訪問看護と介護 18巻8号 (2013年8月)

特集 来たれ!新卒訪問看護師! 千葉県訪問看護実践センター事業の試み

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「新卒に、訪問看護は無理」――。

本当にそうなのでしょうか?

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「新卒でも大丈夫なの?」「臨床経験ないんでしょ?」「いきなり1人で訪問できるの?」――。

さすがに“いきなり”は無理ですが、先輩方のバックアップのもと、すでに立派に活躍中の新卒訪問看護師たちがいます。

意外にも、“独り立ち”までの道は、そう険しくはないようです。

「訪問看護をやりたい!」という一心で、真っ新な状態から訪問看護を始めればこそ、むしろ成長著しい、とも言えそうです。

どうやって不安や知識・経験不足を乗り越えてきたのか、ステーション内での教育支援の実際を含めて、入職2、3年目の新卒訪問看護師のみなさんにうかがいました。

「新卒だって大丈夫!」の根拠がここにあります。

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 千葉県看護協会は、県の地域医療再生計画の一環として、2012年度から「訪問看護実践センター事業」に取り組んでいる。そのなかで、千葉大学大学院看護学研究科と協働して「新卒訪問看護師育成プログラム」(以下、本プログラム)を開発し、すでに3名(2012年度2名、2013年度1名)の新卒訪問看護師(以下、新卒者)を現場へと送り出してきた。その経緯と成果については、本誌*1・2にて既報のとおりである。

 本プログラムは、訪問看護の現場で新卒者を育てるための体制を、組織として公的に支える“地域連携型人材育成”であることを特徴とする。本稿では、この1年間で標準化してきたその仕組みの意義と概要について報告する。

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 千葉県看護協会「訪問看護実践センター」(以下、センター)は、千葉県「新卒訪問看護師育成プログラム」(以下、本プログラム)において、新卒訪問看護師(以下、新卒者)を受け入れた訪問看護ステーション(以下、ステーション)への個別支援と、県内の全ステーションの教育力を強化する管理者・指導者研修を企画・運営している(p.625)。センターは、本プログラムの特色のひとつであり、中核となる存在である。

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 千葉県看護協会による「新卒訪問看護師育成プログラム」(以下、本プログラム)では、“学習支援ツール”のひとつとして、「自己評価票」を用いている(p.626, 633)。本稿では、「自己評価票」のねらいと特徴、使用方法、実際に現場で用いてみての自己評価結果を紹介する。さらには、指導を担当した先輩看護師(以下、指導者)が、いかにこれを活用し、業務を通した新卒訪問看護師(以下、新卒者)の学習を支援するかの考え方と方法を述べる。

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「新卒に訪問看護は無理」「どうせなら即戦力を」「何をどう教えていいのかわからない」―。

そんな声が聞こえてきそうです。

一方、「訪問看護師は、訪問看護の現場で育てたい!」という声もあります。

千葉県、千葉県看護協会、同訪問看護実践センター、千葉大学がタッグを組んで、それを実現した、千葉県「新卒訪問看護師育成プログラム」(以下、本プログラム)。

周囲の不安をよそに、すでに現場で活躍中の新卒訪問看護師(以下、新卒者)たちの働きぶりは、もうひとつの座談会(p.616)に譲るとして、本稿では、本プログラムの特色である、公的・組織的バックアップのもと、新卒者を採用したステーションにおいて、いかに「学習支援体制」を構築していったか、を振り返っていただきました。

本プログラムには、指導者・管理者の成長をはじめ、その他のスタッフを含めたステーション全体への波及効果も。

「地域連携型人材育成」と「新卒訪問看護師」の可能性を探ります。

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若い頃に立った教壇で、一度挫折を味わった。

その後、文字どおり「看護」を捨てて、10年間は専業主婦の潜在看護師だった。

しかし、縁あって出会った「訪問看護」にのめり込んで23年。

本年3月に、長らく勤め続けた法人の、訪問看護サービスを統括する役職を退官した。

多くの利用者さん・ご家族、スタッフたちとの出会いを経てたどり着いた「訪問看護の醍醐味」とは? そして、「訪問看護師育成」の要諦は?

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 団塊の世代が65歳以上となる2015年には3人に1人が高齢者となるなど、今後、東京都ではとくに急速な高齢化の進展が見込まれています。また、2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、医療を必要とする高齢者の増加も予測されます。こうした状況のなか、誰もが身近な地域で医療を含む生活全般にわたる支援を受け、その人らしい充実した人生をまっとうできる「在宅療養生活」の実現が望まれています。

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 近年、在院日数の短縮化と在宅療養移行促進をめざす政策により、在宅療養者が増加している。一方、高齢者人口の急激な増加は家族形態の変化をもたらしており、高齢者のいる世帯のうち、「単独」「夫婦のみ」の世帯が過半数を超えている*1

 実際に、首都圏近郊の中規模市(高齢化率23・9%)にある当ステーションの利用者の世帯類型は、「高齢者単独世帯」「夫婦のみの世帯」「日中独居世帯」が5割を占めている(2012年4月現在)。また、家族が就労のため長時間不在となるケースも見られ、世帯構成員の変容や生活時間の変化が在宅療養の開始・継続の阻害要因となる可能性が考えられる。したがって、このような家族形態の変化に対応した在宅支援のあり方を模索する必要性がある。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・47

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 先日、訪問看護歴18年という超ベテランのステーション管理者の方が、「暮らしの保健室」に尋ねてこられました。この方の悩みは、「スタッフが集まらない」ということ。

