかに発揮するかだ。

個別・共通の課題も見えてきた。

「地域包括ケアシステム」の構築に向けて、今後の策を練った。

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日本人の平均寿命は、男性が79.94歳、女性が86.41歳。前年よりも男女ともに延び、女性のそれは世界一だ。

たかだが56年前までは、男女とも60歳代だった。これは、まぎれもなく「医療」の発展による大きな成果と言っていいだろう。

しかし今、これまで追求してきたのと同じ医療が、80歳超の人にも求められているのだろうか。その問いに出された1つの答えが、「在宅医療」の推進である。

高齢者数がピークに達する2025年に向け、日本の医療は変革を求められている。それは、どんな変革なのか?

その要請に応えて「在宅医療連携拠点事業」(以下、拠点事業)にそれぞれに臨んだ3名が、この取り組みを起点に語り合った。

ほっとらいん ふろむ ほんごう

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 11月10日(日)、日本訪問看護財団主催、日本看護協会・全国訪問看護事業協会企画・協力による、「訪問看護サミット2013」が、東京都新宿区で開催された。参加者は、全国の訪問看護師ら延べ約1200名。「創造!2025年の訪問看護―語ろう訪問看護のビジョン」と題された今回のサミットでは、来たる2025年を見据え、産官民バラエティに富んだ登壇者により、さまざまな取り組みが紹介された。

 同財団の清水嘉与子理事長は、開会の挨拶で、「訪問看護師は多職種連携における真のキーパーソンとなり、利用者に認められることを主眼に、専門的な知識・技術をもたなければいけない。そんな看護師を育てられるように財団も努力する。みなさんも各事業所で、すばらしい看護師を仲間に引き入れるよう努力していただきたい」と参加者へ向けエールを送った。また、清水理事長の紹介により登壇したたかがい恵美子氏(自民党参議院議員)は、臨時国会で進められている社会保障制度改革において、訪問看護師はこの中心にあって、これからの看護師の働き方をおおいに変えていく牽引役であり、次世代の社会の「命の砦」だとし、来年度の診療報酬改定においても、「訪問看護の機能強化」「基盤整備のための手当の充実」「周辺産業の活性化」を達成すべく、大きな声をあげていきたいと述べた。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・52

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 介護保険が施行された2000(平成12)年、1人の女性から相談の電話がありました。「同居している伯母のもの忘れが進んできて困っている。介護保険を使いたいのだが」ということでした。専門職として働く40歳代のその独身女性は、通勤には1時間以上かかるとのことでしたが、相談はそれほど深刻とは思えない、落ち着いた話し方です。新宿区内の、当時白十字訪問看護ステーションがあったところからすぐ近くにお住まいでしたので、直接会って、詳しい話を聞かせてもらうことにしました。

連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第30回

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 音楽の即興は、介助の先に「創意」が生まれることに似ているかもしれない。

 たとえば、入浴してもらおうとする。午後の決まった時間に入浴を設定して、湯も沸かした。さあ入ってもらおうと声をかけると、「今日は、いらない」と言われてしまう。じゃあやめましょう、で終わることは少ない。やめておくか、やっぱり入浴してもらうのかは、その先に行なうお互いのやりとりによって変わってくる。長く介助をしている人ならいくつもの手立てをもっているだろう。「沸かしちゃったから入らない?」「もうちょっと経ってから入ってみる?」で気が変わるかもしれない。一度立ってもらってお風呂のそばまでいくと「やっぱり入ろか」となることもある。あるいは、気が向かない理由を聞いてみてもよい。これは相手の今日の調子を聞くチャンスでもあり、こちらが無意識にとった入浴をためらわせる行動に気づくチャンスなのかもしれないから。それでもダメならいまはさっさと身を引いて、少し経ったらまた聞いてみる。

連載 一器多用・第32回

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 自分にとっては当たり前なことが、他人にとっては当たり前じゃないことがある。最近、そうした「当たり前」のズレを痛感してゾッとする体験をしました。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第34回

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杏里 前回の「介護と何か」を両立させる話の続きになるかもしれないけど、介護生活を送るうえで欠かせないのは、やっぱりこの雑誌の読者のみなさんのような「看病や介護生活をサポートしてくれるスタッフのアドバイスなんだなぁ」と思うことがあったんだよ。

母さん それは、私も日々感じているわ。

連載 地域のなかの看取り図・第12回

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「私は、田口さんのようには看取れなかった」

 読者の方からこういう感想をいただいて、私の思いは複雑です。

本連載はWebマガジン「かんかん!」http://igs-kankan.com/article/2013/04/000747/index.htmlにて順次無料公開中

読者の声

「胃ろう賛成か反対か」ではなく
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「胃ろう賛成か反対か」ではなく

皆川夏樹 北海道・在宅医

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次号予告・編集後記 杉本 , 多淵
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在宅医療連携拠点事業で配分された補助金は20億円超。在宅医療にかける国の本気が伝わってくる金額です(ちなみに前号の訪問看護支援事業は10億。こちらも気合い入ってます)。本事業では、厚労省の医政局と老健局が足並みを揃えたことも特徴で、まさに医療と介護の連携が中央から図られました。特集座談会が興味深いのは、今ある資源はそのままに「つなぐ機能」をもたせたことで地域が変わってきたということ。新春鼎談では、多くの資源を失った被災地でこそ、純然たる「地域包括ケア」の萌芽がほころんできたとも示唆されています。ヒトもモノもカネも足りないものはいっぱいあるけど、“今あるもの”から変わっていけると確信めいた新年1号。本気と気合い(だけ)は今ありますので、今年もどうぞよろしくお願いします。…杉本

本号では、「在宅医療連携拠点事業」に取り組んだ事業所のなかから、合計10事業所の方にご登場いただきました。地域が変われば、当然ながら、取り組みの手段手法も異なります。しかし、自分たちの地域に「地域包括ケアシステム」を構築するという志は、どこも共通していると感じました。そして、その中心となるのは「訪問看護師」であるべきだ、という点も、共通項であったと思います。小誌では。本年も気持ちを新たに、全国各地の魅力的な取り組みを紹介していきたいと考えています。本年も引き続きご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。…多淵

基本情報

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訪問看護と介護
19巻1号 (2014年1月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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