 必死でがんばって、地域のニーズを汲みとり、積極的に病院の退院調整にも出かけ、看取りも行ない、それなりに利用者さん・ご家族にも感謝され、仕事の充実感も味わっている。でも、いくら募集しても新しいスタッフは増えないし、誰かが休んだら、みんなフル回転。スタッフ間の人間関係もいいし、決して悪い職場環境ではないのに、どうして増えないのだろう……。チームはとても働きやすい5~6人。そこから人が増えていくのが見えないし、現実に人材募集に応答がない。紹介業者に頼らざるをえないところもあるようです。

連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第25回

聞こえにくさから始める 細馬 宏通
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 開所して間もないグループホームにおじゃました。開放的なつくりだ。リビングと食堂の間に壁はなく、キッチンは食堂のほうに向いたカウンター方式なので、調理をしながらリビングや食堂の様子を見ることができる。必要に応じて、これらの間をパーティションで区切ることもできる。

 午後3時半、入浴もひととおり終わって、入居者のみなさんはその広々としたリビングでテレビを視ておられた。それは最近の「地下アイドル」の様子を報じる番組で、へえ、こんなにぎやかな芸能界の話を見るのか、とちょっと驚いた。私もその一角でしばらく見ていたのだが、せっかく来たのでお話でもしようかと、右後方に座っている1人の男性のほうに振り向いた。

連載 「医療」と「福祉」再編の時代へ 「介護職員等による喀痰吸引等の法制化」を読み解く・第2回

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 2012年4月に「介護職員等による喀痰吸引等実施のための制度*1」(「社会福祉士及び介護福祉士法」の一部改正。以下、本制度)が成立し、介護職員をはじめ、特別支援学校の教員やボランティア等、非医療職種が喀痰吸引等の医行為を行なえるようになったことは前回述べたとおりです。

 しかし、これらの医行為は、2012年4月以前も「実質的違法性阻却」(前回Q&A参照、p.575)というかたちで、やむを得ない状況では一定の条件下に限って介護職員等にも許容されていました。にもかかわらず、なぜ今「法制化」しなければならなかったのでしょうか? その理由は、本連載のテーマである「医療」と「福祉」の統合・再編がいよいよ必要になってきている背景にもなっています。

連載 一器多用・第27回

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 「そういえば、あのころは“夢”を見ていたよなぁ……」

 本誌5月号の特集「夢を叶える起業・経営」に登場されたみなさんのアグレッシブな発想と実践に、むかし思い描いていた夢を思い出しました。理想の介護・リハビリをめざして、自分の事業所を起ち上げたいと、職場の仲間たちとやたらと熱く語り合っていた時期があったなぁ……。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第29回

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杏里 父さんに「よかれ」と思ってしたことなのに、「失敗した~」って反省していることがあるんだよね。

母さん あれかしら? それともあのことかしら? 杏里はたくさん反省しなくちゃいけないことがありそうだもんね~。

連載 地域のなかの看取り図・第7回

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 自分の両親、夫の両親を看取ってわかったのは、亡くなっていく人はふつうとは違う意識状態に入っていく、ということです。看取る側の私は、その変化についていけず、抵抗します。

 私は「ふつうの状態=健康」がよくて、「ふつうじゃない状態=病気」は悪いと思っていました。でも、認知症の方のグループホームで働いたり、浦河べてるの家の精神障害などを抱えた人たちとの交流を通して、人間の心には幅があり、「ふつう」という身勝手な尺度で相手を測ろうとするのは傲慢なのだ、と思うようになりました。

本連載はWebマガジン「かんかん!」http://igs-kankan.com/article/2013/04/000747/index.htmlにて順次無料公開中

ほっとらいん ふろむ ほんごう

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 2013年6月11日、日本看護協会・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会で構成される訪問看護推進連携会議が、2014年度診療報酬改定に関する要望書を厚生労働省保険局長に提出し、訪問看護サービスの機能拡充と基盤強化に関する次の4つを要望した。

(1)地域における看取りや24時間対応を積極的に行ない、他職種・他機関との連携や、人材育成において基幹的な役割を果たすステーションを「機能強化型訪問看護ステーション(仮称)」として評価すること

読者の声

災害対策に訪問看護師も参画を!
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災害対策に訪問看護師も参画を!

東京・オリエント総合研究所 梅北浩二

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ニュース―看護と介護のこのひと月

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次号予告・編集後記 杉本 , 多淵
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特集のっけから、新卒さんたちの確かな“訪問看護師ぶり”に驚かされました。教科書どおりの看護ではなく、利用者さん1人ひとりに合わせる柔軟さ、それに、とても活き活き楽しそう。巻頭の佐々木さんは「訪問看護は何でもあり」と。この自由さが、訪問看護の醍醐味であり、難しさでもあると思います。これに伴う自律と責任を支えるのは、個の力だけでなく、やっぱりチーム。ステーション内での育ち合いを垣間見て、これは新卒を採用しない手はないゾとまで思いました。加えて、千葉県では公的・組織的にもバックアップ。もうひとつ、「訪問看護師になる」のに欠かせない利用者さん・ご家族の存在の重みも感じた特集&巻頭でした。他人事ではないテーマに、私もいっぱい勉強させてもらいました。…杉本

合言葉は「Players First!」。日本サッカー協会(JFA)における、選手育成のコンセプトです。日々いろいろな次元で何かを判断する場合、あるいは改革等で困難なチャレンジが生じる場合、つねに「プレーヤーを第一に考えて行動する」という意味が込められています。本号の特集で取り上げた千葉県の「新卒訪問看護師育成プログラム」にも、これに共通するものを感じました。新卒者に寄り添って組み立てられたプログラムを経て、順調に訪問看護師として成長している方たちの言葉からは、充実した毎日がうかがえます。新卒者のチャレンジ精神だけでなく、教育することの醍醐味も学ばされた特集となりました。近々に、JFAの指導者ライセンスを取得してきます。…多淵

基本情報

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訪問看護と介護
18巻8号 (2013年8月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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